データマーケティングコラム

データバイアスを考慮したデータ分析とは?具体的な事例も交えて解説

Facebook X
DX(デジタルトランスフォーメーション)の隆盛により、データの活用がどの企業でも進んでいます。自社でもデータ活用を推し進めていきたいという方は多いのではないでしょうか。しかし、データには「データバイアス」が存在します。データバイアスを考慮しないデータ分析は、企業を誤った方向に導きかねません。今回は、データバイアスを考慮したデータ分析のポイントについて、事例も交えてお伝えしていきます。

データバイアスとは

バイアス(bias)とは、傾向、先入観、偏見といった意味の英単語で、データバイアスとは、間違った認識や差別、偏見を含む偏ったデータを収集してしまうことです。
データバイアスを考える例として、メタボリックシンドロームであるかを判定する「特定健康診査」を受ければ長生きできる、という仮説について考えてみましょう。
特定健康診査を受けている人と受けていない人の寿命をデータとして集めれば、差が比較でき、おそらくは概ね仮説通りの結果が出ると予想されます。しかし特定健康診査は任意の受診であり、特定健康診査を受ける人は元々生活を整えることに対しての意識が高いため、寿命も長くなる傾向があるともいえます。
データを分析する際には、この特定健康診査のケースのようなデータの偏りを防ぐため、適切にデータが集められているかについてチェックしておくべきです。もし偏りがあるのならば、注意すべき点は何かについて認識しておきましょう。

データバイアスの具体事例

ここからは、データバイアスによってどのような誤解釈に陥るかを、バイアスの種類ごとにみていきましょう。

グループの特徴が違うことに起因するバイアス

自社のECサイトで、購入が最近あったユーザーや一定額の購入をしているユーザーに向けて、広告を出すような場合を考えてみましょう。この広告の効果について分析する場合に注意が必要なのは、「広告がなかった場合でもユーザーが購入する可能性がある」ことです。分析にあたっては、広告があった場合となかった場合の両方を比較することが必要です。

集団の一部が脱落してしまうバイアス

例えば新薬の実験をAとBという2つのグループに実施する場合、片方のグループで体調不良が多く発生して脱落してしまうと、グループの人数に差が生じてしまうため、正しい結果は得られなくなります。この場合は、集団のメンバーを補充したうえで実験をやり直すしかありません。

データ定義の違いに起因するバイアス

店舗ごとの売り上げを比較する場合、IDや名前の統一(名寄せ)が行われていないと、正確な各商品の売り上げ比較ができません。POSシステムなどを構築する際には、必ずIDや名前の統一を実施しましょう。

データの取得時期の違いに起因するバイアス

例えば30歳未満の選挙投票率について分析する場合、選挙年齢の引き下げが発生した前と後のデータで比較してはいけません。分析対象のデータについて、データの取得時期は揃える必要があり、今回の場合は選挙年齢引き下げの前と後のデータを分けて分析する必要があります。

生存者バイアス

SaaSサービスで採取できるデータは、継続利用しているロイヤリティの高い層が中心のデータになるため、サービスにとって好意的なデータが多くなります。このバイアスを考慮するには、ユーザーを一定の利用期間でセグメンテーションし、結果を比較しましょう。ロイヤリティの低いユーザーの情報も併せて分析することは必須です。

志願者バイアス

店舗利用後のNPSにおいて調査に協力してくれる人は、すでに店舗に対して愛着を持っている場合があります。愛着を持っていなくても、日常的に店舗を利用する人である可能性が高いでしょう。サービス利用ログから、調査協力者はどういった層なのかを確認しておくことが必要です。

ここまでデータバイアスの事例を紹介してきましたが、それぞれの状況に応じて解決策が異なり、さらに解決策の判断には豊富な経験が必要なため、ノウハウがない場合の対応は困難を極めます。


20230414_02

バイアスを考慮した分析はクロス・マーケティングへ

データバイアスとは、偏りがある状態でデータを集めてしまうことを指します。そしてここまで説明してきた通り、データバイアスの種類によって考慮すべき内容も変わってきます。こうした分析はノウハウが必要なこともあり、専門知識がない場合の対応は困難を極めるでしょう。
クロス・マーケティングではデータマーケティング事業としてアンケートデータだけでなく、企業で保有している様々な種類のデータを取り扱うサービスを展開しています。データの種別に応じたデータバイアスを考慮した分析も得意としておりますので、是非ご気軽にご相談ください。


■参考サイト:
https://www.umi-mori.jp/article/science/data_bias#i-1
ttps://bloom-t.co.jp/blog/article_5833/
https://www.youtube.com/watch?v=FqMCUSy5KVw&t=247s
https://a2i.jp/column/post-28405/
https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/aa/causal_inference
https://trailhead.salesforce.com/ja/content/learn/modules/responsible-creation-of-artificial-intelligence/remove-bias-from-your-data-and-algorithms
https://www.enago.jp/academy/bias-in-qualitative-research/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcdp1974/34/2/34_2_188/_pdf/-char/ja
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/sss/pdf/161227_shiryou3.pdf
https://cintelligence.co.jp/2019/11/11/blog-disicion-bias/

関連コラム

マーケティングコラム
効果的なデータ分析・データ活用をする上で大切なことを解説
インターネット通販の広がりや本格的なIoT時代を迎え、企業には大量のデータが入ってくるようになりました。しかし、こうした貴重なデータをマーケティングや課題解決に活用するのはまだまだこれからという企業も多いようです。データという宝の山をどう発掘し有効活用していくのか、データ分析の能力とノウハウが企業の成功に直結します。今回は、データ分析を行う前に把握しておくこと、データを活用する上で大切なことについて解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
データ統合の視点から考える、マーケティング組織と営業組織が連携することの価値
マーケティング組織が予算を獲得しようとしたときに経営層から言われて困りがちな質問として、「ROIはどうなの?」、「コストパフォーマンスは考えているの?」、「で、売上はあがるの?」といった質問が挙げられます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
企業がデータドリブンマーケティングを行う際に知っておくべきこと5選!
今後のマーケティング方針については、これまでも多くの企業でデータに基づき判断されてきました。しかし、近年はいかに顧客の購買意欲につなげられるかが重要視されていて、ビッグデータの活用の重要性がより高まっています。そんな中、注目を集めているのがデータドリブンと呼ばれるマーケティング手法です。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
顧客ロイヤリティを図る指標とは?さまざまな指標について解説
カスタマーサクセスという言葉の浸透により、最近では顧客ロイヤリティにも注目が集まっています。自社の製品やサービスに関しても顧客ロイヤリティを計測してみたいという方は多いのではないでしょうか。しかしながら顧客のロイヤリティに関しては意味を理解したものの、どのように顧客ロイヤリティを計測してよいかわからないという方もいらっしゃるかと思います。今回は、顧客ロイヤリティを具体的に図る指標について解説をしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
SaaS、Paas、IaaSとは?それぞれの定義と違い、その他押さえておくべき○aaS
近年ではクラウドサービスが普及し、SaaS、Paas、IaaSなどという言葉がよく聞かれるようになりました。しかしながら、これらの言葉の意味をよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。 今回は、SaaS、PaaS、IaaSそれぞれの定義と違い、その他押さえておくべき○aaSについてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
誰でも測定できるNPSの結果を正しくビジネスに活かすためには?
NPSとは、誰でも比較的簡単に指標の測定ができ、結果の分析もしやすい評価手法です。特に難しい仕組みを用いなくてもアンケートだけで簡単にデータを取得し、分析することができます。しかしながら、分析結果をビジネスに活用する場合、その方法がよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、NPSの結果を正しくビジネスに活かす方法についてお伝えしていきます。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
カスタマーエクスペリエンス(CX)のメリットとは?顧客体験が向上した成功事例を紹介!
自社の業績を拡大させるためには新規顧客の獲得が欠かせません。しかし、集客やブランディングばかりに注力していては、既存顧客への対応がおろそかになってしまいます。もしリピーターの確保や顧客ロイヤリティの向上で課題を抱えているなら、顧客の満足度が低い可能性が考えられるでしょう。カスタマーエクスペリエンスは、顧客体験の向上に重きを置き、自社のファンやリピーターを増やすための施策です。本記事では、カスタマーエクスペリエンスの考え方や事例をわかりやすく簡単にご紹介します。顧客の満足度がなかなか高まらないと悩
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
データマーケティングコラム
企業の商品開発のデータ活用の身近な例から学ぶ!ビジネスでのデータ活用方法
企業において商品開発部門の担当者がよく扱う消費者データと言えば、アンケートデータ(意識データ)と購買データの2つが挙げられると思います。そして商品にまつわるアンケートと言えば、企画した商品のコンセプト受容性調査や、競合商品を含めた使用実態調査が一般的です。
# データマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード