データマーケティングコラム
データ分析の前にデータマートを構築することの有効性とは|遠回りこそ一番の近道?
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デジタルトランスフォーメーション(DX)が謳われて久しく、多くの企業では様々なデータの蓄積が推進されてきました。その結果、現在は蓄積されたデータをビジネスに活かそうというフェーズに差し掛かっています。しかし、多くの企業はビジネスインテリジェンス(BI)ツールを導入して分析を進めても、実際にやりたい事、見たい結果の答えがデータから導き出せない、という課題に直面しています。試行錯誤の上、企業は課題解決にむけてさらに高度な分析ツールの導入に走りがちですが、それで課題は解決したのでしょうか?本記事では、データ分析の失敗例をもとに、データマートの構築の有効性について探っていきます。
データ分析で失敗しがちな例
多くの企業では、データが溜まるとすぐにBIツールを導入するケースが目立ちます。しかし、分析目的を定めずに集めたデータは、いざ活用してみると、目的に適したデータが集められていなかったり、分析に必要な軸が設定されていなかったなど、データをうまく活用できない状況に陥ります。分析がうまくいかない原因を理解しないまま、解決を図るためにより高度なツールを導入しても、結局はツールに搭載しているデータは同じであり、データから有効な答えを得ることが出来ず、さらに失敗を重ねた上に、導入コストを理由に改善の身動きが取れないことにもなりかねません。
データマートの有効性
これらの問題が積み重なると、「データを貯めて、システムを構築しても結局は何の役にも立たなかった」という風潮が生まれ、企業内でデータ活用プロジェクトの失敗と見なされて、最悪の場合にはDX推進自体が減速することにつながります。これらから学べることは、ツール導入に先立ち、あらかじめ分析で必要な答えが導き出せるように、分析目的に沿ったデータ整備や分析軸の設定が非常に重要であり、それを実現するのがデータマートの構築と言えます。
データマートとは?データウェアハウス・データレイクとの違い
データマートとは、蓄積されたデータから、利用部署や分析目的に応じて必要なものを抽出、集計し、利用しやすい形に格納した場所のことです。データを蓄積・保管する場所として、データマート以外にも、データウェアハウス、データレイクがあります。それぞれ異なる役割でデータを管理していますので、違いを以下で説明します。
データレイク
データレイクはその名の通り「データの湖」であり、様々な形式や大きさのデータをその原形のまま保存します。構造化データに加え、画像やSNSなどの非構造化データを含むあらゆるデータを一緒に保管するため、必要に応じて異なるデータ同士を組み合わせて分析することが可能です。データウェアハウス
データウェアハウスは「DWH(データの倉庫)」と呼ばれ、社内の基幹システムなどから集めた構造化されたデータを、時系列毎に整理して保管します。DWHは様々なフォーマットのデータを分析しやすいように整理・集約しているため、データから意味ある洞察を引き出すのに適しています。データマート
データマートは特定の部門や用途に特化したデータウェアハウスのサブセットです。データマートは、蓄積されたデータから、利用部署や目的・用途に応じて必要なものを抽出し、利用しやすい形に集計・加工した上で格納します。特定のユーザーグループのニーズに応じて設計され、関連するデータのみを含むため、より迅速なデータアクセスを提供し、分析の効率化を図れます。データマートの構築
データマート構築の鍵は、目的をもったデータの整理と、適切な分析軸の設定にあります。具体的には以下のステップで進められます。データ分析の目的を明確にする
データマート構築の第一歩は、どのようなビジネス上の問題を解決するためか、どのような問いに答えたいかを明確にすることです。この目的が、後の全てのデータ選択と構造の設計を導きます。必要なデータと分析軸の設定
施策効果を測定するための分析をしたい場合、施策成功の根拠となる具体的な数値やKPIを特定し、それをどのように計測するか、どのデータが必要かを定義します。このステップで設定する分析軸が、データマートの設計に直結します。データの評価と試行錯誤
既に蓄積されているデータを用いて初期分析を行い、データの不足点や分析軸の有効性を評価します。この過程で新たに必要とされる分析軸が明らかになり、データマートの設計が洗練されていきます。データマートの設計と構築
確定したビジネス要件と分析軸に基づき、データマートの構築を行います。この段階で、データウェアハウスから選択したデータを抽出し、適切に加工、変換してデータマートに格納します。継続的な分析とレビュー
実際の業務プロセスにデータマートを適用し、その効果を評価します。施策効果測定のための分析に必要なデータとして適切かどうかなど、実際の運用フェーズでその有効性を検証し、必要に応じてデータマートの調整や拡張を行います。確度の高いデータマートが最も重要
データマートの構築は既に蓄積されているデータを新たに格納しなおすことになるため、時間とリソースがかかります。一見、遠回りのように思えるかもしれませんが、データをより管理しやすく、意味のある形に整理しているため、迅速なデータ分析やビジネスの意思決定が可能となります。適当に急いでデータ分析を始めた結果、意味ある回答を導き出せずプロジェクトが失敗に終わることは、時間と費用の無駄遣いだけでなく、組織のDX文化を後退させるリスクを含んでいるため、確度の高いデータマートの構築がデータ分析、ひいてはDX文化構築の近道と言えるでしょう。効果的なデータマート構築のためには、分析目的を明確にしたうえで、どのデータが必要で、どのような形で分析軸を設定すべきかを事前にしっかりと計画することが必要です。特に、分析を始める前に試行錯誤を繰り返し、データがどのように扱われるべきかを理解することで、データマートはより精度高く設計することができるでしょう。
クロス・マーケティングでは
クロス・マーケティングでは、企業の部門や目的ごとに最適化されたデータマート構築の豊富な支援実績があります。特に「BI consulting」では、BIツール上での各課題に対して、データ基盤の構築からデータの整備・変換、ダッシュボードの構築・運用時のデータ更新まで、時間やノウハウが求められる各工程に対して、顧客の課題に合わせた様々な悩みの解決、分析環境の設計等をご支援しています。データマートの設計アドバイスやサポートも可能なため、安心して分析環境をご準備いただけます。
データマートをはじめ、データ分析環境構築に関してご検討やお悩みの方は、お気軽にクロス・マーケティングまでご相談ください。
【参考サイト】
https://dx.lakeel.com/column/dwh_merit_demerit/
https://www.realgate.co.jp/md/1349/
https://www.oracle.com/jp/autonomous-database/what-is-data-mart/
https://pig-data.jp/blog_news/blog/scraping-crawling/datamart/
https://www.dsk-cloud.com/blog/how-to-male-data-mart-5-steps