マーケティングコラム

シリーズ 消費者エスノセントリズム(1)「アメリカファースト」と「消費者エスノセントリズム」

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朴 正洙
駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部
准教授

朴 正洙

第二次世界大戦後、グローバル化を重視してきたアメリカの対外政策は、トランプ大統領の就任によって大きく転換期を迎えています。トランプ大統領が選挙中から主張したスローガンでもある「アメリカファースト」は、就任演説でも「アメリカンファースト」のみ目指すことを明言し、アメリカの政治や経済政策として実行されています。例えば、2017年4月に、トランプ米大統領は「Buy American, Hire American(アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用せよ)」と呼ばれる大統領令に署名しました。


世界のマスコミ報道からすると、トランプ大統領に対するネガティブな情報が多いのですが、トランプ大統領の当選からも見られるようにアメリカ人口の約2/3を超える白人を中心としたトランプ大統領の支持層は無視できません。その支持背景の根底は、「アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用せよ」というアメリカ経済の再建を最優先するトランプ大統領の「アメリカファースト」政策があると考えられます。

また、「Buy American, Hire American(アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用せよ)」という「自国第一主義」政策の理論的背景は、「消費者エスノセントリズム(consumer ethnocentrism)」であると考えられます。

トランプ大統領の「アメリカファースト」の基本的目標は、国内雇用の増加を目指していることからすると、「消費者エスノセントリズム」の典型とも言えるでしょう。「消費者エスノセントリズム」研究の歴史を振り返ってみると、当初は「人々はなぜ品質が良いのにも関わらず、外国産製品よりも国産製品を購買するのか」という「自国産業保護」と「雇用確保」という規範的な消費行動に焦点が当てられていたことが分かります。「消費者エスノセントリズム」を、「自国経済のために消費者が抱いている外国製品およびブランドに対するネガティブな反応」と定義づけています(朴 2012)。

第2回目のコラムでは、「消費者エスノセントリズム」は理論的にはどのようなものなのか、第3回目は、近年日本の主要な輸出市場である東南アジアの消費者に「消費者エスノセントリズム」は、どのような影響を与えていたのか、などに関するコラムを連載する予定です。

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