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B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論
第1回 お客様の時間を追う!顧客時間の重要性

奥谷 孝司
株式会社良品計画
WEB事業部長

奥谷 孝司

2013 / 12 / 06

#コミュニケーション,#消費者行動,#消費市場,#SNS,#メディア

B to CからB with Cへ 顧客起点のマーケティング論<br>第1回 お客様の時間を追う!顧客時間の重要性

無印良品のWEB事業部でデジタルマーケティングをしながら、MUJI passportアプリ(顧客関係マネジメントツール)やネットストアを運用していて、常に感じることが一つあります。それは私自身も顧客に戻れば気付くことですが、世の中には同機能、同価格の商品が溢れ、その商品に伴うコミュニケーション(マーケティング)も無数にあるということです。特に差別化されていない商品を多くのマーケティング要素を付加して売ろうと努力する企業側に対して、我々消費者はそのほとんどを『無意識』に『無視』しています。つまり、B(企業側) to C(お客様)なコミュニケーション(広告)がますます伝わりにくくなっている時代だということです。

効果が薄れてきた一方的なコミュニケーション

無印良品のWEB事業部でデジタルマーケティングをしながら、MUJI passportアプリ(顧客関係マネジメントツール)やネットストアを運用していて、常に感じることが一つあります。それは私自身も顧客に戻れば気付くことですが、世の中には同機能、同価格の商品が溢れ、その商品に伴うコミュニケーション(マーケティング)も無数にあるということです。特に差別化されていない商品を多くのマーケティング要素を付加して売ろうと努力する企業側に対して、我々消費者はそのほとんどを『無意識』に『無視』しています。つまり、B(企業側) to C(お客様)なコミュニケーション(広告)がますます伝わりにくくなっている時代だということです。

そんな現状でも、我々は懸命にマーケティング活動を続け、デジタルマーケティング領域で言えば、Social Mediaを活用して、「いいね!」がいくつ稼げたとか、インプレッションをいくつ獲得したといった瞬間風速的な議論に陥り、各担当者が自分のコミュニケーションは効いた!と言い合う始末です。

私は当然のことながら、B to C のコミュニケーションが効果が薄れているといっても、お客様へのコミュニケーションは企業側(B)からはじめなくてはならないわけで、お客様の自発的行動を待っていれば良いとは考えていません。ただしマーケティング活動をお客様の消費者行動に合わせて、『時間軸』で考え、トラックして行く必要があると思います。そこで私が考えついたのが、お客様の一連の消費者行動を時間で把握する『顧客時間』という考え方です。

顧客時間とはなにか?

私が考える顧客時間というのは、お客様の消費行動の流れ(検討→購入→使用&消費)を時間軸で捉えようということです。特に小売業では購買の瞬間にのみ注力しがちで、売れば終わり(買ってくれれば終わり)という発想に陥りがちだと思います。確かに売上が上がれば、企業に利益をもたらすわけですから行っていることは正しいですが、それだけで右肩上がりの成長を維持できなくなったのが現在の日本市場だと思います。弊社も衣食住を扱い、様々な企業との競合にさらされているわけです。もはや「売っておしまい」は通用しないのです。そういう意味ではいかにお客様と時間を共有し、購入の時点だけでなく、使用&消費の段階、検討の段階に入り込めるかが重要となってきます。



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顧客時間におけるネット&SocialMediaの重要性

この顧客時間を追うために一役買っているのが、弊社の場合ネットストアとSocial Mediaです。先ほど購買時点のみに注目しても意味がないと申し上げましたが、弊社の場合つい最近までネットストアだけが、「いつ、どこで何が売れたか」というPOS情報に加えて、「誰が買ったのか」という属性情報を持っている場所だったわけです。つまり30代女性のお客様が定期的にご自身の洋服に加えて、子供服を買っていることがMUJI net member IDからネットストアは特定できるわけです。私はこの時間を「お客様の過去の定量的データ&時間」として分析し、社内で共有するべきだと思っています。

また検討と使用&消費の部分を解明するための手がかりとなるのが、Social Mediaです。弊社のTwitterやfacebookのアカウントでつながっている人達がいつも無印良品について語ってくれるわけではありませんが、彼らのアカウントから想定されるプロファイルや、いつも反応してくれる人は特定できます。また基本的に「個の時間が詰まっている場所」であるSocial Mediaへ我々が邪魔にならない程度にアプローチし、B with Cなものづくりプロジェクトやマーケティングキャンペーンを展開することで参加してくださるお客様を特定し、コミュニケーションする事もできるわけです。彼らのライフスタイルや行動パターンをある程度予測することで、効果的なコミュニケーションが実現します。もはやこのようなお客様こそがメディアであり、それ故にエバンジェリストという言葉が生まれるわけです。

特に口コミプラットフォームmy MUJIにおいては、お客様のSocial ID(普段使っているTwitter、facebook、mixiのID)でログインして頂き、商品の評価や感想を共有、拡散して頂いています。現在はMUJI passportとも連携し、コメントや、ほしい!、もってる!ボタンを押すとマイルがたまる仕組みです。この仕組みをMUJI net Memberではなく、Social IDでやる意味は、お客様が今最も積極的に傾聴する口コミ(C to C)の拡散性と買物情報以上のデータを持つSocial Mediaを企業としても傾聴するメディアとして活用し、次の購入(検討)につなげたり、使用&消費の実態を赤裸々に掴む、共有してもらう目的があるのです。



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お客様はブランドとの時間共有が増大すればするほど売上が拡大する

お客様からの関与、能動的な行動を獲得し続けることは至難の技です。そのような状況を打破するにはお客様自らがブランドと能動的に時間共有をしてもらうしかありません。ですから、お客様に無印良品をネットやリアルに関係なく体験してもらい、その中からブランドエンゲージメントを高めることができるようO2O施策やマーケティング施策を実施していかなくてはなりません。

もちろんTVCMやチラシをまいて、お客様から忘れ去られないようにすることも大事ですが、これからの時代はお客様に自社メディア(ネットストア、店舗そのもの、Social Media上の企業アカウント)を能動的に行き来してもらうことがブランドを「好きになって頂く最短距離」のように思います。



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次回は、絆作りとして実施するマーケティング施策がどのようにお客様とのエンゲージメントを維持、発展させるのか? キャンペーンの可視化とお客様の関与維持についてお話ししたいと思います。

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