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B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論 第3回 Big Data時代のCRM戦略~ MUJI Digital Marketingの展望

奥谷 孝司
株式会社良品計画
WEB事業部長

奥谷 孝司

2014 / 01 / 10

B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論 第3回 Big Data時代のCRM戦略~ MUJI Digital Marketingの展望

これまでWEB事業部はネットストアの顧客データ、Social Mediaマーケティングから得られる知見から様々なO2O施策や、デジタルマーケティングを実践して参りました。そのどれもがある程度有意且つ有意義な貢献を企業にもたらしてきたと思います。しかし、そのどれもが一部の店舗、商品に留まる部分的、局所的貢献でしかなかったとも言えます。我々のデジタルマーケティング力をいかにして全社レベルのものに仕立て上げ、会社全体に貢献するべきか?このような課題解決から産まれたのがMUJI passportなのです。

MUJI passport誕生までの背景

これまでWEB事業部はネットストアの顧客データ、Social Mediaマーケティングから得られる知見から様々なO2O施策や、デジタルマーケティングを実践して参りました。そのどれもがある程度有意且つ有意義な貢献を企業にもたらしてきたと思います。しかし、そのどれもが一部の店舗、商品に留まる部分的、局所的貢献でしかなかったとも言えます。我々のデジタルマーケティング力をいかにして全社レベルのものに仕立て上げ、会社全体に貢献するべきか?このような課題解決から産まれたのがMUJI passportなのです。

MUJI passportが達成すべきミッション

MUJI passportの最大の目的はネットと店舗の垣根を取り払い、お客様に平等にメリットを提供する環境の確立が第1です。そして、それに伴う永続的な来店客の増加=売上アップ、最後に顧客時間の可視化ともいうべき、我々が行うマーケティング施策効果の可視化がミッションとなります。

MUJI passportはネットと店舗での買物でマイルが貯まるのに加え、口コミプラットフォームmy MUJIでの書き込みや、半径600m以内でのチェックインによってマイルが貯まり、ある一定のマイルが貯まるとネットや店舗で使えるショッピングポイントが付与されるシンプルな仕組みです。

そもそも単なるFSP(Frequent Shoppers Program)なのになぜ、ポイントカードではなく、わざわざアプリ開発を行ったのかと良く聞かれますが、アプリにこだわったのは『顧客時間』の把握と可視化を行うためです。もちろんカードでも顧客IDによる個人の特定は可能ですが、それだけでは顧客時間の『購買』の時間しか把握できません。またその後のコミュニケーションにも、メールやDMといった別の手段が必要になります。またポイントカードはお財布の中に物理的に入って行くという他社ポイントカードとの競争にブチ当たるわけです。

今のお客様が最も肌身離さず持っているもの、持っていないと不安なものはなにかと考えれば自然とスマートフォンが思い浮かびます。このスマートフォンの中に入り込むことで、購買履歴や、チェックイン情報をベースとしたOne to Oneなダイレクトコミュニケーションも可能になるわけです。『顧客時間』の把握にはコミュニケーションが不可欠です。購買前後の時間をしっかり把握する為にもポイントカードではなく、アプリでなくてはいけないのです。

またこの10数年企業は様々なMini CRMを展開してきました。自社クレジットカード事業、ネット販売、Social Mediaの運営もある意味CRMと言えるかと思います。そのバラバラに存在するIDをアプリ経由でお客様に自発的に統合してもらい、お客様情報をより充実させていく。この点においてもMUJI passportは有効なツールなのです。


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現在MUJI passportはダウンロード数で100万を超え、レジ通過客数にして約10%の貢献を生み出しています。また半径600mでのチェックインから購買までの確率といったまさにお客様から得られるBig Dataから様々なコミュニケーションタイミングの可能性を垣間見ることができます。同時に我々が仕掛けたマーケティング施策の効果も可視化されてしまうのです。

例えば、弊社のレトルトカレーが昨年某テレビ番組に取り上げられ売上を大幅に伸ばしました。そのタイミングから対象商品を買ったであろうMUJI passportユーザーを抽出しそのお客様が次のお買い物で何を買っているのか、どのくらいの頻度でお買い物をしているのかが、可視化されました。そのデータ分析を見ていて私が思いついたのが『Marketing Campaign Survive Rate』という考えです。

Marketing Campaign Survive Rateという考え方

『Marketing Campaign Survive Rate』とは、あるマーケティング施策(消費者への刺激)がどの程度、どのくらいの期間お客様をブランドへの関与や、購入に導いてくれるのかを可視化するということです。MUJI passportの導入によって、あるマーケティングキャンペーン(例:TVパブ)によってアクティブとなったお客様のLifetime Valueとキャンペーン効果が同時にトラッキング可能になったわけです。

このことはさらに、もう一つの効果をもたらしました。それはデータを蓄積することで、このマーケティング施策の時系列での効果分析が可能になり、マーケティング施策のやりっぱなし、思い込みのマーケティングや、経営陣が言い放つ施策だけが正しいとか、瞬間風速でたたき出したマーケティング効果に踊らされるようなことがなくお客様へのマーケティング効果をロングスパンで可視化できる可能性が出てきたわけです。まさに顧客時間を長期間に渡って可視化でき、我々が行った施策がどの程度お客様に伝わったのかが分かるツールがMUJI passportによって生まれたのです。

オムニチャネル時代の マーケターに求められていること

マーケティング施策のやりっぱなし、瞬間風速での効果判断は間違いのもとです。マーケティングには継続力と、実績を積み上げることが重要なわけですが、今まではその効果を長期的にお客様を軸に可視化することは不可能でした。しかし、オムニチャネル時代に得られるお客様データに対する分析を行い対応することができれば、様々な知見を得ることが出来ます。

一方でBig Data分析は地味で、簡単に凄い仮説や知見が生まれるわけではありません。社内からは『そんなの知っている!』というコメント(I Know Syndrome)ばかりです。大切なことは、オムニチャネル時代における新しい経営数値(いわゆるBig Data=CRMデータ、Social Mediaを介して得られるお客様の行動データ)から逃げずLong Termでデータと向き合うことにあると思います。これからのマーケターはお客様理解を深めていくためのIT投資実行力とデータ分析手腕が期待されているのです。

ITの力でお客様との関係強化&Marketing施策の可視化と効果予測を実現させる。この両方が出来てこそ真のデジタルマーケターと言えるのではないでしょうか。今年も私は、さらなるデジタルマーケティングの進化に向けてこの両輪を回して行きたいと考えています。

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