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デザイン思考とは。実践で得られるメリットとプロセスを解説

2024 / 06 / 28

#コミュニケーション,#消費市場

デザイン思考とは。実践で得られるメリットとプロセスを解説

物やサービスの消費が製造側主導から消費者主導に移行してきた現代では、消費者のニーズを的確にとらえ、消費者に受け入れられるものを提供できるビジネスモデルが重視されてきています。これに適合した発想方法のひとつとして、デザイン思考が世界的に注目されており、日本のビジネス界にも徐々に浸透しつつあります。しかし、この思考システムは自社に導入しさえすればよいというわけではありません。運用する現場だけでなく、意思決定する経営陣の十分な理解が必要になっています。今回は、デザイン思考とは何か、実践するメリットや具体的なプロセスについて紹介します。


デザイン思考とは何か

デザイン思考とは、ビジネスでデザイナーの思考プロセスを活用することです。デザインとはインテリアやファッションなどを制作することではなく、建築物や都市開発における設計を指します。

建築家や都市計画者が設計するときのプロセスやアプローチ方法などを、ビジネスにおいて参考とする考え方です。ユーザーの課題を最初に定義して、複数のステップを踏んで解決策の発見に至ります。

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市場の変化に伴ってデザイン思考が重視されている

現在はモノが溢れている上、情報爆発社会でもあります。ユーザーにとって、ひとつの課題を解決するための選択肢が豊富にある時代です。

仮説検証型のターゲティングやプロモーションではピンポイントでのアプローチができず、数ある選択肢のなかから自社商品やサービスを選び取ってもらうことは困難といえます。時代に沿ってマーケティングのDX推進へ取り組むためには、デザイン思考が必要不可欠です。

また、流行の移り変わりも激しく、ユーザーニーズそのものの変化も目まぐるしい状況です。

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)が高く予測困難な時代において、従来の市場調査では迅速にユーザーニーズをとらえきれません。ユーザーニーズの本質を理解してターゲット層へ自社商品やサービスを届けるために、デザイン思考が求められています。

デザイン思考を実践するメリット

デザイン思考をビジネスに取り入れると、さまざまなメリットが期待できます。ここでは主なメリットを3つ紹介します。

新しいアイデアが生まれやすくなる

従来のやり方と異なるデザイン思考のメリットは、アイデアが生まれやすくなることです。

デザイン思考には、質を度外視してとりあえずつくってみるという、試作のプロセスが含まれます。市場単位ではなくユーザーに向き合って課題の本質に迫り、何度も試作を繰り返すため、さまざまなアイデアが生まれやすくなります。

提案を頭ごなしに否定するのではなく、一度検証したり実践したりするデザイン思考のプロセスが浸透すれば、メンバーがアイデアを提示しやすい環境整備につながります。

コミュニケーションが活発になる

デザイン思考のプロセスは、必然的にコミュニケーションが活発化する仕組みです。

アイデア出しや検証など、マーケティングにはブレインストーミングが欠かせません。メンバーが気軽に発言したり互いに関わったりできる環境が整うことで、チーム内のコミュニケーション活発化につながります。

コミュニケーションに重きを置いたデザイン思考を繰り返せば、結果的にチーム力そのものの強化も期待できます。

多様な意見に触れられる

メンバーが役職や性別、年齢にとらわれず自由に発言できる場は、新しい視点での分析や解決策の発見を促せます。

デザイン思考における試作や検証の繰り返しは、メンバーそれぞれの立場や価値観にもとづく多様な意見を取り込む重要なプロセスです。ひとつのプロダクトを固める際に、多様な価値観や考えに触れ続けることで、個々のメンバーが抵抗なく多様性を受容しやすくなるメリットもあります。

メンバーが自分の考えや価値観に縛られず、多様化したユーザーニーズを柔軟に理解できるようになれば、品質・サービス向上も期待できます。

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デザイン思考を実践するときの5つのプロセス

デザイン思考を自社のメンバーに浸透させるためには、5つのプロセスに沿って取り組むことが大切です。ここではデザイン思考における指標である、5つのプロセスについて解説します。

共感

1つ目はターゲットとするユーザーへの共感です。デザイン思考は、ターゲット像に当てはまるユーザー層の動向やニーズの変化を観察して、共感することから始まります。実際に商品やサービスに触れたユーザーがどのような感想を抱いたかを調査します。

具体的な方法として、アンケートやインタビュー、モニタリングなどの実施があげられます。ユーザーが「なぜそう回答したのか」「なぜその解決策を選んだのか」を確認して、どのような感情が隠れているのか深掘りします。

隠れたユーザーニーズを見つけるためには、作成するアンケートやインタビューの内容にも注意しましょう。ターゲットは細かく設定して、ユーザーに「何を知りたいのか」目的を伝えた上で調査を行います。

定義

2つ目は、共感で得た情報をもとに解決したい課題を定義する作業です。
例えば、ワイヤレスイヤホンについて調査するとき、デザインや機能、装着感など複数の課題が想定できます。実際に調査してデザインへの不満の声が多ければ、まず取り組むべき課題は本体やケースのデザインの改善です。

定義を行うときは、ひとつの仮説に縛られないことが大切です。ほかにも課題はないか、アンケートの回答結果にはどのようなニーズが隠れているのか、さまざまな視点から繰り返し仮説を立てて検証する必要があります。

概念化

3つ目の概念化は、定義で固めた仮説をもとに、どのように課題解決していくかアプローチ方法を考える作業です。

メンバーでブレインストーミングを行い、多様な意見やアイデアを得ます。意見を出し合うときは、参加するメンバー全員が忌憚なく自分の考えを発言できるように、心理的安全性を確保することが大切です。

心理的安全性の確保とは、該当者が発言によって自分の立場が脅かされたり、侮辱されたりしないと確信できている状態のことです。メンバー全員が役職問わずリラックスした状態で発言できる環境が整っていれば、多様な意見やアイデアが出やすくなります。

試作

4つ目のプロセスでは、固まったアイデアをもとに、商品やサービスの試作を行います。試作品はあくまで改善策の具現化であり、最初から完璧なものをつくる必要はありません。多くのアイデアを試せるように、低コスト・短時間で繰り返し試作して検証することが大切です。

試作品はアイデアの実現性を検証するのみならず、実物に触れてより良い改善策や隠れた課題を発見できるメリットもあります。例えば、手のひらサイズの製品を改善するとき、試作品があれば実際に手に持ったときの重みや質感、持ちやすさも含めて検証できます。

テスト

5つ目は、ユーザーの協力を得て行うテストです。社内で試作を繰り返して最終的に残った商品やサービスをユーザーに試してもらいます。

ユーザーテストでは良かった点や新たな課題の発見に加えて、そもそも最初に立てたユーザーニーズに関する仮説は正しかったのかも検証します。ユーザーニーズの本質をとらえて、商品やサービスに適切な改善策が反映できていなければ、再度課題の洗い出しが必要です。

試作や改善を繰り返して、質の高い商品やサービスのリリースへつなげます。

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デザイン思考に活用できるフレームワーク

デザイン思考のプロセスを円滑化するためには、フレームワークの活用が効果的です。ここでは、デザイン思考に役立つ代表的なフレームワークを2種類紹介します。

1.共感マップ

共感マップ(エンパシーマップ)は、ユーザーの行動や思考、感じていることなどを視覚的に分かりやすく整理できるフレームワークです。下記の6つの視点にもとづいて、ユーザーのニーズを整理します。

・Think&Feel(考えていること&感じていること)
・Hear(聞いていること)
・See(見えているもの)
・Say&Do(言っていること・行動)
・Pain(痛み・ストレス)
・Gain(得られるもの)

フレームワークに情報を整理することで、ユーザーニーズを俯瞰的に把握できるメリットがあります。

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2.SWOT分析

SWOT分析はチーム単位のみならず、企業の事業戦略を練るときも活用されることが多い手法です。デザイン思考を利用した商品やサービスの開発・改善の場でも、さまざまな要素から自社の現状を整理するために活用します。

SWOT分析で着目する要素は、下記の4つです。

・自社の強み・優位性(Strength)
・自社の弱み・課題(Weakness)
・市場変化によって生じる機会(Opportunity)
・市場変化などによる外的脅威(Threat)

上記の視点から自社のビジネスモデルを精査して、課題の洗い出しや解決策の検討を行います。例えば、強みを積極的に押し出したアプローチを行う場合、市場変化によって生じた機会を活用した戦略を練れば、時代にマッチしたプロモーションを計画できます。

SWOT分析についての詳細は以下の記事をご覧ください。
【事例あり】SWOT分析とは?目的や具体的なやり方

まとめ

デザイン思考は、ユーザーの視点に立ってどのようなニーズや課題、不満点があるのかを理解して、解決策となる商品やサービスの開発に役立てる方法です。ユーザーニーズの多様化および市場変化のスパンが短い現代において、デザイン思考による試作や検討は欠かせません。

自社にデザイン思考を取り入れるときは、5つのプロセスに沿って、フレームワークも活用しつつ実践しましょう。

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