データマーケティングコラム
データストーリーテリングとは|現場に受け入れられるデータ利活用のために
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高度に情報化が進んだ現代では、大量のデータ(情報)を瞬時に収集し、蓄積・分析までできるようになりました。しかし、データに基づいて現場アクションをシームレスに変革できる企業はごくわずかです。そんななか、上司や他部署を動かすための「データストーリーテリング」という考えが重要視されてきています。本記事では「データストーリーテリング」の解説からBIツールへの活用までお伝えします。
データストーリーテリングとは
データストーリーテリングとは、「複数のデータや分析情報に基づきながら、その結果をストーリーとしてわかりやすく伝えること」を指します。以前からビジネスに物語(ストーリー)を持たせ、自らの主張をより深く相手に印象付けて理解を促す手法は用いられていました。それを「ストーリーテリング」と言います。有名な例としてはApple創始者のスティーブ・ジョブズ氏がApple製品のプレゼンを行う際、ストーリーテリングを活用しました。
この「ストーリーテリング」にデータによる裏付けや証拠を付与し、グラフや表を用いて分かりやすく伝える工夫を施したものが「データストーリーテリング」です。
データストーリーテリングで大切な3要素
Brent Dykes氏によると、次の3要素が適切に存在することで説得力のあるデータストーリーテリングになります。・Data(データ)
・Narrative(語り口)
・Visuals(視覚化)
Data(データ)だけでなくNarrative(語り口)が加わることで、統計値だけでは存在しなかった訴えかけが生まれ、データが与える影響を相手に伝えることができます。またVisuals(視覚化)によって、データの傾向を分かりやすく伝えられます。
この3要素が揃えば、相手に正確な情報をわかりやすく提供できるだけでなく、期待するアクションへ相手を導くことも可能になります。そのためデータストーリーテリングを活用する場合は、データ分析や解釈を伝えるだけでなく、ネクストアクションまで含めて構築することが大切です。
データストーリーテリングが有効なシーン
データストーリーテリングは、データを用いて相手に情報を伝えるあらゆるシーンで有効に活用できます。例えば、「営業現場にデータ活用文化を浸透させたい」という場面を想像してみてください。毎日忙しく働いている営業現場にデータ(数値)だけを展開しても、そのデータが活用されるイメージは湧かないと思います。データの専門家以外の人たちにとって、「どのデータが重要なのか」「どのようにデータを解釈したらいいのか」「データをどう活用すればよいのか」を考えるのはとても難しいことなのです。
だからといって、データの重要性や解釈の結果だけを伝えては、情報に目を通すだけで終わってしまう可能性が高いでしょう。また、データを活用したアクションだけを提示するだけでは、現場は押し付けられているように感じてしまいます。
こうした現場とのギャップを埋めるためには、データストーリーテリングを駆使して、きちんとストーリー仕立てにして伝えることが重要です。
データから導き出されることをグラフや表を用いて適切に理解してもらい、アクションの提示まで行います。そうすることではじめて、営業現場からデータに対する信頼を勝ち取ることができます。
また、ストーリーは分析者の独りよがりではなく、使用者目線に立って作成しましょう。営業現場の人たちは、目の前のお客様一人ひとりと向き合い、価値を提供することが仕事です。だからこそ、データを活用することで最終的に「どんな付加価値をお客様に与えられるのか」が伝われば、実際の行動を促せるはずです。
現場に浸透しやすいデータ提示のために
ここからは、「データストーリーテリング×BIツール」の活用法をご紹介します。昨今、BI(Business Intelligence)ツールを導入し、データを分析・見える化する企業が増えてきました。BIツールを活用していると、ダッシュボードという形でデータを現場に展開する機会があると思います。
そこにデータストーリーテリングの考え方を応用することができれば、現場に浸透しやすいダッシュボードが見えてきます。「現場に浸透しやすい」とは、言い換えると「インサイトからアクションにつながる」ことです。
こうしたダッシュボードを作成するためには、「誰が使用するか」を明確にしたうえで、その使用者のビジネスゴールやビジネス指標に合わせた情報を提供しましょう。
例えば、前章のように営業現場にダッシュボードを提供する場合であっても、営業メンバーと営業マネージャーでは追っているビジネスゴールやビジネス指標は異なります。
営業メンバーにはより効率的・効果的な日々の営業活動につながる情報を分かりやすく提供する必要があるでしょう。一方で営業マネージャーには各メンバーの営業成績を把握でき、部署全体の成果管理が可能なダッシュボードが求められます。
つまり、BIツールを活用するうえで一番大事なのは、各現場のアクションを変動させうる最重要な指標をはじめに明らかにすることと言えます。
その上で、デザイン的な側面(見え方)すなわちVisuals(視覚化)を意識すれば、相手に分かりやすく情報を届けられるのです。
説得力を持ったデータ提示を|お困りごとがあればクロス・マーケティングへ
大量のデータに瞬時にアクセスできる現代では、データを保有していること自体に価値はありません。データをいかにして活用するかが重要であり、そのためには、データの専門家以外の人たちに対しても説得力のある説明が求められます。今回ご紹介した「データストーリーテリング」を駆使して、データをより価値のあるものに昇華させ、現場アクションの変革を実現しましょう。
クロス・マーケティングには、これまで様々な会社のデータを扱ってきた経験豊富なデータマーケターが多数在籍しています。
BIダッシュボードの要件定義~運用まで一気通貫で支援するサービスもご用意しており、これまで業界・業種を問わず数多くの実績があります。データストーリーテリングにお困りごとがあれば、いつでもご相談ください。