- マーケティングコラム
カスタマージャーニーとは?マップの目的や作り方を解説
2024 / 04 / 30
「カスタマージャーニー」は、現在もマーケティングの重要なキーワードのひとつです。カスタマージャーニーマップを効果的に活かす方法を知っておけば、マーケティング戦略は成功に近づくでしょう。今回は、カスタマージャーニーが注目される理由を踏まえて、カスタマージャーニーマップの目的や作り方について解説します。
カスタマージャーニーとは?
そもそもカスタマージャーニーとは、消費者が商品を把握・購入してから、利活用するまでの行動や感情、思考の過程を旅になぞらえた言葉です。
潜在顧客を顧客化し、自社や自社の商品・サービスのファンになってもらうためには、カスタマージャーニーの元になる顧客体験をマネジメントする必要があります。顧客の購買までの旅を企業側がマネジメントし、適切なマーケティング戦略を打つことが大切です。
カスタマージャーニーが注目される理由
企業や消費者を取り巻く社会環境は大きく変わっています。情報の入手方法も多様化しており、消費者の消費スタイルも変化しているのです。そうした変化の中で、カスタマージャーニーへの注目が集まっています。顧客の情報入手経路が多様化
顧客が商品・サービスの情報を得るための媒体が多様化していることが大きな理由です。従来は新聞・テレビなどのマスメディアが主要な広告媒体でしたが、現在はインターネット上のサイトやSNSなどで情報を得ることができます。企業が確実にターゲットに向けて情報を発信するには、顧客が商品・サービスとどこで出会うのか、どんな情報を発信するのが有効で、その情報がどのように受け取られているのかを把握することが重要です。
顧客の消費行動の変化
インターネットの普及によって、顧客の消費行動も変化しています。特に、買い物のスタイルや支払い方法の変化が大きく、より柔軟で多様になっているのです。以前は店頭でしか購入できなかったものでも、現在はインターネット通販を通じて購入可能です。また、サブスクリプションなどでサービス自体にお金を支払うスタイルも普及しつつあります。
顧客ロイヤルティの重要性
買い物のスタイルや商品・サービスの多様化・コモディティ化によって、商品・サービスの質だけでは顧客を獲得することが難しくなっています。アフターフォローや日ごろのコミュニケーション、接客など、あらゆる顧客接点で良質な体験を提供することが必要です。新規顧客を増やすだけではなく、いかに継続してリピーターになってもらえるかが重要なのです。
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーを分析する上で必要なのが、カスタマージャーニーマップです。これは、購買までの顧客の行動や感情、思考の動きを可視化するために作ります。顧客と商品やサービスの各接点における課題を洗い出し、接客の方法や陳列、コミュニケーションのとり方などを改善して顧客満足度の向上を目指すものです。
横軸項目にフェーズ(プロセス)をとり、縦軸項目にフェーズで重視すべきポイント(ユーザー行動、感情など)をとってマップ化してみましょう。
下記にマップに記載する事項のサンプルをまとめてみました。
認知 | 興味関心 | 比較検討 | 購入 | |
---|---|---|---|---|
顧客との接点 | ・テレビのCM ・ポスター |
・SNS ・WEB広告 |
・SNS ・口コミサイト |
・ECサイト |
顧客の行動 | ・テレビを見ていたらCMが放映された ・最近ポスターでも見た |
好きなインフルエンサーが使用していたので興味が出てきて検索した | スマホで検索 | スマホで検索 |
顧客の思考 | よく目につくので、話題になっていることを認識 | 憧れのインフルエンサーが使っているなら自分も使ってみたい | 同機能のほかの商品と比べると安い | 早く使ってみたい、もしよければリピートしたい |
自社の施策 | なるべく多くの方の目に留まるような広報を行っている | ターゲット層に合うインフルエンサーを起用 | 初回購入キャンペーンを打つ | リピート需要を喚起するためのキャンペーン定期的に行う |
カスタマージャーニーマップを作るメリット
カスタマージャーニーマップを作成すると多くのメリットを得られます。ここでは、4つの利点を紹介します。顧客の行動・心理を時系列で把握できる
マップを作成することで、顧客の行動・心理を客観的に把握しやすくなります。各フェーズで顧客が求めているニーズがわかるため、施策の立案や目的が明確化し、効果的な施策を打ち出すことにつながります。各接点において顧客満足度を高められる
カスタマージャーニーマップを活用すれば、顧客と商品や自社の間にある接点が見えてきます。どこで顧客が商品に出会い、どの接点があれば購入につながりやすいのかなど、顧客満足度を高めるための解決策が見えてきます。社内の認識統一により意思決定が迅速になる
カスタマージャーニーマップは顧客の行動だけでなく、自社の課題なども同時に可視化できます。そのため、社内で情報を共有しやすくなるのもメリットです。マップを見れば一目瞭然なので、社内で認識のズレが起きにくく、課題を効率的に解決することができます。施策の抜けや漏れを発見できる
顧客目線で企業の施策を見つめ直したときに、足りないと感じる部分が出てくる可能性があります。マップを作成すると、顧客目線でマーケティングに必要な施策の抜けや漏れを発見できるので、施策の精度が高まります。カスタマージャーニーマップの作り方
カスタマージャーニーマップはどのように作るのでしょうか。ここでは、マップを作る流れを解説します。
1.ゴールを設定する
まずは、何のためにカスタマージャーニーマップを作るのか、ゴールを決める必要があります。「顧客からの問い合わせをもらうこと」と定めるのか、初見の顧客からの購入を促すのか、既存顧客のリピート購入なのか、ゴールによって戦略も変わります。2.ペルソナを設定する
ゴールを決めたら、次はターゲットとなるペルソナを決めましょう。年齢、職業はもちろん、家族構成や趣味といった情報を細かく設定し、自社の顧客といえばこんな人と定義付けられるような人物像を決めることが大切です。ペルソナを詳細に設定するほどターゲットの解像度が上がり、具体的な施策を打ち出すことができます。
3.フレームを設定する
ペルソナを設定したら、次はマップのフレーム作りです。横軸に「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」などの購買行動のプロセス、縦軸に「顧客との接点」「顧客の行動」「顧客の思考・感情」「施策」などの項目を決めて配置しましょう。上記で紹介したカスタマージャーニーマップの項目サンプルを参考に、自社が分析しやすい項目を設定するのがおすすめです。
4.行動・心理を書き込む
フレームを設定したら横軸の購買行動プロセスを時系列で書き込みます。顧客心理に立って、論理的に仮説を立てながら記入しましょう。定量的または定性的なデータがあれば、より精度の高いマップになるので、顧客に対してアンケートやインタビューを実施するのもおすすめです。顧客の行動や思考を深く探ることで、より実情に近いマップが作れます。
5.課題を抽出する
作ったマップを見ながら、顧客目線で自社に足りていない点はどこなのか、現在の課題を抽出しましょう。障害になっている部分がどこにあるのかを、仮説を立てながら導き出す作業になります。最初に設定したゴールを達成するためには、現在の課題をどのように解決すれば良いのか、改善策を具体的に立案しましょう。
カスタマージャーニーマップの注意点
カスタマージャーニーマップを作る際は、今後の戦略に活かせるようなマップに仕上げることが必要です。ここでは、より有効なカスタマージャーニーマップを作成するための注意点を紹介します。
ファクトベースでマッピングする
マッピングする際は、必ずファクトベースで行うことを心がけましょう。担当者や企業としての願望や要望が反映されすぎると、実際の現状とかけ離れたマップになってしまいます。客観的な目線で見たマップになるように、これまでのアンケート調査や自社が持っているデータに基づいたリアルな状況をマッピングしましょう。
シンプルに作成する
一つひとつの内容に凝りすぎて複雑なマップになるのは考えものです。マップが複雑になればなるほど柔軟な施策が打てず、改善点も見えにくくなります。現状わかっている内容についておおまかに作成し、社内で意見を出し合いながらブラッシュアップして作り込むのがおすすめです。
定期的に見直す
カスタマージャーニーマップは定期的な見直しや修正が必要です。顧客の購買行動や消費を取り巻く環境は日々変化しています。変化を踏まえて適切な戦略が打てるように、PDCAサイクルを回して、施策のブラッシュアップを行いましょう。まとめ
カスタマージャーニーは、マーケティング戦略を練る上で欠かせない考え方のひとつです。カスタマージャーニーマップの作成は、今後の自社の戦略を打ち出す上で重要な作業となります。顧客満足度を高め、ファンを獲得して売上を伸ばすためには、カスタマージャーニーマップを活用して社内で認識を共有することも有効です。マーケティング戦略の一環として、ぜひカスタマージャーニーマップ作成にチャレンジしてみてください。