データマーケティングコラム

行動データ分析におけるコホート分析のメリットと実践方法とは

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ユーザーの行動データ分析は、どのような事業においても重要です。昨今ではECサイトの隆盛によって、行動データ分析は従来よりも重要性を増してきました。行動データ分析手法の一つとして有名なのが、コホート分析です。今回は、このコホート分析について、その内容やメリット、注意点、具体的な実施方法などを紹介していきます。

コホート分析とは

コホート分析とは、同じ時期に誕生したなど同時期に似たような経験・思考をもった集団に対して意識・行動を分析する、統計学の分析手法の一つです。心理学のコホート研究をもとに確立されたユーザーを行動別に分けて分析する手法で、現在ではECサイトやWebマーケティングの分野でも活用されています。
コホートはもともと古代ローマの歩兵隊を表す言葉で、現代では「集団」「仲間」という意味で使われています。

コホート分析はなぜ必要とされているか

コホート分析が重要視されていますが、その理由はいくつかあります。ここではその内容をみていきましょう。

サブスクリプションの浸透

近年急速に普及しているサブスクリプションとは、毎月定額の料金を払ってサービスを受ける仕組みのことです。サブスクリプションにおいては、いかに顧客にサービスを継続して利用してもらうかが重要なポイントになります。そのため、コホート分析を実施することで、月ごとの購入額や利用率、解約率の変化などを分析して施策をうつことでサービスの継続利用に繋げられます。

SNSマーケティングへの活用

SNSにおけるマーケティングには、ユーザーの行動傾向の把握は必須です。この行動傾向の把握にコホート分析が役立ちます。
コンテンツの種別やユーザーのリアクションタイミングなどで分類し、投稿へのリアクションやコンバージョン率など詳細な分析をしていきます。

コホート分析における3つの効果

コホート分析の結果が変化する要因は、「年齢(加齢)効果」「時代効果」「コホート効果」の3つがあります。それぞれ内容をみていきましょう。

年齢(加齢)効果

人が年齢を重ねることによる影響を、年齢(加齢)効果と呼びます。人は加齢によって購買行動が変わる傾向があり、コホートの行動内容も加齢とともに変化していきます。例えば、加齢に伴う身体の節々の痛みによって、薬局で湿布をよく購入するようになることが挙げられます。

時代効果

人々が生きてきた社会環境による影響を、時代効果と呼びます。例えば景気の低迷が続けば社会全体の消費が抑えられますが、一方でバブル期は消費が増加します。その時代背景や社会環境によって消費傾向も大きく変動しますが、景気や流行などに影響されやすく、流動的に変化します。

コホート効果

同時期に生まれて過ごしてきたことによる影響をコホート効果と呼びます。団塊世代やゆとり世代など、古い世代が交代し新しい世代が登場することで社会全体は大きく変わっていきます。例えばジェンダーフリーに関する意見について、古い世代が退場するにしたがって肯定的な意見が多くなるということが挙げられます。

コホート分析を使用する際のメリット

コホート分析の大きなメリットは、新規顧客よりもリピーターの獲得に焦点をあててユーザーの購入状況や離脱状況などの行動傾向を把握することで、定着率(リピーターの割合)の改善が見込めることです。コホート分析をすることで、ユーザー行動から世の中のトレンドやニーズを把握することもできます。

例えば、サブスクリプションサービスにおいてコホート分析をすると、先ほど挙げた3つの変化要因(年齢(加齢)効果、時代効果、コホート効果)をもとにして下記のようなことが明らかになります。

【年齢効果】ライフステージが変わる一定の年齢で離脱が起こりやすいので適切なフォローを行う
【時代効果】離脱率が高まる一因として同様のサービスの流行・増加が挙げられるため、サービスの価格を下げる、他サービスとの差別化を図るなどの対処を実施する
【コホート効果】特定年代層で定着率が上がりにくい時は、その年代層においてどういった開始動機が定着につながりやすいか分析する

このように把握したトレンドをもとに対策を実施でき、ユーザーの定着率(リテンションレート)の向上が期待できます。


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コホート分析を使用する際の注意点

コホート分析を実施する際には、コホート内の全員が同じ行動を取るわけではないということを頭に入れておきましょう。ただし、コホート内の一定割合の人々が同じ行動を取るということは、統計学を使えばある程度の証明ができます。

まずは分析対象のコホートをもとに母集団を決めましょう。例えば母集団を20代の東京都在住男性とすると、令和4年4月1日時点では786,290人となっています。
母集団が100万の場合、許容誤差を1%にしたいなら約10,000人(0.1%)のサンプルが必要ですが、3%の場合なら約1,000人(0.001%)、5%なら400人程度(0.0004%)のサンプルを取得すれば問題ありません。
仮に許容誤差を5%とすると、20代の東京都在住男性の場合は、300人程度の東京都在住20代男性のサンプルを取得すればよいことになります。

参照:
https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/juukiy/2022/jy22000001.htm
https://trim-site.co.jp/faq/qa01/#:~:text=必要サンプル数を決めます&text=許容誤差が1%,ば十分になります。

コホート分析を実施してトレンドに沿った改善を

コホート分析は、データを一定の範囲で区分することによって、その範囲ごとのユーザーの行動傾向を調べられる手法で、ユーザーの定着率アップに一定の効果があります。
ただしユーザーが全て同様の行動を取るわけではないため、一定の割合でユーザーがその行動を取ることを示すだけのサンプル数を確保する必要があります。
コホート分析を実施して、ユーザーのトレンドを知り、自社の事業に役立てていきましょう。


■参考サイト:
https://roboma.io/blog/marketing/how-to-use-cohort-analysis/
https://bdash-marketing.com/marketics/marketing/6840/
https://n-works.link/blog/marketing/cohort-analysis
https://digima-class.com/article/3310/
https://botchan.chat/base/cohort-analysis
https://www.handk-inc.co.jp/blog/customer-retention-cohort
https://library.musubu.in/articles/9037
https://www.nttcoms.com/service/mixpanel/column/article003/#idx04
https://www.switchitmaker2.com/seo/cohort-analysis/

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