データマーケティングコラム
【後編】データの切り方で全く違う結果に!?もう一度知りたい『セグメンテーション』
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マーケティングで成果を出すために必ず知っておきたい「セグメンテーション」。コラムの前編では、マーケット(市場)セグメンテーションと顧客セグメンテーションの違いを、活用するメリットの観点から解説しました(前編の記事は
こちら)。本記事では、後編としてどのようにセグメンテーションをしていくのか、その具体的な進め方をご紹介します。
セグメンテーションの代表的な切り口
前編でもご紹介している通り、セグメンテーションとは市場・顧客を「細分化」することです。その細分化を進めていく上で必要となるのが「切り口」です。ここからは代表的な4つの切り口をご紹介しますので、それぞれの違いをしっかり押さえておきましょう。
ジオグラフィック変数(地理的変数)
国や地域、都市、気候帯、日本であれば都道府県、市町村、郵便番号など、地理にまつわる変数でセグメンテーションを行います。(例)一都三県に在住、アメリカのニューヨーク州が勤務先
デモグラフィック変数(人口動態変数)
年齢や性別、家族構成、職業、所得、学歴といった人口統計学的属性での細分化です。デモグラフィック変数は政府がデータを提供していることも多く、比較的収集しやすいことが特徴です。(例)年収500万以上の男性、30代の子持ち夫婦
サイコグラフィック変数(心理的変数)
性格や価値観、ライフスタイル、嗜好性、社会的地位などの心理的要素を切り口にグループ分けを行います。インターネットでのアンケート調査が身近になったことで、以前よりも精度高くセグメンテーションできるようになりました。(例)健康志向のライフスタイル、心配性な性格
ビヘイビアル変数(行動変数)
顧客の行動パターン(購入商品や購入頻度、購買チャネル、問い合わせなど)によってセグメント分けを行います。最近では、購買履歴やWebサイトのアクセス解析によって、顧客の行動をより詳細に把握できます。(例)過去3か月以内に自社のメルマガを3回以上開封、商品AとBを同時に購入
セグメンテーションの進め方5ステップ
上記の切り口を用いて、どのようにセグメンテーションを進めていくのかを5つのステップに分けて解説します。具体的なイメージが湧くよう、「料理レシピ動画のサブスクサービス」で上位プランへのアップセルを狙うセグメントを見つける場合を例として説明します。
ステップ1. 自社内のデータを整理する
完全にゼロから事業(会社)を立ち上げる場合を除いて、自社内にあるデータはセグメンテーションには大いに活用できます。まずはどんなデータを活用できるのか、アセットを整理しましょう。<料理レシピ動画サブスクの例>
社内データを再確認したところ、新規会員登録時に基本的なデモグラフィック変数や料理に関するサイコグラフィック変数を収集していた。またユーザーがどの動画を、どの程度の時間閲覧していたかといった一定の行動データも取得していることがわかった。
ステップ2. セグメンテーションの切り口を選ぶ
すでに収集しているデータを念頭に置きつつ、どの切り口をで分析するかをセグメンテーションの目的に合わせて選びます。単一の切り口のみで整理することもありますが、複数の切り口を組み合わせて使うとさらに有効です。<料理レシピ動画サブスクの例>
アップセルを狙えるセグメントを見つけるというゴールを念頭において考える。料理レシピ動画という特性からデモグラフィック変数である「家族構成」「年齢」は重要な切り口である可能性が高い。また「動画の視聴回数」や「ログイン頻度」などのビヘイビアル変数もアップセルに寄与すると判断可能。2つの切り口を組み合わせて分析することを決定する。
ステップ3. 足りないデータを集める
ステップ2で選んだ切り口で分析する際に必要なデータを洗い出し、足りないデータは社外からの調達も視野に入れながら追加で収集します。このステップが存在するため、ステップ2では自社保有のデータにこだわりすぎることなく、目的重視の変数選定が重要です。<料理レシピ動画サブスクの例>
「ログイン頻度」は期間をどう設定するかで値が変わり、直近1年間でのログイン頻度は既にデータを保有。しかし、より直近の短い期間でのログイン頻度が重要だと考え、「直近2週間」「直近1か月間」「直近3か月間」のデータを追加で収集した。
ステップ4. 収集したデータの分析準備をする
データが収集できた後に問題になるのが「適切にデータが整理されていない」ことです。「数値の単位が揃っていない」「表記揺れが多い」などが発生していると、適切に分析ができませんのでまずはデータの整理から始めましょう。データ整理については別記事で詳しく紹介していますので、こちらをぜひご覧ください。
データプレパレーションとは?その必要性や事例、作業内容も解説
<料理レシピ動画サブスクの例>
新規会員登録時の必須入力項目「作ってみたい料理ジャンル」の選択肢内容が過去に何度か変更されており、同じ内容について複数の名称が用いられたことがある。分析可能なサイコグラフィック変数として活用するには、同一内容については統一する必要がある(例:中華、中華料理、中国料理→中華料理に統一)
ステップ5. 分析する(ターゲティング)
ここまで対応して、やっと分析のフェーズとなります。各セグメントに当てはまる顧客数や受注率、期待受注数などを分析し、ターゲットセグメントを見つけます。より詳しく分析したい場合は、ロジスティック回帰分析やバスケット分析などを用いることもできるでしょう。このステップはSTP分析の「T:Targeting」にあたります。1つ注意点として、ミクロの視点も忘れないようにしましょう。ここまでマクロ視点の取り組みを中心にお話ししましたが、それだけではどうしても大味な分析になる可能性が高いです。顧客をN=1で様々な角度から観察し、実態をしっかり把握したうえで、ターゲティングに繋げていくことが重要です。
<料理レシピ動画サブスクの例>
分析した結果、「30代」「子供が2人以上」「直近1か月でのログイン頻度が20回以上」のセグメントが最も期待アップセル数が多い結果に。このセグメントをターゲットに設定して、アップセルに向けたマーケティング施策を組み立てる。
セグメンテーションはクロス・マーケティングにご相談ください
セグメンテーションの切り口・進め方を具体例とともに紹介しました。実際に「セグメンテーションをやってみよう」と思われた方はぜひクロス・マーケティングにご相談ください。クロス・マーケティングは、セグメンテーション支援の実績が豊富なだけでなく、N=1分析の観点からの顧客理解、ターゲティングのお手伝いも可能です。また調査会社ならではの内容として、調査によって不足データを補うこと、N=1の視点をさらに深めるデプスインタビューも実施可能です。
適切な顧客理解からの、ターゲットを絞ったマーケティング活動に少しでもご興味をお持ちの場合は、ご連絡お待ちしています。
ジャーニーデータ分析の詳細はこちら
■参考サイト:
https://blog.leapt.co.jp/what-is-cluster-analysis-an-introduction-to-the-ideas-and-methods-that-can-be-used-in-marketing-analysis
https://business.adobe.com/jp/blog/basics/customer-segmentation
https://blog.leapt.co.jp/easy-to-understand-explanation-of-the-basics-of-customer-segmentation-with-examples?hs_amp=true
https://www.synergy-marketing.co.jp/blog/what_is_customer_segmentation