データマーケティングコラム
誰でも手軽に活用できるバスケット分析のメリットと実施方法とは?
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小売店などでは、購買時の顧客行動を分析し、売り上げアップにつなげることは至上命題といえます。例えば特定の2つの商品について売り上げの関連性を見つけられたとしたら、売り上げアップに大きな効果が望めそうです。そのような2つの商品の売り上げについて、関連性を手軽に分析できる手法が「バスケット分析」です。今回はバスケット分析について、そのメリットや注意点、実施方法などをお伝えしていきます。
バスケット分析とは
バスケット分析とは、商品がどのような組み合わせで買われているのかを分析する手法です。買い物かご(バスケット)の中にどのような商品が一緒に入っているのかを分析することから、バスケット分析と呼ばれます。バスケット分析はアソシエーション分析の一部
アソシエーション分析とは売り上げデータを解析して、関連性やパターンを見出す手法です。アソシエーション分析の中でも、主にPOSデータやECサイトの売り上げデータなど、商取引のデータを活用して分析する手法がバスケット分析です。バスケット分析の事例
バスケット分析の有名な例は、何といっても「ビールとおむつ」でしょう。アメリカのある小売店でのデータ解析で「金曜日の17~19時の時間帯は、おむつとビールを同時に購入する30~40代の男性客が多い」と判明しました。17時~19時は多くの人が会社から帰宅する時間帯であり、この解析結果から「会社の帰りにおむつの買い出しを頼まれた父親」という人物像が浮かび上がってきます。金曜日ということもあって、おむつと一緒にビールを買っている男性が多くみられました。この結果をもとに金曜日はビールとおむつを並べて陳列するようにしたところ、売り上げアップに成功しています。
バスケット分析の実施方法
バスケット分析は、主に特定の2つの商品が一緒に購買される確率を算出していきます。その分析方法について、順を追ってみていきましょう。バスケット分析で使用される指標を理解
まずは分析で使用する各指標を理解することから始めましょう。次の4種類の指標が用いられています。支持度
支持度は、全体をみて商品Aと商品Bが一緒に購買される確率です。「商品A・商品B同時購入者数/購入者全体数」という数式で算出されます。直感的でわかりやすい指標ですが、新しい発見につながりにくいというデメリットがあります。信頼度
信頼度は、商品Aを買った人が商品Bも買う確率です。「商品A・商品B同時購入者数/商品Aの購入者数」という数式で算出されます。分母を全体ではなく商品Aにしている点が支持度と異なります。商品Aに対する商品Bの関連の強さを評価できますが、商品Aの購買数が商品Bに対して少ないと信頼度が高く出てしまいやすくなります。期待信頼度
期待信頼度は、全体のうちBが購買される確率で、商品B単独の人気度を表します。「商品Bの購入者数/購入者全体数」という数式で算出されます。主に後述のリフト値を算出するために使用されます。リフト値
ここで説明している4指標の中では、リフト値が最もよく使われる指標です。リフト値は、「信頼度/期待信頼度」という数式で算出されます。リフト値は、商品Aがどの程度商品Bの購買を促進しているかを示します。しかし、商品Aの購買数が少ない時に商品Bが併売されてしまうと、高い数値が出やすいため注意が必要です。それぞれの指標を計算したら、表を作成して関連性を可視化していきます。
次の項では、実際に可視化までの手順を実施してみましょう。
バスケット分析実施例
例えば「豚肉」「じゃがいも」「人参」の3商品について、顧客数が総計100人と仮定したうえで、購入人数が下記の通りだったとします。・豚肉:30人
・じゃがいも:75人
・人参:30人
・豚肉+人参:20人
・じゃがいも+人参:20人
支持度と信頼度、リフト値は、次のように算出できます。
またNo.1のリフト値から、玉ねぎと豚肉を一緒に買う場合が、玉ねぎだけを買うよりも2.2倍多いと分析でき、一方でNo.2のリフト値は1より小さいため、人参はじゃがいもと同時購入されるよりも単独購入されやすいといえるでしょう。
バスケット分析のメリット
バスケット分析のメリットは、分析方法自体が簡単なため、だれでも値が算出できるという点です。分析の内容を理解さえしていればExcelなどを使って分析が手軽に実施でき、かつ結果が直感的でわかりやすいため、商品レコメンドやクロスセルなどにつなげやすいでしょう。バスケット分析の注意点
対してバスケット分析の注意点は、下記3点です。一つずつみていきましょう。商品の組み合わせ単位に注意
バスケット分析の組み合わせは、商品単体か1カテゴリーかによって結果が大きく異なってきます。商品単体の場合は、詳細な結果を算出できます。しかし組み合わせの数は多くなるため、結果として購入数が分散されてしまい、分析の際に正しい結果が出ないリスクが高まるでしょう。逆にカテゴリーの場合は、組み合わせごとの購入数が商品単体の場合に比べて大きくなるため、分析結果の精度を上げられます。しかし、商品ごとの細かい対応はできないというデメリットが存在します。どちらのパターンが分析に適しているか、都度判断して組み合わせの単位を検討していきましょう。よく売れる定番商品は分析から外す
もともとよく売れている商品は、分析しても顧客の傾向がわかりにくいため、よく売れる定番商品は分析から外しましょう。組み合わせをそのまま陳列に使用しない
分析した組み合わせをそのまま陳列に使用してしまうと、違和感のある陳列になってしまう場合があります。例えば食品と洗剤が同じ場所に陳列されていたら、違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。実際に分析結果を売り場へ反映する際には、違和感がないか検討のうえで反映するようにしましょう。バスケット分析を知って効果的な分析を
バスケット分析は商品がどのような組み合わせで買われているのかを分析する手法です。誰でも簡単に算出できますが、分析実施の際には、特定の場合で指標が高くなりやすい・低くなりやすいといった状況に注意が必要です。バスケット分析の内容を知って効果的な分析をしていきましょう。クロス・マーケティングでは、今回ご紹介したバスケット分析を始めとした売上データを用いた分析実行の支援を行っております。複数チャネルにおける売上データを顧客単位で統合・可視化することで詳細な顧客理解を試みる独自メソッド「ジャーニーデータ分析」を通じた支援も行っておりますので、売上データを通じた顧客理解に課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
■参考サイト:
https://receiptreward.jp/solution/column/bucket-analysis.html
https://squareup.com/jp/ja/townsquare/market-basket-analysis
https://promarketing.konicaminolta.com/service/goinsight/goinsight-column/gi-20220330/
https://it-trend.jp/data_mining/article/153-122
https://cacco.co.jp/datascience/blog/data-analysis/972/
https://bdash-marketing.com/marketics/marketing/7016/
https://kuroco.team/blog-ec-basket/
https://www.albert2005.co.jp/knowledge/marketing/customer_product_analysis/abc_association
https://di-acc2.com/analytics/16621/