マーケティングコラム

クォーターライフクライシスとは?注目される背景や検索データを解説

Facebook X
近年、クォーターライフクライシスという言葉が注目されています。マーケティング担当者であれば、この言葉が何を意味するのか、なぜ注目されているのか把握しておきたいところです。マーケティングにおいて、世間の流行や最新の動向を捉えておくことは大変重要です。本記事ではクォーターライフクライシスの意味や、注目される背景、関係する検索データについて解説するため、参考にしてみてください。

クォーターライフクライシスとは

まずはクォーターライフクライシスの意味を説明します。ミッドライフクライシスとの違いについてもあわせて紹介します。

クォーターライフクライシスの意味

クォーターライフクライシス(Quarter Life Crisis、QLC)とは、25歳前後から30代半ばの年齢の人が抱える漠然とした不安や焦りのことです。この年齢層はちょうど人生の4分の1が過ぎる時期であるため、この言葉が用いられています。

20代前半のうちは自分だけでなく周囲の人も社会人になってまだ年月が浅いため、仕事上や私生活で他人との差があまりつきません。うだつが上がらなくても、「まだ社会人になったばかりだから」ということで、大きな不安や焦りにはつながりにくいと考えられます。

しかし、20代後半に差し掛かってくると事情は違ってきます。社会人としての生活にも十分慣れた一方で、理想と現実のギャップに悩まされる人が多いです。子どもから大人になりきれていないと感じたり、将来への不安を抱えてしまったりする人もいます。

それに加えて仕事やプライベートがうまくいっている人とそうでない人との差も顕著になってきます。ほかの人が良く見えることで、劣等感を抱いてしまう人も多いです。
これらが原因でクォーターライフクライシスに陥ってしまいます。


20231201_02

ミッドライフクライシスとの違い

クォーターライフクライシスとよく似た言葉として、ミッドライフクライシスという言葉もあります。クォーターライフクライシスとは年代が異なり、40〜50代くらいの時期に見られるものです。

ミッドライフクライシスも、漠然とした不安や焦りなどを抱えるという点ではクォーターライフクライシスと似通っています。しかし、不安や焦りの背景がクォーターライフクライシスとは異なります。

この年齢層になると子どもも大きくなり、大半の家庭では子育てが一段落します。仕事においても、どのあたりまで出世できるのかおおよそ見えてくる時期です。そのような状況で、「自分は何者なのだろう」「このままで良いのか」などの不安を抱くようになります。

クォーターライフクライシスよりも、内面的な悩みが多いのが特徴です。第二の思春期と呼ばれることもあります。

クォーターライフクライシスが注目されている背景

近年、クォーターライフクライシスが注目されている背景についてみていきましょう。

SNSの普及

現時点で、クォーターライフクライシスが訪れ始める25歳前後の人はZ世代に分類されます。この世代の人たちが物心ついたころには、すでにインターネットが普及していました。幼いころからインターネットに触れてきた人も多いことが考えられます。

インターネットを見ると、さまざまな情報を得たり広い価値観に触れたりできる反面、自分が小さく思えてしまうこともあります。

クォータークライシスに対してインターネットのなかでも特に影響が大きいと考えられるのはSNSです。SNSの投稿では自らの充実ぶりを自慢するようなユーザーが多い傾向があります。自分と同年代のユーザーの投稿をみていると、つい比べてしまいます。その結果、劣等感につながってしまうことも多いのです。

このようなことは、ほかの世代の人でも多少は見受けられます。しかし、Z世代の人はこの世代以前の人と比較してインターネットとの関わりが深いため、SNSで他人と自分を比べてしまう傾向が特に強いといえます。


20231201_03

現代社会の複雑化

現代の生き方は以前よりも多様化しています。
たとえば、昔は20代で結婚して子どもを生み育てることが当たり前の社会でした。内閣府のデータによると、昭和50年における平均初婚年齢は男性27歳、女性24歳、初産の平均年齢は25.7歳です。

参照:「平成8年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-1997/haku97in.htm

20代で結婚して子どもを授かれば、その後の人生の方向性は自然と決まってきます。そのため現代と違って、クォーターライフクライシスのようなことは起こりにくかったといえます。

これに対して現代社会は複雑化しており、20代半ばでも多くの選択肢があります。30歳を過ぎてから結婚する人もいれば、独身のまま生涯を過ごす人もいます。多様な選択肢があることは良いことですが、それがかえって将来の悩みにつながっていると考えることもできます。

データから見る「クォーターライフクライシス」

クォーターライフクライシスの現状をインターネットの検索状況と海外のアンケート調査から考察していきます。

インターネットでの検索状況

次のふたつの条件を満たすキーワードを「クォーターライフクライシス」に該当するものとして、インターネットでの検索数をみると、2021年にこれまでの5倍近く増加し、2022年にはさらに大きく伸びています。

1.「不安」「焦り」「焦燥感」「低迷」「停滞」のいずれかを含む
2.「漠然」「〇〇歳」「××代」「人生」のいずれかを含む

増加の背景には、2021年ごろ、X(旧Twitter)やPodcastでクォーターライフクライシスが取り上げられたことも影響していると考えられています。

実際に20代中盤の人がよく調べる検索ワードをみると、仕事やキャリアアップ、今後の生活に対する不安が強いという特徴がみられます。その一方で、「漠然とした不安」「やる気が出ない」「うつ病 チェック」などの具体的な悩みではない不安を抱えている人もいることがわかります。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000081771.html


20231201_04

クォーターライフクライシスを経験している人の割合

アメリカやイギリスなどの海外においては、クォーターライフクライシスが2001年頃から一般的な概念として浸透しています。

その海外における調査によると、25歳~33歳のうち、7割以上がクォーターライフクライシスを経験しているとされています。不安やプレッシャーの要因として、経済的な問題や仕事に対する悩みに加え、人間関係などのプライベートな悩みもあげられています。

参照:
https://news.linkedin.com/2017/11/new-linkedin-research-shows-75-percent-of-25-33-year-olds-have-e
https://www.firstdirect.com/uncovered/heads-up/quarter-life-catalyst/

まとめ

クォーターライフクライシスは、20代後半から30代の人に見られる漠然とした不安や焦りのことです。もともと欧米で浸透していた言葉でしたが、最近では日本でも注目されるようになってきました。

この言葉が普及した背景には、SNSの普及により自分を他人と比べる機会が増えてきたことや、生き方が多様化していることなどが深く関わっています。今後、日本においても、クォーターライフクライシスを経験する人が増加していくことが考えられるため、ここで得た知識をマーケティングに活かしてみましょう。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード