データマーケティングコラム

データ活用の大前提となる『シングルカスタマービュー』とは

Facebook X
近頃、企業の顧客管理は急速に高度化しています。CDP (Customer Data Platform) や CRM (Customer Relationship Management) といった概念の浸透とともに、支援ツールも数多く登場・進化し、企業での活用が進んでいます。チャネルが多様化し顧客接点が増加している現代では、顧客管理の重要性は増すばかりですが、その一方で同じユーザーの情報が複数のサイトやアプリに散在し、統合されないまま蓄積されていることが多いのも現実です。この状態では各種ツールもほとんど活用しきれません。このような事態を解消し、企業の持つ顧客情報という資産を最大化するため、一人の顧客についての情報を一元化し、全体像を把握する「シングルカスタマービュー」の重要性が高まっています。そこで、本記事では「シングルカスタマービュー」の必要性とその構築方法について解説していきます。

シングルカスタマービューとは

シングルカスタマービューは、360°ビューまたはユニファイドカスタマービューとも呼ばれ、購入履歴、購買行動、商品評価、個人プロファイルといった、あらゆるチャネルやタッチポイントから集められたデータを1人1人の顧客に適切に関連付けて管理・可視化することを指します。シングルカスタマービューを実現することで、次のような効果が期待できます。

深い顧客理解による戦略策定

顧客の行動パターン、趣味、購買歴などの全体像を把握することが可能となります。これらを通じて顧客のニーズや興味をより深く理解し、マーケティング戦略の策定に活用できます。

効果的なマーケティング活動

ターゲットとなる顧客の詳細なプロファイルを獲得することで、マーケティングキャンペーンの企画、実行、評価、改良といったPDCAサイクルを早く回すことができ、マーケティングの効率と成果を最大限引き上げることができます。

顧客エンゲージメントの強化

様々な顧客データを統合することで多角的なデータ分析が可能になり、個々の顧客の特性や状況に応じてパーソナライズされたコミュニケーションやサービスを提供することが可能となります。

データ管理の効率化

顧客情報を一元化することで、データの管理と活用を効率化できます。これにより、情報の迅速な検索、分析、活用が組織を横断して可能となり、企業の意思決定プロセスの精緻化を支援します。


もしシングルカスタマービューを実現できない場合、多角的なデータ分析が不十分になり、その結果、商品力やマーケティング効果が低下する恐れがあります。また、企業の意思決定のスピードも遅れることになり、市場競争力の低下という大きなリスクを抱えることとなるでしょう。

シングルカスタマービューの構築方法

シングルカスタマービューは、企業が保有する各種データソースを顧客単位で統合することで構築できます。しかし、複数のチャネルでの購入履歴、キャンペーンへの反響、カスタマーサポートの対応履歴、Webサイトやソーシャルメディア上での行動といった多様なデータをきちんと一つのビューに統合できている企業はまだ多くありません。そんな中でシングルカスタマービューを実現していくには、異なるデータベースシステム間の連携が鍵となります。

もしAPIによる連携が可能であれば、独自のシステム開発が不要かつ容易に接続可能なため、理想的なソリューションとなります。しかし、APIの仕様が合致しない場合や、API利用が大幅な運用コスト増加につながることもあります。

そのような場合、次に試みるべきなのは、システム間で統合可能な共通のユーザーIDや顧客分類ルールが設定されていないか確認することです。いわゆる共通マスタによってデータを連携することが可能であれば、API連携よりも手間はかかりますが比較的容易にデータの統合が可能です。

最後に、システムごとに固有のIDが割り振られてしまっているなど簡単に統合できる状態にない場合は、名寄せという手法でデータを一致させる必要があります。名寄せは、データ入力状況の調査から始まり、データの抽出、データクレンジング、データマッチングといった多くの作業が必要です。また、今後を見据えてフォーマットを統一化するなど入力ルールの制定も必要となるため、専門知識と技術を持ったデータ専門家の業務支援が必須となるでしょう。


20230609_02

シングルカスタマービューの活用はクロス・マーケティングまで

クロス・マーケティングには、共通マスタを用いたデータ連携や名寄せ処理を支援する優秀なデータマーケターが多く在籍しています。マーケティング、カスタマーサービス、製品開発といった業務を想定して活用しやすいようなシングルカスタマービューの構築をご支援します。

またシングルカスタマービュー構築後のさらなるデータ活用支援として「ジャーニーデータ分析」にも強みを持っています。顧客の分散した行動データを時系列に基づいて分析する手法で、LTV向上をもたらすトリガーとなる行動を把握し、マーケティング施策最適化を実現できます。

シングルカスタマービューの構築に関してご検討やお悩みの方は、どのようなことでもお気軽にクロス・マーケティングまでご相談ください。

関連コラム

データマーケティングコラム
RFM分析のメリットと実施方法とは?考慮すべき点も解説
RFM分析は、顧客の属性を細かく分けて分析することによって効率的にマーケティングを企画・実行していける分析手法です。RFM分析は多くの企業でマーケティング効率化のために取り入れられていますが、自社で取り入れたくてもメリットや実施方法がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そんな方々に向けて、今回はRFM分析のメリットや分析の実施方法、分析にあたって考慮すべき点についてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
LTV分析のメリットとは?分析にあたって重要な算出方法の例も解説
LTV分析は、顧客が企業に支払った金額を基にして商品やサービスの貢献度が高い顧客層を抽出することに向いた手法です。また顧客にかけているコストを明確にすることにより、コストと売り上げを関連付けてマーケティング施策を検討できます。しかしながら、LTV分析を自社でも取り入れてみたいが、いまいちメリットや算出方法がわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そのような方に向けてLTV分析のメリットとLTVの算出方法をお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
プライベートDMP(CDP)とは?導入するメリットと仕組みについて
昨今では販売チャネルの多様化によりマーケティングの重要度はより高いものになってきています。しかしながら、自社でもマーケティングを導入したいが、自社のデータをどのように活用していけばよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。そのような方には、マーケティングを効率化できるプライベートDMPツールの活用がおすすめです。今回は、プライベートDMP(CDP)について、導入するメリットや仕組みなどを交えてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
データ分析を妨げるデータのサイロ化とは?解消法についても解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が徐々に定着しつつある昨今、AIやIoTのシステムを構築してデータの利活用に乗り出す企業が増えてきました。しかしながら、現代の企業の多くがデータの「サイロ化」と呼ばれる事象に悩まされていて、データの利活用は思うように進んでいないのが実情です。今回はデータのサイロ化について、その解決方法も交えてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
購買分析におけるアソシエーション分析とバスケット分析の違いとは?
アソシエーション分析とバスケット分析は、共に小売店での購買分析に役立つ手法です。どちらも有名な手法のため、自社の分析において活用実績があることも多いでしょう。しかしながら、アソシエーション分析とバスケット分析の違いについてはよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、アソシエーション分析とバスケット分析の違いについて、アソシエーション分析の実施例や実施方法なども合わせてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
データプレパレーションとは?その必要性や事例、作業内容も解説
昨今ではAIやIoTを利用したデジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとするデータ活用が広がりをみせています。自社内はもとより社外で蓄積されているデータも活用して、事業変革を生み出したいと考える方は多いのではないでしょうか。データをスムーズに活用するためにはデータの整理・変換作業が必要ですが、非常に手間がかかります。そのデータ整理・変換作業を効率よく実施していくには、データプレパレーションと呼ばれる手法が有効です。今回はデータプレパレーションについて、その必要性や事例、作業内容などをお伝
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
これからはCXM(顧客体験マネジメント)の時代?CRMとの違いや移行ステップを解説
CXMとは「Customer Experience Management(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)」の略語であり、直訳すると「顧客体験マネジメント」を指します。これまで主流であった顧客との関係をマネジメントするCRM(Customer Relationship Management)から、ビジネス環境の変化に応じて生まれたのがCXMです。昨今、多数の類似商品の出現によって、高付加価値を持っていた商品が一般的な商品になってしまうコモディティ化が起きやすく、機能での差別化が難しく
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
データ分析における「解釈性」と「予測精度」の違いを詳しく解説
「解釈性」とは分析のわかりやすさ、「予測精度」とは予測と実測の近さのことを指します。どちらもデータ分析には欠かせない要素ですが、この2つの要素はトレードオフの関係にあります。この「解釈性」と「予測精度」について、どちらを重視すればよいか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。そのような方に向けて、今回は「解釈性」と「予測精度」の違いについてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
データバイアスを考慮したデータ分析とは?具体的な事例も交えて解説
DX(デジタルトランスフォーメーション)の隆盛により、データの活用がどの企業でも進んでいます。自社でもデータ活用を推し進めていきたいという方は多いのではないでしょうか。しかし、データには「データバイアス」が存在します。データバイアスを考慮しないデータ分析は、企業を誤った方向に導きかねません。今回は、データバイアスを考慮したデータ分析のポイントについて、事例も交えてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード