マーケティングコラム
効果的なデータ分析・データ活用をする上で大切なことを解説
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インターネット通販の広がりや本格的なIoT時代を迎え、企業には大量のデータが入ってくるようになりました。しかし、こうした貴重なデータをマーケティングや課題解決に活用するのはまだまだこれからという企業も多いようです。データという宝の山をどう発掘し有効活用していくのか、データ分析の能力とノウハウが企業の成功に直結します。今回は、データ分析を行う前に把握しておくこと、データを活用する上で大切なことについて解説します。
データ分析をする前に
データ分析で大切なことは、データを活用する目的を明確にすることです。つまり、問題や課題を十分に理解し、どのような目的で、何を知りたいのかをしっかりと把握することです。よくある勘違いは、データをまとめたりグラフにしたりして終わりというものです。これは単にデータを整理しただけで、現状は把握できますが課題解決には結びつきません。意思決定を行うには、データ同士を比較したり、複数のデータを組み合わせたりして、原因を探り、課題を深掘りし立体的に見ることが肝心です。そしてそのために必要な作業がデータ分析なのです。会社でのポジションが上になればなるほど、高度な経営判断や戦略立案をしなければならないため、データの分析と分析結果を読み解く力が必要になります。正解がすでに存在している課題は、必要な情報を探し当てればそれが正解となり、データを分析する必要はありません。しかし答えがない問いに答えるのがビジネスの世界であり、そのためにはデータ分析という羅針盤が必要です。
データ分析は説得力を持ったエビデンスでありプルーフたるものです。そして、経営者やリーダーとして組織を動かすための指標でもあるということを、データ分析をする前にしっかり押さえておきましょう。
データ分析に必要なインテリジェンスサイクルとは
インフォメーションは単なる情報ですが、インテリジェンスとは、意思決定やアクションに必要な情報を指します。インフォメーションをインテリジェンスに変えるために必要なプロセスが、インテリジェンスサイクルです。インテリジェンスサイクルは、目的の決定、要求、収集、分析、洞察、伝達、フィードバックという流れを繰り返します。まず、経営者が正しい目的設定を行い、知りたいことを分析者に伝えます。次に分析者はその目的に沿ったデータを収集し、ふさわしい手法で分析します。続いて分析者は、経営者が判断できるように洞察し、分析結果を経営者に正確に伝達します。経営者は予断を持たずに結果を判断し、分析者にフィードバックを行って、不明な点の説明を求めたり、不足している情報の追加を促したりします。
インテリジェンスサイクルで注意すべき点は、意思決定に資する分析結果を提示することです。たとえば、「答えはAかもしれませんし、Bかもしれません」では、経営者は判断を下すことができません。しかし、「現状ではAである可能性が高いが、競合他社が価格を下げればBとなる可能性が高くなる」、というように提示すれば、Cが可能です。
同時にバイアスを避ける努力が必要です。分析者が、経営者の希望を忖度してしまうと、分析結果にバイアスがかかってしまい正しい判断につながりません。経営者は分析者にデータ分析の目的を正しく伝えると同時に、分析に影響を与えるような自分の意見は言わないことです。そして分析者は目的を正しく理解し、経営者や会社が望んでいると思われる結果を考慮せず、中立公正な目でデータを扱い粛々と分析を進めます。そうした客観性を担保するために必要なのが、インテリジェンスサイクルなのです。
プロセスを理解してデータを活用
データ分析はインテリジェンスサイクルの中の重要なプロセスの一つです。効果的な分析を行うためには、経営者と分析者双方がインテリジェンスサイクル全体のプロセスを理解しておくことが大切です。一般に、人は分析をする前に仮の結論を持っています。これはヒューリスティクスといって、論理的に下された結論ではなく今までの経験に基づいて直観的に下された結論のことで、判断に時間をかけていられない状況で効果を発揮します。経営判断の場合は客観性や合理性が必要なため、そうした仮の結論をデータ分析によって修正したり、裏付けたりすることが求められます。そのため、経営者と分析者がお互いの目的を共有しつつ、客観性の高い意思決定を行うための共同作業がデータ分析なのです。データ分析をインテリジェンスシステムのプロセスの一つとしてしっかり理解していないと、都合の良いデータだけを使ったり、意に反する分析結果を無視したりといった行為に繋がってしまいます。
さらに、経営者と分析者だけでなく、営業やコンサルタントなど戦略実行に関わる全員がこのプロセスを知っておくと、業務遂行の流れやスケジューリングに無理や矛盾が生じることを防げます。
まとめ
データは持っているだけでは何の価値もありません。ビジネスは、答えのない問題に答えを求めることの連続です。目的を正しく見据え、必要なデータを収集・分析し、それをもとに比較検討することで課題解決への道筋がエビデンスとともに立体的に浮かび上がります。データに基づいた判断を関係者全員が共有するとき、課題解決に向けて一丸となって取り組める環境が整います。関連ページ