昭和100年はいつ?100年で暮らしはどう変化した?激動の時代を振り返る
公開日:

最近のニュースで「昭和100年」というトピックを見かけ、「何のことだろう」と疑問に思ったことがある方は多いでしょう。昭和100年とは、そのまま「昭和元年から100年目」という意味です。切りの良い年であるため、この100年間で何が起きたのか、どのように時代が移り変わったのかを振り返ろうという取り組みがなされています。そこで今回は、昭和元年からの100年間で日本人の暮らしがどう変化したのかを、主な出来事や時代背景などとともに紹介します。
「昭和100年」っていつ?
2025年は、昭和元年から数えて100年目の「昭和100年」にあたる年です。なお、昭和のスタートは1926年12月25日であり、1927年1月1日からは昭和2年になるため、昭和元年はたった7日しかありませんでした。
また、昭和最後の日は1989年1月7日であり、始まりと同じく7日しかなかったという偶然が起きています。
「昭和100年」で暮らしはどう変わったか
昭和元年からの100年間で、日本人の暮らしや消費活動はどう変わったのでしょうか。2025年までの100年間を5つの時代に分けて解説します。
【1926年~1945年】世界恐慌と戦争
昭和初期から終戦までの約20年間は、世界恐慌と戦争によって大きく社会が変化した時代でした。昭和元年(1926年)に始まり、第二次世界大戦の終結までの期間は、日本の歴史の中でも特に激動の時代といえるでしょう。
・時代背景
1927年(昭和2年)
・日本初のファッションショーが開催
・日本初の地下鉄が営業開始
・全国中等学校優勝野球大会でラジオ実況中継開始
1930年(昭和5年)
・世界恐慌が発生し日本にも波及
1935年(昭和10年)
・第1回芥川賞・直木賞
1936年(昭和11年)
・二・二六事件発生
1938年(昭和13年)
・木炭自動車が登場
1939年(昭和14年)
・第二次世界大戦勃発
1940年(昭和15年)
・生活必需品が配給制となる
1945年(昭和20年)
・広島・長崎に原爆投下され太平洋戦争終結
・玉音放送が流れる
・暮らしの特徴
昭和初期は近代化が進みつつも、1930年に起きた世界恐慌が日本経済にも大きな打撃を与えました。農村部では深刻な不況に見舞われ、都市部でも失業率が上昇したのです。この経済危機は社会不安を高め、軍部の発言力が強まる一因となりました。
その一方で、文化面では新しい動きも見られました。1927年(昭和2年)には日本初のファッションショーが開催され、同年には日本初の地下鉄(東京地下鉄道・上野~浅草間)が営業を開始しています。
また、全国中等学校優勝野球大会(現在の甲子園)でラジオ実況中継が始まり、メディアを通じたスポーツ観戦という新しい楽しみ方が広まりました。
1935年(昭和10年)には、第1回芥川賞・直木賞が創設され、文学界に新たな動きが生まれました。しかし、時代は徐々に戦時色を強めていきます。1938年(昭和13年)には、燃料不足を補うために木炭自動車が登場するなど、資源の制約が日常生活にも影響を及ぼし始めました。
1940年(昭和15年)になると、生活必需品が配給制となります。戦争による物資不足が深刻化し、「贅沢は敵だ」というスローガンのもと、国民は質素な生活を強いられるようになりました。衣服や食料などあらゆる物資が制限され、国民の生活は戦争遂行のために統制されていきました。
【1945年~1970年】復興と経済成長
終戦から始まる復興期と高度経済成長期の昭和中期は、日本が大きく変化した激動の時代でした。敗戦の混乱から立ち上がり、世界が驚くほどの経済発展を遂げていきます。
・時代背景
1947年(昭和22年)
・第一次ベビーブーム到来
1946年(昭和21年)
・漫画「サザエさん」連載開始
1948年(昭和23年)
・笠置シズ子の「東京ブギウギ」がヒット
・太宰治の「人間失格」が出版される
1951年(昭和26年)
・民間航空会社「日本航空」誕生
・第一回紅白歌合戦放送
1953年(昭和28年)
・ブラウン管テレビが発売、地上波テレビ放送が開始される
1958年(昭和33年)
・東京タワー開業
1961年(昭和36年)
・ソ連(当時)が人類初の有人宇宙飛行に成功
1963年(昭和38年)
・日本初の高速自動車国道(名神)開業
・「こんにちは赤ちゃん」「見上げてごらん夜の星を」「高校三年生」がヒット。
・「鉄腕アトム」放送開始
1964年(昭和39年)
・東海道新幹線開業
・東京オリンピック開催
・新三種の神器としてカラーテレビ、車、クーラーが登場
・日本人の海外観光渡航が自由化
1969年(昭和44年)
・東大安田講堂事件発生
・アポロ11号が月面有人着陸に成功
・暮らしの特徴
この時代は復興と経済成長の時代として知られています。戦後の混乱と貧困から抜け出し、日本は急速な産業発展と都市化を経験しました。
1964年の東京オリンピック開催は、日本の戦後復興の象徴とされています。この国際的なイベントに向けて、高速自動車国道や東海道新幹線が開業し、全国的なインフラの整備が急ピッチで進められました。新幹線は「夢の超特急」と呼ばれ、世界最速の鉄道として注目を集めました。
家庭生活においても大きな変化がありました。1950年代には「三種の神器」と呼ばれる白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫が一般家庭に普及し始めます。1953年には地上波テレビ放送が開始され、多くの家庭で共同視聴が行われるようになりました。
1960年代になると、「新三種の神器」としてカラーテレビ、自家用車、クーラーが登場し、より豊かな生活への憧れが広がりました。1964年には日本人の海外観光渡航が自由化され、国際的な視野も広がっていきます。
文化面では、1946年に「サザエさん」の連載が始まり、戦後の庶民生活を描いた作品として人気を博しました。音楽では1951年に第一回紅白歌合戦が放送され、国民的な年末行事となります。
1963年には「こんにちは赤ちゃん」「見上げてごらん夜の星を」「高校三年生」などがヒットし、坂本九や美空ひばり、都はるみといった歌手が人気を集めました。同年には「鉄腕アトム」の放送も開始され、日本のアニメ文化の礎が築かれました。
この時代は、戦後の混乱から立ち上がり、高度経済成長によって「もはや戦後ではない」と言われるほどに日本が変貌を遂げた、昭和史の中でも特に重要な時期だったといえるでしょう。
関連記事:「団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介」
【1970年~1989年】オイルショックとバブル景気
1970年から1989年までの昭和後期は、日本経済が大きな転換期を迎えた時代でした。経済危機とその後の好景気という対照的な出来事が特徴的です。
・時代背景
1970年(昭和45年)
・大阪万博開催
・日本各地で歩行者天国が始まる
1971年(昭和46年)
・公害問題の深刻化により環境庁発足
・銀座にマクドナルド1号店が開店
・日清「カップヌードル」が発売
1972年(昭和47年)
・沖縄が本土復帰
1973年(昭和48年)
・第一次オイルショック発生
1974年(昭和49年)
・コンビニエンスストアが東京に開店
1975年(昭和50年)
・「およげ!たいやきくん」がヒット
1976年(昭和51年)
・キャンディーズやピンクレディーなどのアイドルが人気になる
1977年(昭和52年)
・白黒テレビが廃止し、カラー放送へ完全移行
1980年(昭和55年)
・TOTOからウォシュレットが発売される
1983年(昭和58年)
・任天堂「ファミリーコンピュータ」が発売
1984年(昭和59年)
・初代Macintoshが発売
・鳥山明の「ドラゴンボール」が連載開始
1986年(昭和61年)
・バブル景気の始まり
1988年(昭和63年)
・青函トンネル開業
・瀬戸大橋開通
・暮らしの特徴
昭和後期の日本人の暮らしは、経済情勢に大きく左右されました。1973年に起きた第四次中東戦争をきっかけに石油価格が急騰し、第一次オイルショックが発生します。トイレットペーパーやマッチなどの日用品が店頭から姿を消すなど、経済パニックに陥りました。物価高騰により家計は圧迫され、企業の経営も厳しい状況に追い込まれました。
一方、1986年から始まったバブル景気では、地価や株価が急上昇します。特に都市部の不動産価格は天井知らずとなり、「土地神話」が広まりました。企業はリゾート開発に積極的に投資し、ゴルフ会員権が高値で取引されるようになりました。
消費生活においても大きな変化がありました。1970年に日本各地で歩行者天国が始まり、1971年には銀座にマクドナルド1号店がオープン。同年には日清食品から「カップヌードル」が発売され、手軽な食事として人気を博しました。1974年には東京に初のコンビニエンスストアが登場し、消費スタイルに変革をもたらしました。
娯楽の面では、1975年に「およげ!たいやきくん」が大ヒット。翌1976年にはキャンディーズやピンクレディーなど女性アイドルユニットが一世を風靡しました。1977年にはテレビが白黒からカラー放送へと完全移行し、家庭の娯楽環境も一新されました。
1980年代に入ると、TOTOから温水洗浄便座「ウォシュレット」が発売され、日本の住環境は快適さを増していきました。1983年には任天堂の「ファミリーコンピュータ」が登場し、家庭用ゲーム機の時代が幕を開けました。翌1984年には初代Macintoshが発売され、鳥山明の人気漫画「ドラゴンボール」の連載も開始されました。
バブル経済の最盛期だった1989年には、リゲインのCM「24時間戦えますか」が流行語大賞にランクインします。この言葉は当時の過剰労働やエネルギッシュな社会の雰囲気を象徴するものでした。また、海外旅行が一般化し、多くの日本人が初めて国外での休暇を楽しむようになりました。
昭和後期は、経済的な苦境と繁栄をともに経験した激動の時代でした。この時期に形成された消費者心理や価値観は、現代のマーケティング戦略を考える上でも重要な要素です。
関連記事:「「時代を見る」「世代を読む」 バブル体験世代around50女性の真実」
【1989年~2019年】失われた30年
平成が始まってから終わるまでの約30年間は、日本経済の長期停滞期間として「失われた30年」とも呼ばれています。この時代は、バブル経済崩壊後の不況から始まり、日本社会や暮らしに大きな変化をもたらしました。
・時代背景
1989年(昭和64年)
・平成に改元
・消費税(3%)導入
・ベルリンの壁崩壊
1990年(平成2年/昭和65年)
・少子化対策開始
1991年(平成3年/昭和66年)
・バブル崩壊
1994年(平成6年/昭和69年)
・プレイステーションが発売
1995年(平成7年/昭和70年)
・阪神淡路大震災発生
・地下鉄サリン事件発生
・Windows95が発売
・ポケベルが若者の間で流行
1996年(平成8年/昭和71年)
・検索サイトがサービスを開始
・インターネットでバナー広告やメールでの広告が普及
1997年(平成9年/昭和72年)
・消費税増税(5%)
・ポケモン、たまごっちが流行する
1998年(平成10年/昭和73年)
・100円ショップができる
・携帯電話が普及
1999年(平成11年/昭和74年)
・低価格な発泡酒が発売
・「だんご3兄弟」がヒット
2000年(平成12年/昭和75年)
・BSデジタル放送開始
2001年(平成13年/昭和76年)
・アメリカで同時多発テロ発生
2003年(平成15年/昭和78年)
・地上デジタルテレビ放送スタート(東京・大阪・名古屋)
・「千と千尋の神隠し」が第75回アカデミー賞・長編アニメ賞を受賞
2011年(平成23年/昭和86年)
・東日本大震災発生
・アナログ放送終了
2012年(平成24年/昭和87年)
・スカイツリー竣工
・LINEが流行し定着する
2014年(平成26年/昭和89年)
・消費税増税(8%)
2015年(平成22年/昭和90年)
・スマートフォン普及率が5割に達する
2016年(平成23年/昭和91年)
・ポケモンGO配信スタート
・暮らしの特徴
この時代は「失われた30年」と呼ばれるように、1990年代初頭のバブル経済崩壊を契機に、日本経済は長期的な低迷期に入りました。企業は賃下げやリストラを実施し、雇用不安が広がりました。また、消費税の導入と段階的な増税も家計に影響を与えました。
金融界では銀行の統廃合が相次ぎ、「都市銀行」と呼ばれていた大手銀行の再編が進みました。一方で、暮らしの面では大きな技術革新の波が押し寄せました。
1990年代半ばにはポケベルが若者を中心に流行し、新しいコミュニケーション手段として定着しました。さらに、携帯電話の普及は人々のコミュニケーション方法を一変させました。1998年頃から急速に普及し始め、やがてガラケーからスマートフォンへと進化していきます。2015年にはスマートフォン普及率が5割を超え、生活必需品となりました。
エンターテイメントの世界では、1994年のプレイステーション発売を皮切りに、ゲーム機器も大きな進化を遂げました。1997年には「ポケモン」や「たまごっち」が社会現象となり、2016年には「ポケモンGO」が配信され、AR技術を活用した新しい遊びの形が生まれました。
この時代の最も大きな変化のひとつが、インターネットの普及でした。1995年のWindows95発売、1996年の検索サイトサービス開始により、一般家庭にもインターネットが浸透していきました。2005年にはYouTubeが登場し、2012年にはLINEが普及するなど、コミュニケーションツールとしてのインターネットの役割も拡大しました。
さらに、消費文化においても変化がありました。1998年には100円ショップが登場し、低価格志向が強まりました。1999年には低価格な発泡酒が発売されるなど、「失われた30年」の経済状況を反映した消費傾向が見られました。
このように平成時代は、経済的には苦しい時代でありながらも、技術革新によってアナログからデジタル時代へと大きく変貌を遂げた時代でした。昭和で言えば昭和64年から昭和94年に相当するこの期間は、日本の社会構造が根本から変わった転換期であったといえるでしょう。
関連記事:
「SNSの歴史とは?SNSの誕生から未来までをたどる」
「日本における出生率の推移は?低下している原因や政府の対策も解説」
【2019年~2025年】現在
令和に改元されてから現在(昭和100年)までは、劇的な社会変化と新たな生活様式の確立の時期でした。平成から令和へと移り変わった2019年以降、世界的な感染症の流行や国際情勢の緊迫化など、私たちの生活に大きな影響を与える出来事が相次いだ時代でもあります。
・時代背景
2019年(令和元年/昭和94年)
・令和に改元
・消費税増税(10%)
・働き方改革関連法施工
2020年(令和2年/昭和95年)
・新型コロナウイルス感染症流行
・緊急事態宣言発出
2021年(令和3年/昭和96年)
・コロナ禍で東京オリンピック開催
・世界の新型コロナウイルス感染症死者数455万人超
・新宿に裸眼3Dディスプレイによる巨大な猫の広告が登場
2022年(令和4年/昭和97年)
・安倍元総理銃撃事件発生
・ロシアがウクライナに侵攻
2023年(令和5年/昭和98年)
・新型コロナが5類に引き下げ
・暮らしの特徴
コロナ禍は私たちの働き方や消費行動に大きな変革をもたらしました。感染拡大防止のため、多くの企業でテレワークが推進され、オフィスに出勤せずに自宅やサテライトオフィスから業務を行う新しい働き方が急速に普及しました。
また、外出自粛の影響もあり、ネットショッピングの利用率が大幅に上昇しました。実店舗での買い物を控える代わりに、食料品から日用品、衣料品まで、インターネットを通じた購入が一般化しました。
コロナ禍の初期には消費行動が大きく抑制されましたが、時間の経過とともに徐々に回復し、2023年以降はコロナ禍前の消費水準に戻りつつあります。一方で、世界的な経済情勢の変化により、インフレが進行するようになりました。
この時期には「働き方改革関連法」も本格的に施行され、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現に向けた取り組みが進められました。
2021年(令和3年/昭和96年)には、新宿の屋外広告に裸眼3Dディスプレイによる巨大な猫の映像が登場し、SNSやメディアで大きな話題となりました。コロナ禍によるデジタル技術の加速と、新たな表現方法の象徴的な事例として注目を集めた出来事です。
このように令和初期(昭和94年~)は、パンデミックという未曽有の危機を経験しながらも、デジタル化の急速な進展とともに新たな生活様式が確立された時代といえるでしょう。
関連記事:
「コロナ禍でDXはどう変化した?事例も交えて解説」
「Z世代に注目!消費行動における特徴を解説」
「アルファ世代の特徴とは|新しい世代へのマーケティング戦略について解説」

まとめ
昭和元年からの100年間、戦争やバブル景気の発生と終了、新型コロナウイルス感染症など、さまざまな出来事によって人々の暮らしも大きく変化しています。昭和100年にあたる2025年に、これまでの歴史を振り返りつつ、この先の日本がどのように変わっていくのかを想像してみてはいかがでしょうか。
関連ページ