マーケティングコラム
クォーターライフクライシスとは?注目される背景や検索データを解説
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近年、クォーターライフクライシスという言葉が注目されています。マーケティング担当者であれば、この言葉が何を意味するのか、なぜ注目されているのか把握しておきたいところです。マーケティングにおいて、世間の流行や最新の動向を捉えておくことは大変重要です。本記事ではクォーターライフクライシスの意味や、注目される背景、関係する検索データについて解説するため、参考にしてみてください。
クォーターライフクライシスとは
まずはクォーターライフクライシスの意味を説明します。ミッドライフクライシスとの違いについてもあわせて紹介します。クォーターライフクライシスの意味
クォーターライフクライシス(Quarter Life Crisis、QLC)とは、25歳前後から30代半ばの年齢の人が抱える漠然とした不安や焦りのことです。この年齢層はちょうど人生の4分の1が過ぎる時期であるため、この言葉が用いられています。20代前半のうちは自分だけでなく周囲の人も社会人になってまだ年月が浅いため、仕事上や私生活で他人との差があまりつきません。うだつが上がらなくても、「まだ社会人になったばかりだから」ということで、大きな不安や焦りにはつながりにくいと考えられます。
しかし、20代後半に差し掛かってくると事情は違ってきます。社会人としての生活にも十分慣れた一方で、理想と現実のギャップに悩まされる人が多いです。子どもから大人になりきれていないと感じたり、将来への不安を抱えてしまったりする人もいます。
それに加えて仕事やプライベートがうまくいっている人とそうでない人との差も顕著になってきます。ほかの人が良く見えることで、劣等感を抱いてしまう人も多いです。
これらが原因でクォーターライフクライシスに陥ってしまいます。
ミッドライフクライシスとの違い
クォーターライフクライシスとよく似た言葉として、ミッドライフクライシスという言葉もあります。クォーターライフクライシスとは年代が異なり、40〜50代くらいの時期に見られるものです。ミッドライフクライシスも、漠然とした不安や焦りなどを抱えるという点ではクォーターライフクライシスと似通っています。しかし、不安や焦りの背景がクォーターライフクライシスとは異なります。
この年齢層になると子どもも大きくなり、大半の家庭では子育てが一段落します。仕事においても、どのあたりまで出世できるのかおおよそ見えてくる時期です。そのような状況で、「自分は何者なのだろう」「このままで良いのか」などの不安を抱くようになります。
クォーターライフクライシスよりも、内面的な悩みが多いのが特徴です。第二の思春期と呼ばれることもあります。
クォーターライフクライシスが注目されている背景
近年、クォーターライフクライシスが注目されている背景についてみていきましょう。SNSの普及
現時点で、クォーターライフクライシスが訪れ始める25歳前後の人はZ世代に分類されます。この世代の人たちが物心ついたころには、すでにインターネットが普及していました。幼いころからインターネットに触れてきた人も多いことが考えられます。インターネットを見ると、さまざまな情報を得たり広い価値観に触れたりできる反面、自分が小さく思えてしまうこともあります。
クォータークライシスに対してインターネットのなかでも特に影響が大きいと考えられるのはSNSです。SNSの投稿では自らの充実ぶりを自慢するようなユーザーが多い傾向があります。自分と同年代のユーザーの投稿をみていると、つい比べてしまいます。その結果、劣等感につながってしまうことも多いのです。
このようなことは、ほかの世代の人でも多少は見受けられます。しかし、Z世代の人はこの世代以前の人と比較してインターネットとの関わりが深いため、SNSで他人と自分を比べてしまう傾向が特に強いといえます。
現代社会の複雑化
現代の生き方は以前よりも多様化しています。たとえば、昔は20代で結婚して子どもを生み育てることが当たり前の社会でした。内閣府のデータによると、昭和50年における平均初婚年齢は男性27歳、女性24歳、初産の平均年齢は25.7歳です。
参照:「平成8年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-1997/haku97in.htm
20代で結婚して子どもを授かれば、その後の人生の方向性は自然と決まってきます。そのため現代と違って、クォーターライフクライシスのようなことは起こりにくかったといえます。
これに対して現代社会は複雑化しており、20代半ばでも多くの選択肢があります。30歳を過ぎてから結婚する人もいれば、独身のまま生涯を過ごす人もいます。多様な選択肢があることは良いことですが、それがかえって将来の悩みにつながっていると考えることもできます。
データから見る「クォーターライフクライシス」
クォーターライフクライシスの現状をインターネットの検索状況と海外のアンケート調査から考察していきます。インターネットでの検索状況
次のふたつの条件を満たすキーワードを「クォーターライフクライシス」に該当するものとして、インターネットでの検索数をみると、2021年にこれまでの5倍近く増加し、2022年にはさらに大きく伸びています。1.「不安」「焦り」「焦燥感」「低迷」「停滞」のいずれかを含む
2.「漠然」「〇〇歳」「××代」「人生」のいずれかを含む
増加の背景には、2021年ごろ、X(旧Twitter)やPodcastでクォーターライフクライシスが取り上げられたことも影響していると考えられています。
実際に20代中盤の人がよく調べる検索ワードをみると、仕事やキャリアアップ、今後の生活に対する不安が強いという特徴がみられます。その一方で、「漠然とした不安」「やる気が出ない」「うつ病 チェック」などの具体的な悩みではない不安を抱えている人もいることがわかります。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000081771.html
クォーターライフクライシスを経験している人の割合
アメリカやイギリスなどの海外においては、クォーターライフクライシスが2001年頃から一般的な概念として浸透しています。その海外における調査によると、25歳~33歳のうち、7割以上がクォーターライフクライシスを経験しているとされています。不安やプレッシャーの要因として、経済的な問題や仕事に対する悩みに加え、人間関係などのプライベートな悩みもあげられています。
参照:
https://news.linkedin.com/2017/11/new-linkedin-research-shows-75-percent-of-25-33-year-olds-have-e
https://www.firstdirect.com/uncovered/heads-up/quarter-life-catalyst/
まとめ
クォーターライフクライシスは、20代後半から30代の人に見られる漠然とした不安や焦りのことです。もともと欧米で浸透していた言葉でしたが、最近では日本でも注目されるようになってきました。この言葉が普及した背景には、SNSの普及により自分を他人と比べる機会が増えてきたことや、生き方が多様化していることなどが深く関わっています。今後、日本においても、クォーターライフクライシスを経験する人が増加していくことが考えられるため、ここで得た知識をマーケティングに活かしてみましょう。
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