マーケティングコラム

【具体例あり】ウォンツとニーズの違いと関連性を紹介

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数ある競合の中から顧客に自社を選び取ってもらうためには、ウォンツとニーズに沿った的確なプレゼンテーションが欠かせません。よって、担当者はウォンツとニーズの違いを理解しておく必要があります。今回は、ウォンツとニーズの違いについて具体例を挙げつつ解説します。

ウォンツとニーズの違い

BtoBとBtoC、どちらのビジネスモデルであっても、顧客のウォンツやニーズを理解することが重要です。ウォンツとニーズは、一見すると同じものを指しているように思えますが、厳密には異なる意味をもちます。
まずは、ウォンツとニーズの違いについて理解しましょう。

ウォンツとは

ウォンツ(Wants)は「欲求」を意味します。ニーズを満たすために特定の商品やサービスを求める状態を指し、マーケティングでは「手段」の意味で使用されることが一般的です。
ウォンツは、顧客の顕在化した心理状態を表します。具体的には、「Aの商品を買いたい」「Bのサービスを利用したい」といった形で言語化されます。
ウォンツの種類として使われているのは、下記の3つです。

基本ウォンツ

基本ウォンツは、ニーズを満たすために、商品やサービスを求める手段です。例えば「床を掃除したい」とニーズがあるとき、生まれるウォンツは「掃除機を買いたい」「モップを買いたい」などです。
ニーズを満たすための基本的な手段であり、シンプルな内容といえます。

条件ウォンツ

条件ウォンツは、理想的な状態に近づくために、基本ウォンツに具体的な条件をつける手段です。
前述の床掃除に関するニーズの場合、「吸引力の高い掃除機を買いたい」「手軽な使い捨てタイプのモップが買いたい」などが条件ウォンツです。基本ウォンツよりも一歩踏み込んだ、より細分化された欲求を指します。

期待ウォンツ

期待ウォンツは、選んだ手段に対して「当然、満たされているもの」と期待している欲求のことです。例えば新品の商品を購入するとき、誰もが「汚れがなく、きれいな状態」を当然のように期待しています。

掃除機を購入する場合、「ヘッド部分が付属しており、ごみが溜まっていない状態」が当たり前です。もちろん、電化製品である以上、「故障しておらず購入してすぐに使用できること」も期待ウォンツに含まれます。

ニーズとは

ニーズ(Needs)は、直訳すると「必要」という意味です。ウォンツと同じく顧客の欲求を指しますが、マーケティングにおいては、「手段」ではなく「目的」の意味で用いられます。

ニーズが存在する顧客は満たされていない状態です。なんらかの課題や悩みを抱えており、解決するための手段(ウォンツ)につながります。人によってはニーズが明確化していない場合もあり、ウォンツを掘り下げると見つけられます。

ニーズを特徴別に分けると、下記の2種類です。

顕在ニーズ

顕在ニーズとは、顧客本人が悩みや課題に気づいている状態のことです。顧客自身がニーズを自覚しているため、スムーズに言語化ができます。
例えば「掃除機を買いたい」というウォンツを掘り下げると、「床の細かいホコリやごみを手軽に取り除きたい」というニーズが見つかります。

潜在ニーズ

言語化できる顕在ニーズとは反対に、明確に表現できないことの多い欲求が潜在ニーズです。顧客自身が明確に表現できない欲求でありつつも、「なんらかの悩みがある」「課題がある」と認識しています。
マーケティングでは、いかにして潜在ニーズを深く掘り下げて提案できるかが重要です。

シーズとの違い

マーケティングや商品開発の場面では、ニーズのほかにシーズも考慮されます。シーズとは企業がもつ独自のノウハウや技術のことです。例えば特許技術やオリジナル商品・サービスもシーズに分類され、企業目線で商品開発をする場合に取り入れられます。

競合との差別化を図るためには、シーズを視野に入れた商品開発が必要です。しかし企業目線のみで商品開発をすると、ターゲットとなる顧客層のニーズにマッチしないおそれがあります。

インサイトとの違い

潜在ニーズと混同されやすい言葉がインサイトです。インサイトは「洞察」を意味しており、企業側が顧客の中に眠っている欲求を洞察によって探り当てることを指します。

潜在ニーズとインサイトの違いは、顧客が自覚しているか否かです。潜在ニーズは明確な欲求を見つからないものの、なんらかの悩み・課題があることを自覚している状態です。一方、インサイトは顧客自身に自覚がないうえ、まだ生まれてすらいない欲求を指します。

企業側が顧客に先回りして欲求を見抜くことで、新たなニーズの発見に至ることもあるため、「消費者インサイト」とも呼ばれます。
消費者インサイトについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

「消費者インサイトとは?見つけ方や活用事例を紹介」

ウォンツとニーズの違いの具体例

ウォンツとニーズは混同されることがあります。より具体的に理解するための参考として、ここでは例を挙げつつウォンツとニーズの違いを解説します。

具体例1:「海外旅行に行きたい」

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ウォンツが「海外旅行に行きたい」であるとき、推測されるニーズは下記のとおりです。

・好きな国の文化に触れたい
・異国で気分転換したい
・家族や友人とゆっくり過ごしたい
・SNSに投稿できる写真や動画を撮りたい
など

海外旅行には、さまざまな欲求が隠れています。シンプルに好きな国へ行ってグルメや観光地を楽しみたいと考える方もいれば、家族や恋人へのプレゼントとして企画する方もいます。
国内旅行では体験できない魅力を求めているケースもあり、企業側は各ニーズにマッチしたプランの提案が必要です。

具体例2:「掃除ロボットがほしい」

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「掃除ロボットがほしい」というウォンツには、例えば下記のニーズが隠れています。

・床掃除の手間をなくしたい
・留守中やほかの家事中に床掃除してほしい
・家具の下など手間のかかる部分も手軽にきれいにしたい
・ハイテク機器を試してみたい
など

通常の掃除機やモップとは、自動で掃除してくれるところが異なります。使用者はスイッチを入れるだけで済み、ロボットが掃除してくれている間にほかの用事を済ませられる利便性が魅力です。
家事の負担を軽減したい方だけではなく、話題の家電を使用してみたいといった欲求が隠れていることもあります。

具体例3:「最新のAIツールを導入したい」

BtoB顧客を中心に、「最新のAIツールを導入したい」などのウォンツが生じることがあります。AIツールの購入意欲を生み出すニーズは、下記の例が挙げられます。

・業務効率を向上させたい
・人員やオフィスを縮小させたい
・利益率を上げたい
・自社のPRポイントを増やしたい
など

企業が顧客の場合、最新のAIツールに求める課題解決は業務効率や利益率の向上です。さらに深く掘り下げると、「AIツールの導入で必要な人員数を減らしつつ、オフィス環境の維持にかかるコストを軽減させたい」など新たな欲求も見つかります。
また、最新のAIツールなど設備投資そのものが対外的なアピール要素にもなります。

ウォンツからニーズを探るときのポイント

顧客のニーズを探るときは、ウォンツを深く掘り下げていく作業が必要です。ここでは、ニーズを探るために意識すべきポイントをご紹介します。

「なぜ?」を繰り返す

20240202_04

まずは顧客のウォンツに対して、どのような理由や欲求が隠れているのかを推測します。「なぜ?」を繰り返していくと、隠れているニーズに辿り着きます。
前述の「掃除ロボットがほしい」を例に挙げると、ウォンツからニーズを引き出すプロセスは、下記のとおりです。
ウォンツ 掃除ロボットがほしい
なぜ?
(ニーズ1)
床掃除の手間をなくしたい
(共働きで毎日掃除する時間がない)
なぜ?
(ニーズ2)
留守中やほかの家事中に床掃除してほしい
(時間はないが掃除はしたい)
なぜ?
(ニーズ3)
家具の下など手間のかかる部分も手軽にきれいにしたい
(普段は面倒で避けがちな部分も掃除してほしい)

ニーズを掘り下げると、提案の選択肢が広がります。

例えば共働きで毎日掃除する時間がないので、床掃除の手間をなくしたいと考えている顧客には、手軽に使用できるスティック掃除機も選択肢に加えやすくなります。手軽さのみを重視するなら、出し入れが簡単な電動ちりとり付きモップなども提案しやすいのではないでしょうか。

家具の下もきれいにしたい方や、ハイテク機器を試してみたい方には、水吹き機能つきの掃除ロボットも提案できます。

ウォンツのみに着目すると、顧客に提案できる選択肢は掃除ロボットのみです。しかしニーズを掘り下げれば、一見すると自社の商品やサービスがマッチしないと思える相手も、顧客として取り込める可能性が出てきます。

リサーチをする

ニーズの推測がある程度終わったら、次は調査を行います。例えばアンケートやモニター調査を行えば、消費者自身が言語化できている顕在ニーズを収集して顧客獲得につなげられます。
リサーチを行ううえでの注意点は、潜在ニーズレベルの顧客動向は把握しにくいことです。言語化できない潜在ニーズは、アンケート回答など表面的な情報からは読み取りにくいため、「なぜ?」を繰り返して掘り下げと推測を行う必要があります。

まとめ

顧客のニーズを把握するためには、ウォンツを正しく理解したうえで、深く掘り下げていくことが大切です。ウォンツのみに注目していては、顧客が奥底で抱えている悩みや課題に合った商品・サービスを提案できません。
まずはウォンツとニーズの違いを理解したうえで、きちんと掘り下げることから始めましょう。「なぜ?」を繰り返せば、さまざまなニーズが発見できるに違いありません。

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