マーケティングコラム
グループインタビューに不可欠なモデレーターの役割とスキル
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一般的にマーケティングリサーチは業種に関係なくビジネスを発展させていく上で重要な調査の一環となっています。そのマーケティングリサーチによる効果を高める方法の一つにグループインタビューがあります。このインタビューは会場に調査対象者を集めて企業が提供する製品について自由に意見交換をしてもらい消費者の生の声を収集する手法です。グループインタビューの成功の鍵を握るのはモデレーターと呼ばれる司会者だといわれています。この記事では重要な役割を担うモデレーターの仕事やスキルなどを検証していきます。
モデレーターの役割
グループインタビューにおける司会者の役割はきわめて重要です。ここではモデレーションを行う際の役割や条件について見てみましょう。【調査対象者に溶け込む】
調査対象者とは一線を画することなく、同じ立ち位置で対象者に溶け込みつつ自分の意見を入れない、代弁者としての立場を保持します。
【発言しやすい雰囲気作り】
調査対象者が固くならずに自由に発言できるような雰囲気を作ります。
【対象者の本音を引き出す】
優れたモデレーターはインタビュアーとして的確な質問をして本音を引き出します。
【テーマから逸脱しないように】
グループディスカッションでは往々にして本来のテーマからずれてしまうことがあります。テーマに沿った内容ですすめていくようコントロールします。
【司会者とインタビュアー2つの役割】
グループインタビューでは司会進行役とインタビュアーと両方の役割を担います。
【意見の流れの調整】
その場が偏った意見に流されないように調整します。
【分析とまとめ】
調査対象者の答えを聞いてその場で内容を分析しながらまとめていきます。
モデレーターの重要性
グループではデプスインタビューのような個別のインタビューと違って司会者の進め方によって多くの参考になる意見を聞くことが可能です。インタビュアーの力量によって参加した対象者からより自然で忌憚のない意見を聞くことができます。会場では実際に生の声を収集することができるという点から、調査結果にはモデレーターが対象者に与える影響が反映されます。ここではその重要性を見てみましょう。【本音を聞き出す】
モデレーターの進め方によって調査対象者が発言したいという気になり、本音を聞くことができます。他の人に追従したり同調したりの意見でなく一人ひとりが感じている本音を聞きだすことがポイントです。
【自由なディスカッション】
テーマに沿った内容で自由なディスカッションが行なわれると、ディスカッションから新しいアイディアを引き出すことも可能になります。
【消費者の動向を知る】
アンケート調査などでは伺い知ることができない、その場の会場で直に調査対象者の表情などを見ながら、実際の消費者の動向や希望などを知ることができます。
優れたモデレーターの条件と聞き出す技術
グループインタビューではインタビュアーがいかに上手に意見を聞きだすかによって成果がまったく違ってきます。消費者の根底にある評価や行動原理を知ることが目的でもあります。優れた司会進行役の条件を見てみましょう。【参加者に信頼させる】
通常司会者と調査対象者は会場で初めて会うケースがほとんどです。インタビュー開始の前にまず参加者に信頼してもらうことがポイントです。それにはリラックスして自分を信頼して話してくれるように仕向けます。
【聞き上手】
グループを対象者としたインタビューに限らずどんなインタビューでも人から上手に意見を引き出せる人は、必ず人の話しを聞くのも上手です。聞き上手でいれば自然に話せる雰囲気ができてきます。
【偏見をなくしてバランスよく】
初見で会った人に好き嫌いがあることがありますが、インタビュアーは決してそれを表に出してはいけません。特定の人の意見を多く聞いたりすることがないように、参加者の誰にも平等にバランスよくふって偏らないようにします。
【まとめ上手】
十人十色でそれぞれが皆違う持論を持っているのが普通です。それら様々な意見を上手にまとめながら進行していきます。
【中立の立場で】
出された意見を分析しながら、私見を交えることなく中立の立場を守って進行していきます。
まとめ
グループインタビューにおいてはリサーチの対象となるものに関係なく、大切なポイントはどのような質問を投げかけるかにあります。質問の意図がずれていれば、たとえ答えを分析してもその後のビジネス展開に繋げることはできません。アンケートなどの数字やデータ分析と違ってグループディスカッションから直に見えてくるものがあるからです。したがって事前にクライアントとモデレーターは綿密に質問内容を検討してどのようなインタビューをするかを決める必要があります。あとはモデレーターの力量によって対象者から忌憚のない意見を引き出すことができれば、新しいアイディアのヒントや製品やサービスに対しての改良点など有用な情報を得て、ビジネスの発展に役立たせることができます。関連ページ