クライアントとのワークショップのすすめ
公開日:
株式会社クロス・マーケティング
リサーチプランニング部 エグゼクティブリサーチャー
梅山 貴彦
なぜワークショップなのか
また、その企業にとっては、商品開発そのものが難しい場合もあるだろう。成熟した商品のインサイトは、既に多くの研究や調査がなされていて、わかっていることもある。そこに向けて、いきなりマーケティングリサーチを実施して、効果があるのだろうか。成熟市場では、既に十分すぎるほどニーズが満たされ、ユーザーが未充足ニーズを感じる余地がなくなってきているのではないだろうか。時代に逆行すると言われるかもしれないが、今はまたシーズを提供する時代がきているのではと思う。
ワークショップの進め方
そこで、クライアントとのワークショップが改めて重要だと考えられる。ワークショップのメリットとは、①課題ヒアリングに最適、②目的を決めた上での進行、③連体感の形成、④アクショナブルな戦略策定などがある。ワークショップを始める前の準備として、目的に沿って、クライアントが保有する情報や調査会社が収集した情報の整理を一緒に行う。ここでは、過去の実績、マーケティングミックス情報の強み、弱み、技術力、ターゲットなどをもとに、現状を体系的にまとめる必要がある。この時点で、推進側で具体的なワークショップのゴールの設定をすることになる。一般的な進め方としては、新商品やサービスの開発であれば、ワークショップの参加者は、マーケティング、広告、営業、開発などのプロジェクトに関わる横断的なメンバーを選出する。事前にまとめた資料をワークショップ参加者に説明をし、ゴールを設定した上で、ワークショップを進める。ファシリテータ(進行役)としては、クライアント側と調査会社側の2人をたてる。
ひとつの参考として、商品開発のワークショップでは、ゴール設定後に参加者に課題を考えてもらう。課題は、内容に応じて、消費者像、販売店、卸売業者、開発者などのステークホルダーのそれぞれのイメージを考えてもらう。一回目のワークショップでは、各自が考えてきたイメージを発表してもらう感じである。その後、イメージの人物像の共通化と差異を判断し、いくつかのパターン分類を行う。次に商品開発であれば、商品使用のきっかけ、目的を考える。そうして想定ニーズを絞り込んでいく、一回目はこのぐらいだろう。その後、課題として、そのニーズに沿ったアイデアをいくつか、参加者一人一人に考えてもらう。2回目は、その発表から始まり、みんなで、アイデアは的を射ているのか、作れるのか、誰が売るのかなどの観点でブラッシュアップを行い、アイデアを選定し、また発表してもらう。この時点で、参加者の相互理解やクライアント内での実現の可否などが、参加者には共有されていることになる。
その後はじめて、ワークショップで創出されたものに対して、マーケティングリサーチが実施されるというプロセスである。
最後に
みなさんも、ワークショップを実施して、より効果の上がるマーケティング活動につなげていってほしいと、心から願っている。
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