マーケティングコラム

もう一度、基本に立ち戻ろう

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株式会社クロス・マーケティング
リサーチプランニング部 シニアリサーチャー

倉澤 尚宏

私がリサーチャーという仕事を始めてから20年以上が経ちます。仕事を始めた当時は“紙”の調査票が基本で、データの入力作業で筋肉痛になったのを覚えています。当時、パソコンはまだリサーチツールというよりも、集計装置という感じで、リサーチを司るのはあくまでも人の手でした。

技術革新による、リサーチの進化

 私がリサーチャーという仕事を始めてから20年以上が経ちます。仕事を始めた当時は“紙”の調査票が基本で、データの入力作業で筋肉痛になったのを覚えています。当時、パソコンはまだリサーチツールというよりも、集計装置という感じで、リサーチを司るのはあくまでも人の手でした。

20160121_02 ところが、1990年代後半に入り、パソコンとインターネットの普及が進むと、その環境は激変します。インターネットリサーチが新たな調査手法として普及してきたのはよく知られるところですが、私が感じた一番の変化は、リサーチの担い手が“人の手”から“パソコン”にシフトしたことです。

 このシフトは、リサーチに大きな進化をもたらしました。人の視線を追うアイトラッキングや、無意識の領域までを対象とするニューロマーケティング、POSなどのビックデータなどは、パソコンの高性能化なしでは起き得ない進化でした。

一方で、リサーチの現場は?

 再び古い話で恐縮ですが、パソコンとインターネットが現れるまで、クライアントの調査部は非情(笑)な“専門家集団”“玄人集団”でした。なぜなら、リサーチには安くても百万円を超えるお金が必要であるため、その主管部門には高い専門性とスキルが要求されていたからです。それゆえ、我々調査会社に対する要求レベルも高く、そういうクライアントに鍛えられることが、我々のやりがいであり、喜びであり、苦悩でもありました。

20160121_03 インターネットとパソコンの普及は、この構図にも少なくない変化をもたらしたと感じています。リサーチはより安く、早く、身近なものになり、リサーチに関わるクライアントにおいても、我々調査会社のリサーチャーにおいても、かつてのような真摯な気持ち(プロ意識)が薄れていているような気がしてならないのです。私は近年、リサーチに対する期待が薄れ始めていると感じているのですが、これが大きな要因のひとつになっているように思います。

自戒をこめて、真摯にリサーチに向き合いたい

 リサーチは今後も進化を続けます。もしかすると、それはもはや“リサーチ”という言葉ではくくれないものになっていくかもしれません。我々リサーチャーが、今後も生き残っていくためには、この進化するリサーチ環境にキャッチアップしていくことが必要不可欠です。とはいえここ10年近く、我々はこのことばかりに目を向けすぎていたのではないでしょうか。

20160121_04 どんなに技術が進化しても“生活者の心の声を聞きたい”というリサーチの基本姿勢は変わらないはずです。我々が心を砕くべきは“どうすれば生活者の心の声が聞けるか”であり、リサーチの進化は(極論すれば)その選択肢を増やしているに過ぎません。

 この基本姿勢こそが我々の矜持であり、この矜持こそが、我々が社会で生かされる唯一の存在意義であることを、今一度肝に銘じ、お客様や生活者と向き合っていきたいと思います。

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