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笑顔でなかよく「ハロー」と言い合える世界のために ハローキティがYouTubeでSDGsを語る理由

【中編】長く愛されるキャラクターの強みを生かし、世代を超えたSDGsの推進役に

2020 / 10 / 09

#コミュニケーション,#ブランディング

【中編】長く愛されるキャラクターの強みを生かし、世代を超えたSDGsの推進役に

2018年に開設されたハローキティの公式YouTubeチャンネル「HELLO KITTY CHANNEL」。チャンネル内ではキティがさまざまなテーマにチャレンジし、学ぶ姿は多くの人に注目されている。キティがYouTubeで実現しようとすること、「SDGs」に取り組む理由を、今回はサンリオでハローキティのブランドマネジャーを担当している前田 南美氏と工藤 瞳子氏に聞いた。

親しみやすいキャラクターであることをもう一度感じてもらうために公式YouTubeチャンネルを開設

堀:キティちゃんがYouTubeチャンネルを立ち上げるきっかけのようなものはあったのでしょうか。その時点でSDGsの取り組みも決まっていた、あるいはSDGsを広めるためにYouTubeを活用しようと思ったのでしょうか。

前田:YouTubeチャンネルの開設は2018年で、キティとしては45周年のアニバーサリーイヤーを目前に控えた年でした。キティは45年間の活動を通じて、親と子、孫の3世代に愛されるキャラクターに育ってきました。ただ、近年は少し皆さんと心理的な距離が開いているのではないか、遠い存在になってしまっているのではないかという課題を感じていました。そこで、親しみのあるキャラクターであることをあらためて感じてもらいたいと考え、キティが自分の言葉で発信することができるYouTubeが良いのではないかということでチャンネル開設につながっています。
 動画のテーマとしてSDGsを取り上げることについては、最初から決まっていたわけではありません。キティは「みんな笑顔でなかよく暮らせる世界がずっと続いてほしい」という思いを持ち続けています。また、サンリオは企業理念に「Small Gift Big Smile」と掲げています。大切なひとに心を贈り、心を伝える。ささやかな贈り物を通じて、みんながなかよくなることを目指すものです。


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インドネシアで訪問した幼稚園にて園児たちと交流し、ハグをするキティ。


 この2つの思いの実現は、誰ひとり取り残さずに、世界をよりよくしようとするための目標であるSDGsの達成と重なると思い、活動を始めることになりました。世の中の流れとしても、SDGsが策定され、注目が高まるタイミングでキティの45周年とYouTubeチャンネル開設と、いろいろなタイミングが幸運にも重なった形です。

堀:「HELLO KITTY CHANNEL」は、ターゲットとして性別や年代を設定していますか。動画を拝見すると私でも楽しく見られるようになっていると感じました。

前田:先ほども触れましたが、キティは1974年のデビュー以来、たくさんのファンに支えられてきました。今の子供たちの親や、その親世代にも認知され、ファンもいます。そのため、特に子供向けということではなく、全ての世代に向けてわかりやすく、楽しく、明るい雰囲気に受け入れてもらえるように気を使っています。「HELLO KITTY CHANNEL」でのキティはYouTuberらしい振る舞いをしていますが、キティの基本的なパーソナリティーに違いはありません。

堀:「HELLO KITTY CHANNEL」を始めて、今まで接点のなかった層にもアプローチできているように感じます。キャラクターとしての価値も高まっているのではないでしょうか。

前田:SDGsをテーマにしているということだけではなく、YouTubeを始めたことでキティの新しい一面を見たという声は多くあります。動画内のキティの姿を見て、その親しみやすさに驚く声や、それまで興味はなかったという人からファンになったという声もいただいています。


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インドネシアの中学校でSDGsの授業を一緒に受けるキティ。


 親しみやすさはSDGsを発信していく上でも重要で、「キティが言うから聞いてみよう」「キティと一緒にやってみよう」と思ってもらいやすい。キティに対する感情がプラスに働くことで発信内容もポジティブに受け取ってもらえるようになります。キティの活動は45年以上続いているので、多くの人が物心ついたときからいる、かわいいキャラクターとして認知されていると思います。長年培った親近感やなじみやすさを持っていることは、ほかの著名人が発信すると少し遠く感じてしまうような内容でも、受け入れてもらいやすいのではないかと感じています。

世代を超えて愛されるキティ。「SDGs応援シリーズ」は教育現場での活用も

堀:「SDGs応援シリーズ」では、さまざまな団体や企業へ取材をしています。取材先の選定はどのように行なっているのですか。

前田:国内と海外で少し手法は違っています。海外での活動「#HelloGlobalGoals」は、国連との協働プロジェクトになっています。国連本部や関係機関の方々と相談しながら、各ゴールをわかりやすく説明できる活動をしている国や組織をピックアップしてもらい、決めています。


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ニューヨークの国連本部にて アミーナ・モハメッド国連副事務総長と記念撮影。


 国内については基本的にこちらからオファーをしています。愛知県立大学の学生の活動を取り上げたゴール11の動画は、学生が「HELLO KITTY CHANNEL」を見てSDGsを学んでいるということで先方からオファーをいただいたことが動画制作のきっかけになりました。

堀:取材先もキティちゃんが来るということで、新聞や雑誌の記者への対応とは違う雰囲気になるのでしょうか。

工藤:キティはSDGsについて初心者というスタンスで取材対象の方の想いを聞いています。キティが現場へ行って、見て、感じたことを聞くので、取材を受けていただく方も淡々と回答するというよりは、自然とキティに語りかけるような形になる。新聞や雑誌の取材とはコミュニケーションのあり方が違うので、出来上がるものも少し違い、より視聴者に受け入れられやすい形にはなっていると思います。

堀:「SDGs応援シリーズ」の視聴者からの反応はいかがですか。SDGsについては私たちもこのプロジェクトを通じて、取り組みが進んでいる人や団体と世の中で意識にギャップがあると感じています。まだまだSDGsそのものの認知も必要です。キティちゃんの活動が認知の裾野を広げているのではないかと思います。

前田:動画のコメント欄には、「HELLO KITTY CHANNEL」を見ていたからSDGsの授業もわかりやすかったという声や、チャンネルを通じてSDGsを知ったという声もあります。SDGsについて知る、より深く考えるきっかけになることは、キティやこのチャンネルに期待されている役割でもあると考えているので、その期待には応えられているのではないかと思っています。
 企業や自治体からは、キティと一緒にSDGsに取り組みたいというお話をいただくことも増えてきました。学校では、授業でキティの活動を紹介したい、学生が文化祭で動画を使いたいという話もいただいています。小中学校でもSDGsが授業で扱われるようになっていますし、そうした場面で役に立てていただいていると聞き、うれしく思っています。「HELLO KITTY CHANNEL」を通じて視聴者の方々に少しずつSDGsの話が広がっていることを感じます。

~後編(10月30日配信予定)に続く~
株式会社サンリオ
担当者

前田 南美

株式会社サンリオ
担当者

工藤 瞳子

堀 好伸
株式会社クロス・マーケティンググループ
リサーチ・コンサルティング部 コンサルティンググループ コンサルティングディレクター

堀 好伸


<プロフィール>
生活者のインサイトを得るための共創コミュニティのデザイン・運営を主たる領域とする生活者と企業を結ぶファシリテーターとして活動。生活者からのインサイトを活用したアイディエーションを行い様々な企業の戦略マーケティング業務に携わる。「若者」や「シミュレーション消費」を主なテーマに社内外でセミナー講演の他、TV、新聞などメディアでも解説する。 著書に「若者はなぜモノを買わないのか」(青春出版社)、最近のメディア出演「首都圏情報 ネタドリ!」(NNK総合)、「プロのプロセスーアンケートの作り方」(Eテレ)

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