データマーケティングコラム

いまさら聞けない正しい「データのグラフ化」

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デジタル技術の進展に伴い、企業は顧客の行動パターン、製品の評価や認知など、詳細なデータを収集できるようになりました。これらのデータは、ビジネス戦略を策定し、意思決定を行う上で重要な情報源です。そして、この豊富なデータを有効活用するには、パターンや傾向を直感的に理解できる「グラフ化」が欠かせません。しかし、不適切な「グラフ化」は、意図した情報を正確に伝えることができず、誤解を招く可能性があります。これは、グラフの種類、スケール、色彩など、様々な要素が情報の伝達を左右するためです。そこで本記事では、「グラフ化」の基本について、主に種類の側面から解説していきます。データの正しい「グラフ化」は、ビジネス戦略の策定や意思決定を成功に導く基礎ですので、改めて参考にしてください。

基本的な4つのグラフ

まず、4つの基本的なグラフを紹介します。ExcelやPowerPointでよく使われ、分析対象を一目で比較するのに適しています。また、TableauやPowerBIなどのビジネスインテリジェンス(BI)ツールでも簡単に作成できます。

棒グラフ

棒グラフは、値の大きさを視覚的に比較するのに適したグラフで、それぞれの項目が横軸に、その値が縦軸に表示されます。この形式のグラフは、特定のカテゴリー間の比較に特に適しています。たとえば、季節ごとの商品販売量や、各都市の人口などを視覚化する際によく使われます。



▲商品カテゴリーごとの売上状況を棒グラフで表したもの。
横軸がカテゴリーになっており、相対的な比較が一目で行えることがわかる
(注:以下全ての例はTableauにて作成)

折れ線グラフ

折れ線グラフは、時間の経過と共に数値がどのように変化するかを視覚化するのに適しています。たとえば、年間の気温の変化や会社の売上高の月次トレンドを示す際などに使われます。



▲転職サイトの想起率調査結果を時系列で表したサンプルグラフ。
Jビズの想起率が急上昇しており、何かしらの施策を実施したと考えられる。

円グラフ

円グラフは、全体に対する各部分の割合を示すのに適しています。円全体が全体の100%を表し、各スライスが特定の部分の割合を示します。たとえば、市場シェアや人口の年齢構成などを視覚化する際によく使われます。



▲営業向け社内調査におけるアウトソーシング利用状況を円グラフで表したサンプルグラフ。
全体の3/4が利用したことがない状況であることがすぐにわかる。

帯グラフ

帯グラフは、各項目の比率を視覚的に表示するのに適しています。帯グラフを縦に複数並べることで、構成比の変化を把握したりセグメントごとでの比較が容易になります。



▲2020年3月12日実施の新型コロナウィルス生活影響度調査(弊社実施)における将来の不安度を年代別に帯グラフで示したもの。年代ごとに不安度が高まるのがわかる。

活用できると便利な3つのグラフ

次に、複数のデータを視覚化できるグラフを3つご紹介します。これらのグラフもExcelやPowerPointで作成でき、BIツールを利用すればさらなる詳細表現が可能となります。

散布図

散布図は、2つの要素の関連性を視覚化するためのグラフです。データはx軸とy軸上にプロットされ、要素間の相関、トレンド、外れ値を視覚的に把握できます。たとえば、年齢と収入の関係性、または気温とアイスクリームの売上などの関係性を示す際に有用です。



▲製品サブカテゴリごとの販売数量と利益率を散布図にプロットしたサンプルグラフ。
これにより、製品特性の理解が進み、販売戦略の策定などに活用できる。例えばテーブル商品には抜本的な対策が必要であるとわかる。

バブルチャート

バブルチャートは、散布図の派生型であり、3つのデータを視覚化するのに最適です。x軸とy軸に加えて、バブルの大きさや色で第3の要素を表現します。これにより、複数の要素の関係性を一目で理解することが可能です。たとえば、製品別の販売量をx軸、売上をy軸、利益をバブルのサイズで同時に表現することで、どの製品が最も売れて利益を生んでいるかをすぐ把握できます。



▲各都道府県・カテゴリーごとでの利益と販売数量をプロットしたサンプルグラフに、売上高の情報をバブルサイズとして載せたもの。3重の情報をうまく統合しつつ確認できる。
例えばここで、事務用品は売上がやや小粒だが、多売により利益を挙げられているとわかる。

レーダーチャート

レーダーチャートは、対象の持つ複数の構成要素をまとめて比較する目的で使用されます。各軸が一つの要素を表し、。値は中心を0として軸上にプロットされ、線で結ばれます。構成比やバランスから対象の持つ特性を見出すことができ、2つ以上重ね合わせることで比較も可能です。商品やサービスの様々な特性の比較、あるいは個々のパフォーマンスの多面的な評価などに活用されます。



▲ES調査結果をBIツールTableauにてダッシュボードとして視覚化したサンプル。
左下がレーダーチャートで、項目別の状況が一見して理解できる。大まかなサマリーを表現するのに適しているため、詳細スコア等と併用して活用するとより活用しやすい。

より視覚的で応用的な3つのグラフ

これまでに紹介したグラフと比べて、以下の3つは特定のシチュエーションで視覚的に強いインパクトを提供します。

ツリーマップ

ツリーマップは、四角形の面積を用いてデータの量を視覚的に表現するグラフです。全体は一つの大きな四角形として表され、その中には各カテゴリーの値に応じたサイズの四角形が表示されます。四角形の面積から各カテゴリーの数値の相対的な大きさや構成比を直感的に理解することが可能です。たとえば、商品カテゴリー別の売上やWebサイトの各ページへの訪問者数などを視覚化する際に役立ちます。



▲都道府県ごとの販売数量を面積で示したツリーマップサンプル。
ここでは地域別での色分けを行っているため、地域単位での比較も含めて直感的な理解が進む。

ヒートマップ

ヒートマップは、色の濃淡や色相を使用してデータのパターンや変動を視覚化します。色の変化により、大量のデータでも関係性、パターン、異常値を素早く把握することができます。たとえば、一定期間にわたる時間帯別のWebサイト訪問者数をヒートマップで表示すると、訪問者数が多い日や時間帯を一目で確認することが可能です。



▲サブカテゴリーと地域のマトリックスに、利益率で色付けしたサンプルヒートマップ。
地域商品ごとの利益率が良い・悪いと、何よりその度合いが一見して理解できる。

マップ

厳密にはグラフではありませんが、地理的なデータを視覚化する際には、地図を使用するのは直感的です。BIツールのTableauでは特に容易に、地域ごとのデータを色やサイズで地図上に表現することができます。たとえば、国内外の店舗売上をマップにプロットすると、地域ごとの売上の高低を一目で把握することが可能となり、戦略的な意思決定を行う際の重要な参考情報となります。場合によっては人口統計などの外部データも駆使することで、戦略的な出店計画作成等にも活用可能です。



▲全国各地の営業店の売上状況を視覚化したマップサンプル。
色が濃くなるほど、売上が高い都道府県にあたる。都心部で特に売り上げ状況が良いことがわかる。

まとめ

「グラフ化」をすること自体は難しい作業ではありませんが、データの内容を的確に伝え、理解を深めるためには、適切な視覚化手法の選択が不可欠です。これには、利用者の視点やビジネスの論点を十分に考慮すること、さらにはその前段階となるデータの整備の充実性も重要となります。これらの要素が欠けていると、視覚化の効果は半減してしまいます。

クロス・マーケティングでは、経験豊富なデータアナリスト・データマーケターが多数在籍。データ準備の段階から体制構築まで、BIツールを中心にデータの視覚化を全面的にサポートします。これにより、データ価値が正確に伝わり、社内各部門での効果的な意思決定に役立ちます。データの「グラフ化」にお困りの際は、ぜひ一度クロス・マーケティングへご相談ください。

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