データマーケティングコラム

いまさら聞けない正しい「データのグラフ化」

Facebook X
デジタル技術の進展に伴い、企業は顧客の行動パターン、製品の評価や認知など、詳細なデータを収集できるようになりました。これらのデータは、ビジネス戦略を策定し、意思決定を行う上で重要な情報源です。そして、この豊富なデータを有効活用するには、パターンや傾向を直感的に理解できる「グラフ化」が欠かせません。しかし、不適切な「グラフ化」は、意図した情報を正確に伝えることができず、誤解を招く可能性があります。これは、グラフの種類、スケール、色彩など、様々な要素が情報の伝達を左右するためです。そこで本記事では、「グラフ化」の基本について、主に種類の側面から解説していきます。データの正しい「グラフ化」は、ビジネス戦略の策定や意思決定を成功に導く基礎ですので、改めて参考にしてください。

基本的な4つのグラフ

まず、4つの基本的なグラフを紹介します。ExcelやPowerPointでよく使われ、分析対象を一目で比較するのに適しています。また、TableauやPowerBIなどのビジネスインテリジェンス(BI)ツールでも簡単に作成できます。

棒グラフ

棒グラフは、値の大きさを視覚的に比較するのに適したグラフで、それぞれの項目が横軸に、その値が縦軸に表示されます。この形式のグラフは、特定のカテゴリー間の比較に特に適しています。たとえば、季節ごとの商品販売量や、各都市の人口などを視覚化する際によく使われます。



▲商品カテゴリーごとの売上状況を棒グラフで表したもの。
横軸がカテゴリーになっており、相対的な比較が一目で行えることがわかる
(注:以下全ての例はTableauにて作成)

折れ線グラフ

折れ線グラフは、時間の経過と共に数値がどのように変化するかを視覚化するのに適しています。たとえば、年間の気温の変化や会社の売上高の月次トレンドを示す際などに使われます。



▲転職サイトの想起率調査結果を時系列で表したサンプルグラフ。
Jビズの想起率が急上昇しており、何かしらの施策を実施したと考えられる。

円グラフ

円グラフは、全体に対する各部分の割合を示すのに適しています。円全体が全体の100%を表し、各スライスが特定の部分の割合を示します。たとえば、市場シェアや人口の年齢構成などを視覚化する際によく使われます。



▲営業向け社内調査におけるアウトソーシング利用状況を円グラフで表したサンプルグラフ。
全体の3/4が利用したことがない状況であることがすぐにわかる。

帯グラフ

帯グラフは、各項目の比率を視覚的に表示するのに適しています。帯グラフを縦に複数並べることで、構成比の変化を把握したりセグメントごとでの比較が容易になります。



▲2020年3月12日実施の新型コロナウィルス生活影響度調査(弊社実施)における将来の不安度を年代別に帯グラフで示したもの。年代ごとに不安度が高まるのがわかる。

活用できると便利な3つのグラフ

次に、複数のデータを視覚化できるグラフを3つご紹介します。これらのグラフもExcelやPowerPointで作成でき、BIツールを利用すればさらなる詳細表現が可能となります。

散布図

散布図は、2つの要素の関連性を視覚化するためのグラフです。データはx軸とy軸上にプロットされ、要素間の相関、トレンド、外れ値を視覚的に把握できます。たとえば、年齢と収入の関係性、または気温とアイスクリームの売上などの関係性を示す際に有用です。



▲製品サブカテゴリごとの販売数量と利益率を散布図にプロットしたサンプルグラフ。
これにより、製品特性の理解が進み、販売戦略の策定などに活用できる。例えばテーブル商品には抜本的な対策が必要であるとわかる。

バブルチャート

バブルチャートは、散布図の派生型であり、3つのデータを視覚化するのに最適です。x軸とy軸に加えて、バブルの大きさや色で第3の要素を表現します。これにより、複数の要素の関係性を一目で理解することが可能です。たとえば、製品別の販売量をx軸、売上をy軸、利益をバブルのサイズで同時に表現することで、どの製品が最も売れて利益を生んでいるかをすぐ把握できます。



▲各都道府県・カテゴリーごとでの利益と販売数量をプロットしたサンプルグラフに、売上高の情報をバブルサイズとして載せたもの。3重の情報をうまく統合しつつ確認できる。
例えばここで、事務用品は売上がやや小粒だが、多売により利益を挙げられているとわかる。

レーダーチャート

レーダーチャートは、対象の持つ複数の構成要素をまとめて比較する目的で使用されます。各軸が一つの要素を表し、。値は中心を0として軸上にプロットされ、線で結ばれます。構成比やバランスから対象の持つ特性を見出すことができ、2つ以上重ね合わせることで比較も可能です。商品やサービスの様々な特性の比較、あるいは個々のパフォーマンスの多面的な評価などに活用されます。



▲ES調査結果をBIツールTableauにてダッシュボードとして視覚化したサンプル。
左下がレーダーチャートで、項目別の状況が一見して理解できる。大まかなサマリーを表現するのに適しているため、詳細スコア等と併用して活用するとより活用しやすい。

より視覚的で応用的な3つのグラフ

これまでに紹介したグラフと比べて、以下の3つは特定のシチュエーションで視覚的に強いインパクトを提供します。

ツリーマップ

ツリーマップは、四角形の面積を用いてデータの量を視覚的に表現するグラフです。全体は一つの大きな四角形として表され、その中には各カテゴリーの値に応じたサイズの四角形が表示されます。四角形の面積から各カテゴリーの数値の相対的な大きさや構成比を直感的に理解することが可能です。たとえば、商品カテゴリー別の売上やWebサイトの各ページへの訪問者数などを視覚化する際に役立ちます。



▲都道府県ごとの販売数量を面積で示したツリーマップサンプル。
ここでは地域別での色分けを行っているため、地域単位での比較も含めて直感的な理解が進む。

ヒートマップ

ヒートマップは、色の濃淡や色相を使用してデータのパターンや変動を視覚化します。色の変化により、大量のデータでも関係性、パターン、異常値を素早く把握することができます。たとえば、一定期間にわたる時間帯別のWebサイト訪問者数をヒートマップで表示すると、訪問者数が多い日や時間帯を一目で確認することが可能です。



▲サブカテゴリーと地域のマトリックスに、利益率で色付けしたサンプルヒートマップ。
地域商品ごとの利益率が良い・悪いと、何よりその度合いが一見して理解できる。

マップ

厳密にはグラフではありませんが、地理的なデータを視覚化する際には、地図を使用するのは直感的です。BIツールのTableauでは特に容易に、地域ごとのデータを色やサイズで地図上に表現することができます。たとえば、国内外の店舗売上をマップにプロットすると、地域ごとの売上の高低を一目で把握することが可能となり、戦略的な意思決定を行う際の重要な参考情報となります。場合によっては人口統計などの外部データも駆使することで、戦略的な出店計画作成等にも活用可能です。



▲全国各地の営業店の売上状況を視覚化したマップサンプル。
色が濃くなるほど、売上が高い都道府県にあたる。都心部で特に売り上げ状況が良いことがわかる。

まとめ

「グラフ化」をすること自体は難しい作業ではありませんが、データの内容を的確に伝え、理解を深めるためには、適切な視覚化手法の選択が不可欠です。これには、利用者の視点やビジネスの論点を十分に考慮すること、さらにはその前段階となるデータの整備の充実性も重要となります。これらの要素が欠けていると、視覚化の効果は半減してしまいます。

クロス・マーケティングでは、経験豊富なデータアナリスト・データマーケターが多数在籍。データ準備の段階から体制構築まで、BIツールを中心にデータの視覚化を全面的にサポートします。これにより、データ価値が正確に伝わり、社内各部門での効果的な意思決定に役立ちます。データの「グラフ化」にお困りの際は、ぜひ一度クロス・マーケティングへご相談ください。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
話題のBeRealはなぜ人気があるのか?特徴や注意点、ビジネス利用も解説
「BeReal」は、通知から2分以内に投稿しないと友人の投稿を見られない、写真の編集機能がないなどの特性があり、若者の間で人気のSNSです。 今回は、BeRealがなぜ人気なのか、主な特徴と支持される理由を紹介します。ビジネス展開のメリットもあわせて解説しているので、マーケティングをお考えの方は参考にしてください。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルデトックスは効果なし?得られる効果と実践方法を解説
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやPCなどのデジタルツールから離れることで、ストレスを軽減する取り組みのことです。デジタルツールに囲まれて生活する方が多い現代社会のなかでは、ストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待できるといわれています。 しかし、「デジタルデトックスには効果がない」といった意見も見受けられます。今回は、デジタルデトックスには効果がないといわれてしまう理由や、より効果的にデジタルツールと距離を置く方法について解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード