データマーケティングコラム
指標化が難しい顧客の声をどう活かす?AI時代到来の前にスタートダッシュできること
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近年、自然言語処理はAIの活用で急速に発展しています。OpenAIの人工知能チャットボット「ChatGPT」はその成果の1つと言えるでしょう。このような技術発展によって、今後マーケティングに有益な情報源は増加するでしょう。例えば商品レビューやSNS投稿といった「顧客の声」はこれまで活用が難しかったですが、今後は活用が進むことが予想されます。本記事では、AI時代の到来に向けて、指標化が難しい「顧客の声」をどのように活用すれば良いかを詳しく解説します。一般的な解説についてはデータマーケティングコラム「VOC (Voice of Customer) 分析」の
【前編】と
【後編】の記事もぜひご覧ください。
まずは「分析可能なデータ」にすることが重要
「顧客の声」を分析してビジネスに役立てることは、企業にとって欠かせない取り組みの一つです。しかし、カスタマーサポートとの通話音声やSNSの投稿などは、そのままデータとして扱うべきではありません。まずはそれらを扱いやすく分析可能な形にすることが重要です。通話音声やSNS投稿といった加工前の「顧客の声」は、そのままの状態でも個別の顧客対応では活用できます。一方でそういった「なま」のデータを、マクロ視点での顧客分析や企業全体の活動に活かすことは難しいでしょう。
例えばカスタマーサポートと顧客の通話記録を、マクロ視点での分析に活用することを考えてみましょう。この場合、分析者がすべての通話記録を聞いて確認することは、非効率的なだけでなく現実的に不可能です。また仮に可能であったとしても、顧客全体の課題やニーズを、客観的かつ説得力ある形でまとめ上げることは困難です。
そのため、音声に含まれる重要な情報を欠かすことなく、かつ誰もがすぐ把握できる形に変換する必要があります。具体的には、音声認識ツールなどを使用して音声をテキストに変換し、分析しやすい形に整えることが考えられます。
このように「顧客の声」を分析可能なデータに整えることで、大量の「声」を効率的に分析して内容をすばやく把握したり、問題点を洗い出すことが可能となります。これらのプロセスを経ることで、企業はより効率的かつ確度の高いアクションを打ち出すことができ、顧客満足度の向上や売上増加を実現できます。
データ分析に人間の判断は欠かせない
「顧客の声」を数値化・文字化して分析可能な形に変換できれば、目的に応じて様々な手法で可視化・分析することができます。しかし分析や可視化の段階では、人間の判断は今後も重要です。例えば代表的なビジネスインテリジェンスツールであるTableauにはワードクラウドの機能があり、SNS投稿のキーワードと発言量を直感的な操作で見やすくビジュアル化することができます。また、重要度やポジティブ・ネガティブに応じた点数をキーワードごとに設定し、投稿1つ1つに点数をつけて定量分析するアプローチも考えられるでしょう。これらの分析によって大量かつ多様な「顧客の声」の全体像をすばやく把握し、サービス改善や新たなビジネスチャンスにつなげることが可能になります。
しかしいずれの場合でも、企業がどの軸で何を知りたいかによって分析方法や可視化手段は大きく変わってきます。有名なデータ分析の格言として、“ Garbage In, Garbage Out ”「ゴミのようなデータを入れれば、ゴミのような結果が出てくる」というものがあります。AI技術を活用した顧客分析が発展している現状においても、AIにおまかせすればどんな状況でも正しく意味ある答えが返ってくるわけではありません。データの変換や前処理、分析の設計や手法選定など、ビジネスに関わる人間が企画・準備・判断すべき領域は今後も残り、むしろますます重要になっていくでしょう。
まとめ・AI時代到来前にスタートダッシュを切るために
AI時代を生き抜くためには、有用なデータを保有・活用し続けることが欠かせません。AI時代の到来に向けてスタートダッシュを切り、厳しい市場競争を勝ち抜いていくために、「顧客の声」を分析・活用できる環境や文化を社内に構築・浸透させることが、今まさに求められています。しかしここまで見た通り、単に「顧客の声」やデータを大量に収集するだけでは意味がありません。どんなビジネス目的を達成するために、どんな仮説を検証するのか。そのためのデータはどのチャネルやメディアから収集すべきなのか。どのような手法やツールでデータを加工し、分析するのが適切なのか。そういったことを計画し、分析業務に取り組むことが重要です。
クロス・マーケティングには、CRM、SNS、アンケートの自由記述回答といった「顧客の声」の分析支援経験が豊富なデータマーケターが多数在籍しています。また、データ加工・分析支援業務だけでなく、仮説検討や分析環境の構築など、「顧客の声」を活用する体制の構築をトータルでサポート可能。関心を持たれた方はぜひお気軽にお問い合わせください。