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ブランドポジショニングで競合他社に差をつける!戦略の立て方や成功事例も

武田 竜輔
コンテンツディレクター
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTubech運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。

武田 竜輔

2023 / 10 / 13

#コミュニケーション,#ブランディング,#消費者行動,#消費市場

ブランドポジショニングで競合他社に差をつける!戦略の立て方や成功事例も

企業名やロゴ、商品シリーズ名称などのブランド・製品に対して、信頼や共感など一定のイメージを消費者に持たせることにより、市場におけるブランド・製品の価値を高めるマーケティング戦略のひとつがブランディングです。なかでも「ブランドポジショニング」は、製品の一定のイメージを消費者にイメージしてもらうために、大切な手法となります。本記事では、ブランドポジショニングとはそもそも何か、戦略実施で必要なことについて解説します。


ブランドポジショニングとは

ブランドポジショニングとは、市場におけるブランドの立ち位置を考えることです。自社ブランドの特徴から、ほかにはない独自のポジションを確立するために行います。ターゲットに対して、ブランドの製品やサービス特有のイメージを持ってもらい、他社との差別化をしやすくするためのものといえます。

そもそもブランドポジショニングは、ブランディングの一環です。ブランディングは、企業名やロゴ、シリーズの名称などに統一感を持たせ、一定のイメージを抱かせるために行います。そんなブランディングには「ポジショニング」のほかに「コンセプトデザイン」と「ターゲティング」があります。

まずブランドのコンセプトをデザインし、ターゲットを設定したうえで、どんな立ち位置であれば他社と差別化を図れるかを考えるのがポジショニングです。ブランドポジショニングは、ブランディング戦略のなかでも特に重要なものとされています。

ブランド特有のイメージを持ってもらうための活動

ブランド特有のイメージを持ってもらうための活動は、差別化を図るために重要なものです。「このブランドはコスパが良い」「この製品はどれも高品質で安心して購入できる」など「このブランド・製品は〇〇だ」といったものが、まさにブランド特有のイメージといえます。

ブランド特有のイメージを持ってもらうには、まずそのブランド・製品が参入する市場について深く理解する必要があります。競合他社や自社ブランド・製品がどのくらいのシェアを獲得しているかといった「マーケット・シェア」だけでは不十分です。自社ブランドが他社と比較して、特定のイメージで想起される割合「マインド・シェア」を調べておくのも重要になります。

マインド・シェアは「オーガニックコスメのブランドといえば?」「SDGsに配慮したドメスティックブランドは?」のように、あるイメージに対して想起されるブランドについてのシェア率を表すものです。

ブランドポジショニングの重要性

ブランドポジショニングは、競合他社との差別化を図り続けるためにとても大切です。企業が市場のなかで競争するためには、ほかにない独自のブランドイメージを確立し、確固たる地位を獲得する必要があります。

ブランドポジショニングをしなくても、大手競合の調査をすればある程度の差別化はできます。しかし、市場全体を広く調査してポジショニングを考えていないと、長期スパンで見たときに差別化が図りにくくなるでしょう。大手競合はいないものの、小規模事業者が多く、参入しやすいケースは多くあります。

他社にマネされたとしても、マインド・シェアが高ければ、自社のポジショニングは揺るぎません。独自のイメージを確立し、他社が参入しても安定した利益を獲得するために、ブランドポジショニングはとても重要なのです。

ブランドポジショニング戦略のために必要なこと

ブランドポジショニング戦略をするためには、さまざまな取り組みが必要になります。前述したマーケット・シェアやマインド・シェアに関する調査はもちろん、ポジショニング・マップの作成も必要です。以下では、ブランドポジショニング戦略のために必要な3つの活動を解説します。

マーケット・シェア戦略

まずはマーケット・シェアの調査と、自社が参入できそうなポジションの選定を行いましょう。マーケット・シェアに関して、フィリップ・コトラーは以下4つのクラスに分けたうえで、それぞれが採るべき戦略理論を提唱しています。

マーケット・リーダー

該当する市場で最大・トップのシェアを有するブランド・製品のこと。競合他社の標的にもなります。このクラスが採るべき経営戦略としては、価格戦略などで市場におけるトップの地位を維持すること。加えて、市場トップシェアであることによる最大限の恩恵を受けるために、大規模投資など十分な経営資材を投入して市場の規模そのものを拡大することを目指します。

マーケット・チャレンジャー

マーケット・リーダーに次ぐ売上高・シェアを有するブランド・製品のこと。市場で上位のシェアを誇りますが、マーケット・リーダーには劣ります。マーケット・リーダーのシェア・地位を奪うことが目標になるため、マーケット・リーダーにとっては脅威となる存在です。このクラスのブランド・製品が採るべき戦略としては、新製品の投入や低価格化などによるトップシェア奪還。または、ブランドイメージや画期的製品の開発・販売、サービス改革などによる差別化戦略が挙げられます。

マーケット・フォロワー

マーケット・チャレンジャーを追うブランド・製品が該当します。上位シェアを持ってはいますが、トップシェアを狙うことは得策ではありません。現状のシェアを維持して市場での生き残りを模索しながら、低コスト化やサービス向上などリーダーまたはチャレンジャーの戦略を模倣して、市場で一定のシェアを安定して獲得することを目指します。

マーケット・ニッチャー

市場でのシェアは高くないが、特定のセグメント(ニッチ)において一定の需要を確保して独自の地位を築いているブランド・製品が該当します。自動車メーカーの「光岡自動車」などがこれにあたります。このクラスでは、利益を確保できるだけの市場規模であるかを見極めた上で、特定の年齢層や地域など、絞り込まれたセグメントに経営資源を集中して独占する「集中型戦略」を採ります。
※参考URL:http://business-philosophy.seesaa.net/article/13788012.html

ブランドポジショニングを行うときは、自社のブランド・製品が、この4クラスのどれに該当するかを特定した上で、それに合わせた経営戦略を展開していきましょう。


図 マーケット・シェアの4つのクラス


マインド・シェア戦略

マーケット・シェアは該当するブランド・製品の市場における売上高や流通数など、貨幣価値で表せる占有率を指します。これに対してマインド・シェアは、該当するブランド・製品のイメージによる占有率、つまり消費者心理に占める割合を指します。

マインド・シェアを測定するには、「〇〇と聞いて何のブランド・製品を思い浮かべますか?」という質問により、出てくるブランド・製品を聴取することで純粋想起率を調べる方法が多く用いられます。

フィリップ・コトラーは、マインド・シェアについて次のように定義づけています。

「顧客の心の中でどのようにポジショニング(存在価値の位置づけ)を獲得するかで全てが決まってしまう」

つまり、「何のブランド・製品を思い浮かべますか?」と聞かれて一番に回答したブランド・製品が、マーケット・シェアでも1位を獲得するブランド・製品。逆に回答されなければ、マーケット・シェアでも上位になることはない、ということです。これを「マインド・シェアの法則」と呼びます。

消費者の心(マインド)に占めるブランド・製品イメージの割合が高いと、現在は市場での位置づけが低くても、徐々に売上が向上する可能性があり、中長期的に影響が出ます。つまり、マーケット・シェアは現在の市場シェア、マインド・シェアは近未来の市場シェアとも言えます。マーケット・リーダーであれば、市場において想起率を維持するための戦略を、マーケット・ニッチャーであれば絞り込んだセグメントにおいて「オンリーワン」になるための戦略を採ることが重要です。

ポジショニング・マップを作成する

製品・ブランドのポジショニングを決めるための有効な方法が、ポジショニング・マップを作成することです。

ポジショニング・マップとは、競合他社のブランド・製品と比較して差別化を図れる部分を交差する2軸で分析する二次元マップです。ポジショニング・マップで設定する軸は、ブランド・製品の特徴やイメージ、価格など、主に購入決定要因で設定します。

軸同士はそれぞれが独立しており、かつ、相関性の薄いもの同士で設定することがポイントです。「価格」と「機能」は比例する、つまり相関性が高いので、軸に設定すると有効なマッピングをしにくくなります。軸を決めたら、二次元上で自社のブランド・製品と競合他社を位置づけしていけば、ポジショニング・マップが出来上がります。

適切なポジショニング・マップの作成は、ブランドポジショニングを可視化するだけでなく、効果的なマーケティング戦略の立案にも役立ちます。集計データなどをもとに、より良いブランディングが可能になるポジショニング・マップを作成しましょう。


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ブランドポジショニングを実施するには

ブランドポジショニングを実施するためには、いくかの施策があります。以下では、ブランドポジショニングを実施するための施策を3つご紹介します。

マーケティングコミュニケーション

マーケティングコミュニケーションとは、顧客からの意見や評判などを吸い上げつつ、マーケティングを行っていく手法です。昨今はSNSの普及によって、消費者の声を反映できているかが可視化されやすくなりました。また、企業と消費者の距離が縮まった側面もあり、双方向でのコミュニケーションが大切になっています。ネット上でのコミュニケーションはもちろん、イベントやファンコミュニティなどでの意見交換も、マーケティングコミュニケーションの施策のひとつです。

製品開発

どれだけブランドポジショニングをしたとしても、製品やサービスに魅力がなければ、利用してもらえません。独自のポジショニングを確立し、差別化を図るのも困難になるでしょう。ターゲットのニーズを満たしたうえで、より付加価値を感じられる製品の開発は必須です。製品開発においては、前述したマーケティングコミュニケーションによって得た消費者からの声も大切な情報になります。

顧客サービス

顧客との信頼関係を構築するために、顧客サービスを充実させるのも大切です。いわゆる顧客ロイヤルティやエンゲージメントを高めて、自社への愛着や信頼感を獲得すれば、他社に負けないポジショニングを確立できます。具体的には、アフターサービスの拡充やファンコミュニティの形成などが考えられるでしょう。特に、製品の修理や定期便サービスの展開、ファン向けイベントの開催などは、顧客サービスを充実させていくための代表的な施策です。


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ブランドポジショニングの成功事例

ブランドポジショニングの重要性を理解するためには、成功事例を知っておく必要があります。以下では、ブランドポジショニングの成功事例を3つご紹介します。

Apple

Appleは、高品質で洗練されたデザインの製品を提供して、プレミアムブランドとしてのポジショニングを成功させた代表例です。マニュアルのいらないUI、純正品のデザインと扱いやすさ、品質の高さなどによって「appleを選べば間違いない」「スマホならiPhone」といったイメージを確立しました。また、genius barの設置や、店舗で1顧客に対して1人のスタッフがつく接客スタイルなど、店舗サービスにおいてもプレミアムブランドとしての施策を講じています。

ユニクロ

ユニクロは、低価格かつ安定したデザインでファストファッションとしての確固たるポジションを確立した成功事例です。企画から製造、流通、販売まで全てを内製化し、大量の仕入れと製造をすることで、他社には追随できないほどのコストパフォーマンスを実現しています。また、社員の教育システムや評価制度も独自のものを採用して、安定した顧客サービスを提供しているのも成功の秘訣でしょう。

スターバックス

スターバックスは、独自の教育システムと商品ラインナップで高級コーヒーショップとしてのブランドを確立した成功事例です。季節商品や多種多様なカスタマイズ、洗練された接客などによって、他社にない居心地の良さと、製品への信頼感を獲得しています。
スターバックスはテレビCMを一切打っていないことでも有名です。SNS上でのマーケティングに絞り、統一された世界観を保つとともに、効率よくマーケティングを行っているのも成功した要因と考えられます。

ブランドポジショニングの課題

ブランドポジショニングを行ううえでは、いくつかの課題点もあります。以下の課題点を把握したうえで、状況に即した対策を講じていきましょう。

競争の激化

業界によっては競争が激化し、差別化を図るのが困難になっているケースも少なくありません。特にファッションやコスメ、食品などは競争が激化してきており、どのポジショニングも既に大手の競合がいるため、差別化が難しいでしょう。また、いまは競争が激しくないブルーオーシャンの市場であっても、今後は競争が激化してポジションを奪われるリスクがあります。

顧客ニーズの変化

顧客ニーズが変化してしまい、確立したポジションに対して顧客がまったくいない状況になる可能性もあります。昨今はトレンドの変化が激しくなっているとされ、1年未満でブームが過ぎ去ってしまう事例も少なくありません。タピオカや唐揚げなどは、顧客ニーズが短期間で変化していった代表的な事例です。短期間で変化しやすい業界に参入する場合は、早期に参入してマインド・シェア率を高めるとともに、客単価を高めて少ないコアファンで成立するビジネスモデルを確立する必要があるでしょう。

コストパフォーマンス

ブランドポジショニングを行ううえでは、ある程度の時間と資金が必要です。初期資金が少なく余裕がない場合は、ブランドポジショニングを行うだけでも大きな赤字になってしまう可能性があります。また、時間と資金をかけてポジショニングを行っても、すぐに大きな利益があげられるとは限りません。差別化を図って爆発的な利益をあげられるビジネスもあれば、長期にわたって独自のポジションを維持できるタイプのビジネスもあるためです。長期にわたり安定した利益を確保できるタイプの場合、ポジショニングのコストパフォーマンスが高いかどうかは、数年たってみないと分からないでしょう。

まとめ

ブランドポジショニングは、他社との差別化を図り、自社ブランドならではのポジションを確立するためにとても大切です。また、長期にわたって競合他社に負けないブランド運営をしていくためにも、ブランドポジショニングはとても重要になってきます。

一方で、ブランドポジショニングにはいくつかの課題もあります。特に、競争の激化や顧客ニーズの変化に対応できるかは、ポジショニングにおける大きな課題点です。場合によっては、一度確立したポジショニングを手放す必要もあるかもしれません。常に市場の状況を見ながら、変化に合わせて柔軟に対応していく姿勢が求められます。

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