データマーケティングコラム

値上げ・インフレ社会でのLTV・顧客データ分析を考える

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世界経済は近年、新型コロナウイルスのパンデミック、地政学的リスクの高まり、労働コストの上昇、そして為替レートの変動といった複数の要因により、前例のない変動期を迎えています。これらの変化は、企業の生産性や消費者の購買行動に大きな影響を及ぼしています。本記事では、これらの社会経済変動が引き起こす値上げ・インフレ社会が、LTVと顧客データ分析にどのような影響を与えるのかを探り、企業が直面する課題と機会について解説します。

値上げ・インフレ社会とその影響

近年、緊迫した社会情勢により、毎日のように値上げのニュースが絶えず、私たちの生活に大きな影響を与えています。

IMFの報告によれば、2022年の世界の消費者物価上昇率(インフレ率)は、日本では2.5%、国内情勢が不安定な国々では、ジンバブエで193.4%、ベネズエラでは186.5%に達しており、わずか一年で物価が数倍に膨れ上がる事態が世界中で発生しています。

出典:「世界の消費者物価上昇率 国別ランキング・推移(IMF)」(グローバルノート)
https://www.globalnote.jp/post-7889.html

これらの経済的変動は、消費者の購買行動に直接影響を与え、企業にとっては、短期的な売上だけでなく、LTVとそれを支える顧客データ分析の重要性が一層問われる状況になっています。

LTV・顧客データ分析をおさらい

LTV(Life Time Value)は顧客生涯価値とも呼ばれ、「一人の顧客が企業にもたらす収益の総額」のことを指します。この概念は、顧客が初めて商品やサービスを購入してから、その関係が終わるまでの期間にわたって企業にもたらす利益を数値化したものです。LTVは、企業にとって貢献度が高い顧客層を抽出することに向いた考え方となります。

LTVの分析においては、顧客データを長期にわたり取得し、活用することが不可欠です。顧客生涯価値の「生涯」という言葉からも分かるように、この分析は一時的なデータや短期間のトレンドに基づくものではありません。中長期的な顧客の購買状況を把握することで、企業は顧客の真の価値を把握することが出来るようになります。

LTV分析について詳細を知りたい方は、下記リンク先の記事をご覧ください。
LTV分析のメリットとは?分析にあたって重要な算出方法の例も解説

顧客データ分析の役割

顧客データ分析は、顧客の購買行動、属性情報といったデータを分析することです。これにより、購買者の居住地や性別、会員ステータスなど購入者の人物像が明確化します。

これらのLTV分析、顧客データ分析を掛け合わせることで、高いLTVをもち貢献度の高い顧客層を特定し、それらのターゲットにとって費用対効果の高い施策を実行することが可能になります。


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値上げ・インフレ社会における、LTV・顧客データ分析の注意点

値上げやインフレが進む現代社会では、単に売上だけをみると、過去と比較して顧客一人当たりのLTVが増加し、企業にとって好ましい現象に見受けられますが、その背後にある様々な要因に着目する必要があります。

では実際に、値上げ・インフレ社会におけるLTV・顧客データ分析をする際に、注意すべきポイントを解説します。

LTV変化の内訳をチェックする

LTVの増加は、一見すると顧客の買い上げ金額の増加が要因と考えがちですが、その背後には顧客のロイヤリティの向上だけでなく、単価の上昇や購入頻度の変化など、様々な要因が隠れている可能性があります。

例えば、顧客一人当たりの年間購入金額が15,000円から16,000円に増加したとして、その内訳が「1,500円×10個」から「2,000円×8個」となっていた場合、顧客の購入数量や購入頻度が下がっている可能性もあります。また、価格は据え置きでも内容量の変化が起きているなど、この内訳をさらに分析することで、LTV増加の背後に隠れたリスクサインが見つかるかもしれません。

金額以外のKPIを設定する

値上げやインフレの影響を受けにくい金額以外のKPIを設定することは、企業が顧客の真の価値を把握する上で非常に有効です。

業種によって、重要視すべきKPIは異なりますが、継続年数、利用回数、来店頻度、購入点数などの指標を追加することで、顧客のロイヤリティや行動パターンをより正確に捉えることが可能になります。

例えば、地政学的要因での価格変動が大きいガソリンスタンドのような業態では、金額だけでなく給油量も重要指標としています。これにより、企業は価格変動の影響を除いて、純粋な顧客ロイヤリティを評価し、正しい判断、戦略を立てることができます。

顧客の意識調査を必ず行う

LTVの数値的な分析だけでは、顧客の真の感情や満足度を測定することはできません。特に値上げやインフレの影響で顧客の家計に負担がかかっている場合、前述の通りLTVが増加していても、必ずしもそれに比例して顧客満足度が高まっているとは限りません。

顧客が価格上昇をどのように感じているのか、サービス品質に不満を持っていないか、代替品を検討していないかなど、顧客の意識を直接調査することで、潜在的な不満を早期に発見し、顧客離れを防ぐための対策を講じることができます。

市場競争や変化が激しい中、定期的に顧客の声を調査し理解することは、企業が顧客中心のサービスを提供し続ける上で不可欠なアプローチです。

LTV・顧客データ分析ならクロス・マーケティングにご相談を

値上げやインフレが進む現代社会におけるLTVと顧客データ分析の重要性は、企業の持続可能な成長にとって欠かせない要素です。この複雑な社会環境下で、企業は顧客の真の価値を把握し、適切な戦略を立てるためには、顧客の購買行動、好み、ニーズを深く理解し、パーソナライズされたマーケティング戦略を展開する必要があります。

クロス・マーケティングでは、独自のメソッドである「ジャーニーデータ分析」を通じて顧客のLTV・顧客データ分析を行っています。この分析は、顧客の購買ジャーニー全体を通じて、顧客行動と心理を正確に把握することを可能にします。また、LTV最大化に向けたKPI設計や、継続的な顧客意識調査の支援も実施しており、LTV・顧客データ分析のトータルサポートを提供しています。

激動する社会情勢に強い、真のデータマーケティングの実現に向けて、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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