デジタルマーケティングコラム
企業がDXに対して注目する理由とは?企業の取り組み事例もご紹介
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消費行動の変化やIT技術の進化により、最近ではDXやデジタルマーケティングに注目が集まっています。多様化する消費者の価値観や行動、時代の移り変わりに対応するためには、DXやデジタルマーケティングは必須だと言えます。特にDXは、販売やマーケティングだけではなく全社的な取り組みが必要です。そのため、どのようにDXに取り組めばよいのか迷っている方も多いでしょう。そこで今回は、企業がDXに注目している理由を整理するとともに、各企業の取り組み事例を紹介します。
企業がDX化に注目する理由
2018年に経済産業省から発行されたDXレポートは何度も改訂され、2021年8月には「DXレポート 2.1」が公開されました。日本では、国をあげて企業のDX化を推進しているということがわかります。では一体なぜ、国が支援してまで企業のDX化を推進しているのでしょうか。その理由を探っていきましょう。
【理由1】2025年の崖に対応するため
経済産業省が2018年に公開したDXレポートでは、このままDXが進まなければ2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生まれることを指摘しています。古いシステムを維持するための管理費の高騰や、IT人材不足による機会損失の拡大などが起こりうるからです。この問題を「2025年の崖」と言います。しかし、企業のDX化を実現させるためには、経営や人材、技術といったさまざまな面での課題をクリアしなければなりません。例えばIT技術が不足する企業ほどベンダーの力を頼りにしようとするため、必要以上の経費が発生し、思うようにDXを進展させられないケースはよくあります。そこで補助金の支給や支援事業の創設など、政府が国をあげて企業のDX化をサポートしているのです。
【理由2】ビジネス環境の変化に対応するため
企業のDX化が推進されている背景には、ビジネス環境の変化があります。市場のグローバル化や労働力不足、消費行動の変化などに対応するための手段として、DXの重要性が高まっているということです。
デジタル技術の進化により、人々の生活様式には大きな変化が生まれています。さらに新型コロナウイルスの感染が拡大した影響により、今ではほとんどのサービスがインターネットを介して受けられるようになりました。
人々の生活が便利になる中、デジタル化の対応に後れをとることは企業の存続にも大きく影響します。そのため、時代と共に変化するビジネス環境に適応できるよう、官民連携によってDX化が推進されています。
【理由3】テレワークの環境整備のため
テレワークが進み、その環境整備が必要になったことも、企業のDX化が加速する一因です。東京都が実施した調査によると、2021年12月時点の都内企業のテレワーク実施率は56.4%。コロナショックが起きる前は24%にしか過ぎなかった数値が、感染拡大の影響により50~60%台で推移しています。また、テレワークを実施している企業の約半数に当たる45.6%の企業が、週に3日以上テレワークを実施していることもわかります。
参考:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/01/07/06.html
企業にとって、従業員の感染拡大を防ぎ、なおかつコロナ禍で業績を維持・拡大させるためには、今やテレワークの実施は必須だといえます。テレワーク環境を整えようと思えば、組織や仕事のあり方に加え、従業員が社外でもストレスなく働けるようなデジタル環境の整備が必要です。このような事情から、企業のDX化が推進されています。
各企業における取り組み状況
では、国内におけるDXの進み具合はどのようなものなのでしょうか。ここでは各企業における取り組み状況について、3つの事例をご紹介します。【事例1】全社横断のデータ統合で変化に対応(シチズン時計)
腕時計を製造・販売するシチズン時計は、複数の部門やグループで別々に管理されていたデータを統合するため、DXを導入しました。以前までは、情報システム部門がデータの抽出を行っていたため、ユーザー部門が必要なデータをすぐに参照することができず、分析に着手するまでに大幅な時間を要していました。また、複数の部門・グループで同じような内容のデータを保管しており、全社でデータを統一できていないケースもありました。
そこで、全社横断のデータ活用ができるよう、データウェアハウスへのデータ統合を決意します。同時にデータモデル作成のルールブックを策定しました。その結果、ユーザー部門では自分の使いたいデータを使いたい時に自らアクセスできるようになり、分析に着手するまでの時間を短縮することに成功しました。
参考:https://jpn.nec.com/data/datadriven/case/citizen/index.html
【事例2】多角的なDX化で改革を成し遂げる(アスクル)
中小企業向けにオフィス用品を販売するアスクルは、多角的なDX化を推進する企業として有名です。例えば最近は、BtoBサービスにおける売上改善予測モデル「アスクル・シミュレータ」を開発しました。また、出荷頻度が低い商品の品切れ解消に向け、実証実験を実施するなど、全社をあげてデジタル改革に取り組んでいます。アスクルが本格的にDXに取り組み始めたのは2020年です。理由としては、医療・介護施設に販売していた商品がコロナショックの影響で品薄となり、生産や物流業務に大きな支障をきたしたことがあげられます。
この問題に対してアスクルは、データドリブン経営を徹底させました。顧客の属性や購買データなどを最適化させることで、医療関係先へ優先的に商品が届くよう販売システムに大きな変更を加えています。
参考:https://www.askul.co.jp/kaisya/dx/
【事例3】デジタルをフル活用した新規事業の開発(スペースリー)
スペースリーは、不動産業界向けのVRコンテンツを提供しています。近年の不動産業界では、手間がかかりやすい内見の仕組みそのものが大きな課題としてあがっていました。例えば借りる側としては、画像や図面の詳細を確認するため、毎回のように実際に物件に出向いて確認しなければなりません。これでは、借りる側に大きな手間がかかるだけでなく、最近はコロナ禍のため衛生的な問題も生じる可能性があります。
そこでスペースリーは、誰でも簡単に360度のVRコンテンツを制作できるクラウドソフトウェアを開発しました。作成した物件資料はオンライン上で見ることができ、パノラマ画像によって部屋の雰囲気をリアルに確認できます。物件まで足を運ぶ必要をなくすことで、不動産業界の大幅な効率化を実現しました。三井不動産レジデンシャルリースや東急不動産などをはじめ、4,000社以上の事業者がこのクラウドソフトウェアを利用しています(2020年6月時点)。
参考:https://spacely.co.jp/
まとめ
最近ではDXやデジタルマーケティングに注目が集まっており、日本では国をあげて企業のDX化を推進しています。人員不足やコストの点から、社内にDXを導入することは決して簡単なことではありませんが、DXを取り入れることで業務の効率化が実現できます。まずは自社の中での課題を整理し、目的を明確にしたうえで自社に適したDX化を推し進めていきましょう。【参考URL】
https://schoo.jp/biz/column/694
https://www.nttcom.co.jp/smartbilling/column/digital_transformation_promotion.html
https://digital-labor.roboroid.jp/dx-2018-2021/
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021083000814&g=eco
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