マーケティングコラム

グループインタビューの調査設計で重要な3つのポイント、新しい発見を得るための方法とは

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質の良い定性情報を得るためには、いくつかのコツがあります。今回は、調査をご発注いただく際に知っておくと参考になる、グループインタビュー準備段階でのコツやポイントをお話していきたいと思います。テクニック論というよりも本質論になりますので、ぜひ最後までご一読ください。

ポイント1:グループ設計は1つの特性に絞ることが最も重要

良いグループインタビューのためには良いモデレーションが重要ですが、良いモデレーションを行うためには適切な調査設計/グループ設計にすることも大切です。

最も重要なことは、グループの特性・特質を「1つ」にする、という点です。
これが、ポイントの1つめになります。

複数の見知らぬ人達を数分で1つの集団として成立させるためには、わかりやすい共通項が必要です。同じライフステージにある、同じブランドを使っている、同じ悩みを持つなど、「同じ仲間」と即座に記号化できる要素です。

最初から対立構造が想像できるようなグループ設計はおすすめしません。
「予算の関係上、1つのグループにまとめたい。」「本当はデプスインタビューがよいが、時間とお金がかかる。」といった理由で安易にグループ設計を考えることは望ましくありません。

例えば、とある商品の現状把握と新しいコンセプト評価を目的としたグループインタビューのときに、その商品の高満足層と強不満層が混在したグループにした場合、意見の対立が生まれ雰囲気が悪くなるか、相互にわかりあえず忖度しあう雰囲気になるといったことが予想されます。このようなリスクが容易に予測できるのであれば、できるだけ設計段階で回避することをおすすめします。

必要な要件は他にもありますが、このようにグループ設計が整った状態でやっと良い情報を取得できる準備がはじまります。


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ポイント2:グループは「一人の人格」

グループインタビューを見学しているときに、

「一人一人の話を順番に聞いてほしい。」
「新しいヒントを発見したいから、もっとつっこんで質問して欲しい。」
「話がどんどん逸れていってしまうから戻してほしい。」
「ただ聞きたいことを直接的に聞いてくれればいいのに。」
「結局、あたりまえの話しか聞けなかった。」

等と感じたことはありませんか。
もしそう感じた経験があるとするならば、改めてグループインタビューの本質を知って欲しいと思います。

グループインタビューは、相互に刺激しあうことでどのような相互作用が生まれるか、それによってどのように理解され、どのような結果に落ちていくのか。ある意味、1~2時間の観察調査ともいえます。グループ内での発言が自由・活発であればあるほど、発見やヒントが生まれます。

そもそもグループインタビュー自体、その集団を「一人の人格」と捉えるべきものです。
それこそがグループインタビューの本質でもあります。
これが、ポイントの2つめです。

「一人一人の発言を拾う」「必ず順番に話を振る」「当初のシナリオ通りに話をすすめ逸脱を許さない」といった方法では、当初の仮説や想定の枠を超えることは決してありませんし、そこに新しいヒントや発見をみつけることは難しいでしょう。

実際に弊社では、以前まで「iDOBATA KAIGI」という65歳以上のシニア女性を対象としたグループインタビューを定期的に実施していました。そこではシニアの方々が自由勝手におしゃべりする姿を観察することができたのですが、その場をご見学された方からは「話題の広がり方が我々の想定を超えていた」「このテーマからこのテーマにつながるとは予想もしていなかった」「仮説が間違っていたことに気付いた」といった驚きの声をいただいていました。話題からの逸脱を許しコントロールしない場だからこそ得られる発見です。


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ポイント3:定性調査の中で刺激となる呈示物の存在

何の情報も示唆もないところで対象者からお話を洗いざらい引き出していくことには限界があります。

例えば、「ふだんこの商品をどのように選んでいるのですか?」という問いに対し、何の情報もない中で答えられるのは「思い出せる範囲内」のことでしかありません。もちろん、何の情報もない中での発言やリアクションは、「純粋想起」としてとても重要な情報の1つです。

しかし、その次の段階として疑似店頭棚や商品パッケージを呈示すると、記憶に刺激が加わり「そういえば、パッケージに書いてあった文字が印象に残った」「赤い色が目立っていた」「隣に置いてあった商品と比較した」等の発言をさらに引き出せたりします。

また、定量調査で行うデザイン案調査は「どっちのデザイン案が好まれるか/選ばれるか」という選択の目的であるのに対し、定性調査で行うデザイン案調査は「デザイン案を絞り込むためのヒントを洗いざらいあぶりだしたい」ということにあります。その場合、試作品のデザイン案のみを呈示するだけでなく、何らか比較できるものを呈示することで、その評価の内容をより言語化し洗い出す手助けとなります。

それが、定性調査における「刺激剤」という存在です。
これが、最後の3つめのポイントになります。

グループインタビューでは、対象者そのものも「刺激剤」であり、相互に刺激しあって発言が活性化していきます。それ以外でも、対象者が刺激を受け、意識の言語化をサポートするような刺激剤をいくつか用意することが望ましいですし、どんな順序で情報を与えていくかということを事前に十分に練っておく必要があります。

まとめ

このように、新しい発見やヒントのためには、「グループを1つの集団とする設計」という準備を行い、「グループは1つの人格である」という本質を理解した上で、どんな情報をどのタイミングでどう見せるかという「刺激剤」となる仕掛けが重要なポイントとなります。定性調査の特性とコツを知り、より良いマーケティング・リサーチに活かしていただければ幸いです。


【参考URL】
https://jmrx-newmr.jp/archives/215

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