マーケティングコラム

商品コンセプトと消費者ニーズ

Facebook X
株式会社ユーティル
シニアマネジャー

菊地 信彦

食品、飲料、日用雑貨や自動車、住宅、旅行、保険など、商品にはその根幹となるコンセプトが重要ですが、そのコンセプトについてわかりやすい公式が経営学博士の梅澤伸嘉氏により示されています。

商品コンセプトの公式


20141119_02


 商品コンセプトは、商品アイデアと消費者のベネフィット、商品カテゴリー名により成り立っています。アイデアは、商品開発の対象となるもの(=パフォーマンス)。ベネフィット(~できる)は、消費者のニーズ(~したい)を置換えたものです。この公式を基に考えると、商品ありきで商品アイデアだけが先行していてもコンセプトは成立しません。重要なのは、そのアイデアが消費者にもたらすベネフィット(未充足のニーズを満たすか)がポイントであることがわかります。つまり、商品のアイデアが尖っていても(差別化されたアイデアであっても)、ベネフィットが未充足のニーズを満たしていない場合は、魅力的なコンセプトにはならないと理解できます。

 見方を変えると、未充足の強い(充足されていない)ニーズに応えるものでなければ、商品のアイデアが優れていても魅力的なコンセプト、即ち魅力的な商品(買ってみたいと思わせる商品)にはなりません。上記式の考え方のプロセスは:

(1)消費者の未充足の強い(充足されていない)ニーズ(N)を探る

(2)N(未充足の強いニーズ)をベネフィット(B)に置換える
  ※NとBは対応関係にあります

(3)B(ベネフィット)を満たすようなアイデア(I)を考案、開発する
  ※アイデアとベネフィットの間には因果関係が成立します
(4)I(アイデア)を元に新カテゴリー名(NCN)を考える

となり、これらの要素を文章化してコンセプトを作成します。コンセプトの文章化には流儀がありますが、かなりのボリュームになりますのでここでは割愛させていただきます。

消費者ニーズの階層

 先程の公式にも登場したN(ニーズ)というのは、漠然としていて捉えにくいものですが、前出の梅澤伸嘉氏はニーズを階層化して、最下層をHaveニーズ、順にDoニーズ、Beニーズという3層構造で説明しています。


20141119_03


 下層は手段の意味合い、上層ほど目的の意味合いが強くなります。また、Haveニーズ、Doニーズは、移ろいやすいニーズということでオケージョナルニーズ、Beニーズは一般的・普遍的なニーズということで基本ニーズと呼んでいます。人間の欲求を階層で考えることで、消費者のニーズという漠然としたものが、非常にイメージしやすくなっています。先程の商品コンセプトの公式のN (ニーズ)は「~したい」という好意ニーズ、生活ニーズです。つまり商品コンセプトを構成するニーズはDoニーズということになります。

まとめ

 身の回りにある、様々な商品について、そのコンセプトは何かを考えて公式に当てはめながら、各要素に分解してみると、コンセプトの構成やその必要性についての理解が進みます。実際、ベネフィットが不明確なもの、ベネフィットが未充足のニーズとなっていないものなど、商品の色々な性格がみえてくるはずです。また、ニーズの層構造については、ニーズの背景を考える手段として、消費者のインサイトを探るヒントとしてとても役に立ちます。

 以上、簡単ではありますが、自身の経験を元に、シンプルでわかりやすく、有用なマーケティングリサーチの手法について述べさせていただきました。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード