マーケティングコラム
ブランディングを行うメリットから具体的な進め方を解説
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コンテンツディレクター
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTubech運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。
武田 竜輔
ブランディングとは
ブランディングとは、自社製品やサービスについて、消費者が一定のイメージを持ち、市場での存在価値を高めるために行うマーケティング戦略のことです。イメージが市場に浸透し、多くの消費者が想起するようになれば、その商品やサービスは「ブランド」となります。読者のみなさんも「トマトジュースといえば〇〇」「日本一のコーヒーといえば〇〇」といったように、特定のイメージで想起する企業や製品、サービスなどがあるかと思います。こうした特定のキーワードにおいて、多くの人々が想起するものがブランドです。市場において大多数が認知し、信頼しているものともいえます。
業界内での地位を確固たるものにし、より多くの人から信頼させる製品・サービスとして認識されるようにしていくための施策が「ブランディング」です。
ブランディングを重視すべき理由
ブランディングを重視すべき理由は「他社と差別化を図り、消費者から選ばれやすくするため」です。ブランディングができていないと、さまざまな競合他社との競争を避けられなくなります。例えば「(自社製品)を買おう」ではなく「プリンを買おう」「美容皮膚科を選ぼう」といった思考になってしまい、結果として自社製品やサービスが選ばれにくくなるのです。ブランディングがしっかりできていれば「〇〇のプリンを買おう」「〇〇美容クリニックへ行こう」と、自社の製品やサービスを目当てにしてくれる消費者が増えます。消費者の選択を単純化し、より自社を選んでもらいやすくするために、ブランディングは重要なのです。
中小企業のブランディングの重要性
ブランディングをすれば、企業規模や資本力に関わらず、高いブランド力をつけられる可能性があります。ブランドとしての地位を確立できれば「ブランド力」が高まり、より多くの人から信頼されやすくなるでしょう。昨今では、地方の小規模事業者であっても、国内外から支持されるブランドとなったケースがたくさんあります。ブランディングを進めていくうえで、企業規模や資本金の多さ、広告予算などはあまり関係しません。お金や規模に関わらずできるため、中小企業こそブランディングに注力すべきなのです。適切にブランディングを行っていけば、大企業に匹敵するほどのブランド力を持てる可能性も十分にあるでしょう。
ただし、大企業と同じ手法で中小企業がブランディングをしても、良い結果は得られません。大企業は資本力を活かして「マス(大衆)」に訴えかけるのに対し、中小企業はより狭い「ニッチ」な市場にアプローチする必要があるためです。量ではなく質を重視し、深く愛してくれそうなターゲットのみにしっかりと訴求することで、高いブランド力をつけられるでしょう。
ブランディングを行うメリット
ブランディングを行うメリットは、消費者から認知されやすくなり、結果として売上が向上・安定するといった点でしょう。以下で、ブランディングのメリットを5つ紹介します。消費者の認知度や好感度の向上
ブランディングを行うと、より多くの人から認知してもらいやすくなります。「〇〇といえば〇〇」といったかたちで、想起してもらえる場面が増えるためです。認知度が高まれば自然に選択してもらえる可能性も高まり、結果として売上も向上するでしょう。自社製品やサービスを購入した人が、良いものだと感じてくれれば、市場における好感度も高まります。多くの消費者がリピート購入し、口コミで自社のことを広めてくれることで、ブランドの価値が高まり、より一層顧客のファン化にも期待できます。
売上や利益の拡大
ブランディングを行って認知度や好感度が高まれば、売上や利益が拡大するのにも繋がります。認知度と好感度がどちらも高まることで、市場から「知名度が高く信頼されているブランドだ」と認識してもらえるためです。一定のブランド力があれば、売上を安定させやすくもなります。消費者の選択が単純化し、競合他社と比較するのではなく、自社製品をずっとリピートしてくれるためです。コアファンを獲得し、顧客との双方向コミュニケーションを図りながら、ブランド力やクオリティを向上させていくことも可能となります。
競合他社との差別化
市場において「〇〇=〇〇」といったイメージが定着すれば、競合他社との差別化も図りやすくなります。例えば「高品質なコーヒーショップ = スターバックス」「安くおいしいハンバーガーチェーン = マクドナルド」のようなイメージです。差別化が図れるようになれば、新規参入企業がいたとしても、自社の存在が揺るぎないものとなっていきます。
顧客ロイヤルティの向上
顧客ロイヤルティが向上し、継続利用が見込めるようになるのも、ブランディングを行うメリットです。顧客ロイヤルティは、消費者が自社の商品やサービスをどのくらい信頼し、忠誠心を持っているかを意味します。顧客ロイヤルティが向上すると、自社の製品やサービスをリピート購入してくれる可能性が高まって、より安定して利益を出せるようになるでしょう。また、自社の顧客が口コミで自社製品を宣伝してくれて、自然と認知度が拡大していくことも期待できます。
採用力の向上
売上や利益とは別に、採用力が向上するといったメリットもあります。ブランド力が高いと、就活生からの信頼も得やすくなるためです。就活をしている人にとっては、企業規模だけでなく、安定した利益があるかどうかや、製品・サービスがどのくらい信頼されているかも重要な判断材料になります。ブランディングを行って市場における存在感を強めていれば、就活生から選ばれやすい企業になります。優秀な人材を獲得しやすくなり、さらに良い製品やサービスを企画・開発できるようにもなるでしょう。
人材ブランディングも効果的
中には、大手企業の商品・サービスとあまり変わらない仕様であるために、どうしても商品で差別化が図れない、ということもあるでしょう。そんなときは、社内の「人」で差別化を図るのが有効です。例えば、取引先に営業担当者が行ったとして、覇気があって商品知識も豊富な人と、元気がなく商品についてあいまいな回答ばかりする人とでは、どちらから商品を買いたいと思うでしょうか。「人」で差別化し、ブランディングを図ることは、すなわち社内の人材をパワーアップさせることです。人材育成によって「人材」を「人財」に変え、ターゲットになる層との信頼関係を構築しましょう。商品・サービス個別のブランド力よりも、企業全体の信頼性を上げ、企業全体をブランド化して価値向上を図るのです。
社員は企業の顔です。取引先と顔を合わせる機会の多い外勤社員ならなおさらです。社員の立ち居振る舞いは、企業本体のブランド力を社外に伝えるための最も有効なメディアです。取引先から信頼され、多くの人から良いイメージを持たれる社員の育成、つまり人材ブランディングにより、企業の価値向上と市場での差別化につなげることが可能になるのです。
ブランディングを成功に導くステップ
ブランディングを進めるうえでは、正しいステップを踏んでいくのが大切です。以下では、ブランディングを進める具体的なステップを6つに分けて解説します。ターゲットとする消費者を明確にする
ターゲットが定まっていなければ、どういった人にどのように訴求していくかが判断できません。まずは、自社製品・サービスが誰に向けて企画されたものなのかを改めて考えましょう。ターゲットとする消費者が明確になっていれば、自社が提供すべき価値や、消費者に訴求するメッセージを考案しやすくなります。また、ターゲットとする人が抱える悩みや不安を分析し、製品やサービスを改善するヒントになるかもしれません。
自社の強みや差別化ポイントを明確にする
もし既存の商品やサービスなのであれば、競合他社と比較して自社の強みは何かを洗い出しましょう。強みを明確にする際には、消費者からの口コミや評判を参考にするのも重要です。内部の人間だけでは気付かなかった強みが見つかる可能性があります。まだ利用者がいない商品・サービスであっても、業界研究や競合他社の分析などを通じて、自社の強みを見つけられます。差別化ポイントを明確にすると、自社がどういった立ち位置で勝負すべきかも見えてくるはずです。
ブランドコンセプトを策定する
ここまでに洗い出した「ターゲット像」や「自社の強み・差別化ポイント」などを基にして、ブランドコンセプトを策定しましょう。ブランドコンセプトとはブランドミッションとほぼ同義の言葉で、顧客に対する提供価値を示したものです。例えばディズニーランドは「夢と魔法の王国」がブランドコンセプトで、顧客に魔法をかけ、夢の王国に来たような非現実体験を提供することを存在価値としています。また掃除機で有名なダイソンのブランドコンセプトは「吸引力の変わらない、ただ1つの掃除機」で、安定して高い機能性を実現するというのが製品の価値です。
ブランドコンセプトは製品・サービスの核となる部分なので、慎重に考えましょう。
ブランド戦略を立てる
ブランド戦略とは、ブランディングを達成するための計画です。ターゲティングや差別化、コンセプト策定、ブランドアイデンティティの策定なども含まれます。ここまででコンセプトは決定しているので、以降は「ブランドアイデンティティの策定」と、具体的なマーケティング施策などを考えていくとよいでしょう。ブランドアイデンティティとは、ブランドの方向性や価値観、世界観を示す物です。具体的には、ブランドの特徴や業界での役割、シンボル、ロゴ、提供価値などを詳しく策定していきます。
ブランド・アイデンティティとも呼ばれるもので「ブランドアイデンティティプリズム」と呼ばれるフレームワークを用いてまとめるのが一般的です。
ブランド施策を実行する
ブランド戦略が固まったら、施策を実行していきましょう。ブランド施策には、広告やマーケティング、SNSアカウント運営、リアルイベント、配信イベントなどさまざまな手法があります。ブランド施策の最初は、まず消費者に認知してもらうところからです。自社製品・サービスについて認知してもらい、少しずつ信頼を築いていけば、ブランドとしての地位を確立できます。短期間ではなく、長期的にみてどういったリアクションがくれば正解なのかを考えながら、施策を実行していきましょう。
効果を測定し改善する
ブランド施策を実行したら、効果測定を行いましょう。どのくらいの消費者に購入してもらったか、リピート率はどのくらいだったか、さらに利用者からの満足度や口コミなども収集して、効果測定に活用します。効果測定をするためには、ブランド戦略の段階で具体的な数値目標を立てておく必要があるでしょう。施策に対して目標の何%の効果があったかを分析すれば、今後どういった点を改善するべきなのか、また新たに行うべき施策があるかといった事項が明確になります。
ブランディングの施策
ブランディング施策として行うべき内容には、デザインの統一やSNS活用などさまざまなものがあります。以下では、ブランディング施策の具体例を3つご紹介します。商品・サービスのロゴやデザインの統一
商品・サービスのロゴやデザインは、統一された世界観が必要です。例えば、ホームページやSNS投稿は暖色系でポップなのに、製品やサービスは寒色系のクールなイメージになっていたら、統一感がなく印象がバラバラになってしまいます。ロゴやデザインを統一することで、企業や商品、サービスの認知度や好感度を効率よく向上させられるでしょう。世界観を明確に打ち出し、ターゲットに対して効果的に訴求していくためにも、グラフィックデザインに関する統一感はとても大切です。
ターゲットに訴求する広告・マーケティング活動
広告やマーケティング活動は、商品やサービスの認知度を向上させる基本的な施策となっていきます。具体的には、Web広告やSNS広告、テレビ広告、街頭ビジョン広告、販促イベントなどです。企業規模や予算によって、使える手法は異なってきます。しかし、ターゲットが明確になっていれば、ターゲットとする人のみに訴求すればよいので、あまり大きな予算がなくてもマーケティング活動が行えるはずです。特にSNS広告やオンラインイベント等であれば、予算が少なくても訴求先を絞って効率よくマーケティングが行えるでしょう。
SNSや口コミによる情報発信動
昨今はSNSアカウント運営を通じた情報発信も大切になってきました。多くの企業はSNSを通じて顧客と双方向コミュニケーションを実現し、口コミや評判を収集しながら、自社ビジネスに役立てています。SNSアカウント運営の利点は、低予算で行えること、そして顧客との距離を縮めニーズを把握しやすくなることです。より多くの人に知ってもらい、信頼関係を築くためにも、SNSアカウントを活用した施策は欠かせません。
ブランディングの向上のためにマーケティングリサーチを活用
マーケティングリサーチを活用することで、自社ブランドが市場でどの程度浸透しているのか、消費者の細かいニーズや具体的な顧客像の把握をすることができます。インターネット調査・グループインタビュー等で消費者からヒアリングをすることで、競合との比較調査や施策の効果検証まで実施することが可能です。ブランドの消費者理解に繋がるデータを洗い出すことができるため、自社製品のブランド価値向上に寄与できるでしょう。またマーケティングリサーチを行うことで、施策検討段階から施策実施後まで活用できるため、PDCAを回しながら製品のブランドを高められます。まずは、現状のブランドの課題を調査して明らかにすることが重要です。下記では、ブランドがそもそもどの程度認知・利用されているのかを調査する「ブランド認知・利用実態把握調査」の方法について解説しています。ぜひ参考にしてください。
「ブランド認知・利用実態把握調査」の詳細はこちら
https://www.cross-m.co.jp/process/plm_brand/