デジタルマーケティングコラム

日本の広告費は2024年に過去最高!推移からその背景を徹底解説

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日本の広告市場はデジタル化の進展とともに成長を続けており、総広告費は2021年から3年連続で過去最高を更新しています。では、実際の広告費はどれくらいなのでしょうか。今回は、日本の広告費の現状や過去10年間の推移、広告費増加の背景を解説します。

 

【2024年版】日本の広告費の概要

まずは日本の広告費の現状について、電通社の調査レポートをもとに紹介します。

総広告費は過去最高を記録

日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比104.9%)で、3年連続過去最高を更新しました。総広告費が増加している背景としては、下記の要因が考えられます。

・コロナ禍からの回復による企業収益の好調・消費者の購買意欲の高まり
・オリンピック・パラリンピックなどの国際的なイベント
・円安の影響やビザの緩和によるインバウンド需要の増加

これらの恩恵を受け、「インターネット広告費」「マスコミ四媒体広告費」「プロモーションメディア広告費」の3つのカテゴリすべてが成長しました。

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出典:電通「2024年 日本の広告費」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0227-010853.html

インターネット広告費は動画広告を中心に成長

2024年のインターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%)に達し、前年に比べて3,187億円増加しました。インターネット広告費は年々成長を続け、2024年には総広告費の47.6%を占めました。

SNS上の縦型ショート動画コンテンツが人気を集めているほか、インターネット回線に接続可能なコネクテッドTVの普及により、動画広告の需要が高まっていることが起因しています。

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出典:電通「2024年 日本の広告費」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0227-010853.html

マスコミ四媒体広告費は3年ぶりに増加

マスコミ四媒体広告費は3年ぶりに増加し、2兆3,363億円(前年比100.9%)となりました。見通しの悪い世界経済や物価・人件費の高騰などにより「新聞広告費」は伸び悩んだものの、「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」はすべて前年を上回り、成長したことがわかります。

雑誌広告費は、出版社や雑誌編集部によるSNSでのタイアップコンテンツや、広告主へのオリジナル企画コンテンツ提供の増加などによって成長を遂げました。

ラジオ広告においては、地上波ラジオ放送における広告市場が前年を上回ったほか、「ながら」聴きが可能な音声メディアが注目を集め、デジタルオーディオ広告が増加しました。

また、テレビメディア広告費においても、地上波テレビ・衛星メディア関連ともに前年を上回っています。地上波テレビは「自動車・関連品」の復調や「薬品・医療用品」「化粧品・トイレタリー」が好調に推移し、スポット広告費が伸びました。衛星メディア関連ではBS・CSにおける通信販売市場が上昇しています。

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出典:電通「2024年 日本の広告費」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0227-010853.html

プロモーションメディア広告費も堅調に増加

プロモーションメディア広告費も前年に続き増加し、1兆6,850億円(前年比101.0%)となりました。コロナ禍の影響が落ち着き、人の流れが回復したことで、屋外広告や交通広告、POP、イベント・展示・映像などのオフライン広告が伸びています。

日本の広告費の推移

2015年~2024年の日本の広告費の推移は、下記の通りです。

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日本の総広告費は2015年~2019年までプラス成長を続けていましたが、2020年はコロナ禍の影響により9年ぶりのマイナス成長となりました。しかし翌年2021年には大きく回復し、その後3年連続で過去最高を更新し続けています。

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特にインターネット広告費の成長は目覚ましく、2019年には2兆円超えを達成し、初めてテレビメディア広告費を上回りました。2021年にはマスコミ四媒体広告費も上回り、広告市場全体の成長を支えています。

出典:電通「2024年 日本の広告費」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0227-010853.html
https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2024/pdf/koukokuhi_2024.pdf

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日本のインターネット広告費増加の背景

前述の通り、日本のインターネット広告費は継続的に高い成長率を維持していますが、どのような社会情勢が関係しているのでしょうか。ここでは、インターネット広告費が増加している背景をいくつか紹介します。

背景1|スマートフォンの普及

2010年以降のスマートフォンの急速な普及にともない、デジタル広告市場も大きく成長しました。とくに、アプリ内広告や、GPSなどの位置情報サービスを活用したローカル広告など、モバイル向けに最適化された広告が拡大しています。

背景2|インターネット利用時間の増加

消費者のインターネット利用時間の増加とともに、消費者が受け取る情報量も急増しました。総務省の調査によると、平日のインターネット利用の平均時間は2012年度~2020年度の9年間で2.3倍に増加し、2020年度には168.4分に達しています。またインターネットのトラヒック量は、5年前の2019年から約3倍に増加し、コロナ禍を経てデータ流通量も拡大していることがわかっています。

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出典:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000765135.pdf

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出典:総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000252.html

背景3|SNS利用率の増加

日本のインターネット広告費が増加した背景には、SNS利用率の増加もあります。SNSの利用者数・利用率ともに年々増加傾向にあり、消費者にとってより身近な存在になっています。この流れを受け、デジタル広告のなかでもFacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのSNSに掲載するソーシャルメディア広告の割合が増加しています。

SNSにおいては、視覚と聴覚に訴える動画広告をはじめ、ニュースや情報記事などのコンテンツのなかで自然に溶け込むように作られる「インフィード広告」が用いられています。そのほか、影響力の高いインフルエンサーに商品の紹介やレビューを依頼する「インフルエンサー広告」も増加しています。

背景4|EC市場の拡大

インターネットショッピングの定着が進み、EC市場の規模は右肩上がりで拡大しています。ECプラットフォームがよく閲覧されることで、そこに掲載されている広告の視聴率も上がります。

EC市場が拡大している背景には、スマートフォンの普及にともなうEC利用の増加や、コロナ禍での外出自粛の影響があったと考えられます。また、専門知識がなくてもECの立ち上げ・運用が可能なECツールの登場も、EC市場の拡大を後押ししました。

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日本とアメリカの広告費の違い

2024年における世界の広告費市場規模の上位5カ国は、上から順に米国、中国、日本、英国、ドイツです。ここでは、トップのアメリカと日本の広告費の違いを紹介します。

出典:電通「電通グループ、「世界の広告費成長率予測(2024~2027)」を発表」
https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001375.html


statistaの調査では、米国の広告市場における広告支出は、2025年には4,559.3億米ドルに達すると予測されています。一方、日本の広告費は561億4,000万米ドルと予測されており、約8倍の差があることがわかります。

出典:
statista「Advertising - United States」
https://www.statista.com/outlook/amo/advertising/united-states

statista「Advertising - Japan」
https://www.statista.com/outlook/amo/advertising/japan


当然ながら、アメリカと日本は人口や企業数などの規模が異なるため、広告費の数値だけで正しく比較することはできません。とはいえ、アメリカの総広告費がこれほど多い理由としては、下記のような要因が考えられます。

・市場規模と経済力
・技術革新の速さ
・データ活用の進展
・クリエイティブの自由度
・広告教育の充実
・広告の規制緩和

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まとめ

日本の広告市場は成長を続けており、2024年の総広告費は7兆6,730億円となりました。この背景には、コロナ禍からの回復やオリンピック・パラリンピックなどの国際的なイベント、インバウンド需要の増加などがあります。

なかでもインターネット広告費の成長は目覚ましく、インターネット利用時間やSNS利用率の増加、EC市場の拡大などが後押しになっています。デジタル化の進展に合わせた広告戦略を立てることで、効果的に事業の成長につなげられるでしょう。

 

 

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