マーケティングコラム
定点調査の使い方とマーケティングで生かす方法
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定点調査とは、ある一定の期間ごとに同じ質問を行うことで、事象の経過や動向、変化を分析する調査手法のことです。「追跡調査」「時系列調査」「モニタリング調査」「トラッキング調査」などさまざまな呼び名で呼ばれることもありますが、調査内容はいずれも同じような内容を扱っています。消費者意識や使用実態などを長期にわたって観察し続け、傾向をつかみ情勢を把握することが目的です。
定点調査とは
定点調査とは、ある一定の期間ごとに同じ質問を行うことで、事象の経過や動向、変化を分析する調査手法のことです。「追跡調査」「時系列調査」「モニタリング調査」「トラッキング調査」などさまざまな呼び名で呼ばれることもありますが、調査内容はいずれも同じような内容を扱っています。消費者意識や使用実態などを長期にわたって観察し続け、傾向をつかみ情勢を把握することが目的です。マーケティングでは、「新製品が発売される際に行った広告やPR活動が、商品の認知度にどの程度貢献しているか」などの調査に活用されることが多くなっています。
また、大規模な選挙が行われる際の風物詩ともなっている「世論調査」やテレビの視聴率調査、毎年行われる「○○にしたい芸能人ランキング」なども定点調査に含まれています。国が行っている国民生活の調査や国土に関する調査、地域の人口変動などの国勢調査や、国民生活調査なども定点調査の代表的な例といえるでしょう。
定点調査の利点は、同じ質問を定期的に投げかけることによって、調査対象が年次を経てどのように移り変わってきたかがわかりやすく明らかになる点です。これらは、時系列がはっきりとしているため、当時の世相や背景などと比較しやすく、「なぜそのようになったか」「どのような事象が影響したか」などの理由が推測しやすくなっています。
反面、デメリットとしては、「質問内容に手を加えられない」ということがあります。一度調査を行ったものに対して、翌年、質問を変更することはできません。追加という形では対応できることもありますが、質問が増えることによる回答者の減少や、他の質問に抵触し矛盾を抱えるケースがあるなど、修正のハードルが上がってしまうことがあります。
認知されやすくなる定点調査
定点調査では、調査を通して人々の生活や環境、感情などがどのように変化していくかを調べることができ、社会の動向や情勢によってどのように遷移するかを知るのに役立ちます。しかし、定点調査の利点はこれだけではありません。例えば、上に挙げた「○○にしたい芸能人ランキング」のように、ひとつの分野・切り口に特化した調査を毎年行うことで、その分野においてもっとも信頼されている・好感度の高い人物や企業、自治体などを調査することができます。「夏に行きたいのは北海道」、「若者に人気の街は吉祥寺」など、同じテーマの調査を繰り返し、複数のデータを取ることで、「定番の場所・人物・事象」などをあぶり出すことにも役立ちます。
調査時間の単位もテーマによって調整が可能で、日別・週別・月別・期別・年別などがあります。これらは、マーケティングの分野にも大いに活かされ、調査結果を用いて特定の分野に秀でた企業のイメージを植え付けることや、企業の存在を広く知らしめることにもなります。
定点調査の頻度はある程度の期間をおいて行われることが多いため、調査にかかるコストや手間を抑えて有益な情報を収集することができます。また、調査内容や結果だけではなく、調査そのものが企業のPRやマーケティングに役立つことも多く、有用な活用がしやすい調査です。
調査の幅が広い定点調査の活用シーン
定点調査の特徴は、活用シーンの多様さにあります。定点調査を取り入れているのは、社会情勢や感情調査だけではありません。小さいものでは店舗別の売上記録なども、定点調査の一種に含まれます。どの月にどのような商品が売れるのか、イベントが売上にどのように影響するのかなどを知ることができます。
また、このほか、インフルエンザなどの流行病の流行指数を調査する、野生動物の個体数や行動範囲などを明らかにするなど、環境・医療・生物学など幅広い分野で利用されています。
・スマートフォンの利用実態調査
・学校検診の全国定点調査
・金融総合定点調査(家計、支出などの例年調査)
・消費動向に関する定点調査
・土壌内の有効成分の持続性の影響に関する定点調査
まとめ
このように、定点調査にはあらゆるニーズに対応することができる多様性と、因果関係を明らかにしやすい比較のしやすさがあります。そのため、現代では最もポピュラーに行われている調査のひとつとなっています。この調査方法は幅広い業界で活用され、環境問題、医療問題、さらに学術の分野でも大いに取り入れられています。このため、一見関係のないような事柄同士の結びつきや因果関係の解明に役立ち、発見しづらい事象の理由と、傾向をつかむことが可能になっています。また、これらの調査を複数組み合わせ、質問内容を工夫することでこれまでになかった新しい利用の仕方を見つけることもできます。そのため、大きな可能性を秘めた調査方法ともいえるでしょう。
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