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個食市場を切り拓いた「プチッと鍋」第3回 「帰宅が遅い父親に」「主婦のランチに」個食のシーン訴求
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容器の形状、味と、イノベーションを起こすことを目指して開発を進めてきましたが、商品名もそれにふさわしいものを求めて検討を重ねました。「プチッと」という名前は、小さいという意味の「プチ(Petit)」と容器を開けるときの「プチッ」という音からきています。「プチ」という言葉が良さそうだというイメージはネーミングを考え始めたころから持っていました。
主婦の会話に自然と取り入れられた
容器の形状、味と、イノベーションを起こすことを目指して開発を進めてきましたが、商品名もそれにふさわしいものを求めて検討を重ねました。「プチッと」という名前は、小さいという意味の「プチ(Petit)」と容器を開けるときの「プチッ」という音からきています。「プチ」という言葉が良さそうだというイメージはネーミングを考え始めたころから持っていました。ネーミングは、「1個で1人前」というコンセプトに合っていること、言いやすいこと、覚えやすいことが大事です。そこで、ほかにも案を出し、条件に合いそうな5つほどの候補に絞って鍋物調味料のターゲットである30〜50 代の主婦を集めたグループインタビューを行いました。商品コンセプトを説明し、鍋物について自由に会話をしてもらったところ、参加者が自然に「プチッ」という言葉を使い始めていました。そこで、「プチッと鍋」という商品名に決まりました。
「プチッと鍋」は「個食」をキーワードとしていたこともあり、メインユーザーは、単身の方や夫婦2人世帯などを想定していました。しかし、テスト販売や調査の結果を見ると、単身世帯や2人世帯だけでなく、40代~50代の主婦やファミリー層からも支持を得ることができました。この結果を受け、「プチッと鍋」が提供できる価値は当初の予想以上に大きいと手ごたえを得ました。
「プチッと」シリーズを発売したことで、鍋物調味料として「個食」という新たなカテゴリーを生み出せたと考えています。販売チャネルもこれまでのスーパーマーケットだけではなく、コンビニエンスストアでの扱いを増やすことができています。
2013年の発売時は観月ありささんをキャラクターに起用し、テレビCMを中心としたプロモーションを行いました。「1プチッと、1人前」というキャッチフレーズで、「プチッと鍋」という商品がどんなもので、何ができるのかを訴求しました。またCMの中に「プチッ」という言葉も多用し、ブランドの認知獲得を目指しました。このテレビCMは放送後の評価も高く、このコンセプトをしっかりと伝える演出は今でも継続しています。
その後テレビCMでは、シーンの訴求も行いました。「帰宅が遅くなった父親に」「主婦のランチに」といった「1個で1人前」が活かせる場面を印象づけました。そこに加えて、チャーハンや炊き込みご飯といった鍋以外にも使えるレシピを紹介しながら、汎用性を伝えるテレビCMも放送しました。まずは認知を高め、次に利用シーン、さらに用途の奥行きを出すという段階をふまえた展開をしていきました。こうした展開は、秋冬が売上げのメインとなる鍋物調味料をシーズン以外にも訴求する狙いがあります。
デジタル施策を強化
店頭でもテレビCM放送に合わせて、専用POPやツールを使った連動の販促を実施しました。ポーション型を印象づけるための専用什器を作り、売場からの認知拡大を目指しました。オウンドメディアとしてブランドの特設サイトを作り、ここでもシーンやレシピを紹介し、マス広告とデジタル、店頭を一気通貫でつなげる構成になっています。2016年4月には当社内にデジタルマーケティングチームができたこともあり、オウンドメディアはさらに充実させています。ビッグデータ分析も活用し、消費者インサイトに基づいたペルソナを作り、それぞれに応じた利用法の提案を行っています。消費者の方からレシピを投稿してもらうキャンペーンなども人気で、当社のデジタルコンテンツの中でも一番訪問者が多いのが「プチッと」シリーズのサイトになっています。今後もデジタルならではのクロスコミュニケーションを展開していく予定です。
2016年の8月からは佐藤栞里さんを起用し、新しいテレビCMの放送を開始しました。実際のメインユーザー層を反映し、従来よりもファミリー層を意識したものになっています。通常は15秒CMがメインでしたが、夜遅く帰宅する父親にカレーうどんを、一人暮らしの子どもに「プチッと鍋」を送るといった家族の様々なシーンを伝えるために30秒CMを制作しました。
10月3日からは消費者の方に好きな商品を選んでもらう「プチッと総選挙」を実施しています。今年は「選挙」が何かと注目されたことと、シリーズも13種類まで増えたことをより多くの人に知ってもらう狙いです。8月に放送開始したテレビCMで、総選挙のプレゼント商品となる全13種類をディスプレイできる「プチッとスタンド」を登場させたところ、CMを見た方から「ほしい」「どこで手に入るのか」といった声もいただいているので、今回のキャンペーンには期待しています。
今後は、当社の得意とする鍋物調味料、肉まわり調味料はもちろんですが、これまで当社になかったカテゴリーへも挑戦したいと考えています。「プチッとうどんの素」で麺料理という新たなジャンルへのチャレンジにも手応えをつかむことができたので、ほかにもポーション型の良さを活かすことができるジャンルに広げていければ当社にとっても新たな強みとなるのではないかと感じています。
エバラ食品工業株式会社
マーケティング本部 商品開発部 新カテゴリー商品開発第一課 課長
石渡 宏美
エバラ食品工業株式会社
マーケティング本部 マーケティング部 販売促進課 課長
桑原 慶昭
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