マーケティングコラム
ミステリーショッパーの活用方法と留意点
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客のふりをして来店した調査員が、お店を利用し、チェック項目に沿って評価する覆面調査をミステリーショッパーといいます。接客マナーなど多面的な調査をします。店側は来店情報を知らされていないので、平常通りの運営を採点されることになります。掛け値なしの状態を評価となるため、業務改善や経営向上に役立てることができます。
ミステリーショッパーについての概要
覆面調査員がレストランなどで食事をし、料理内容や接客を星の数で評価するガイドブックは世界でも有名なミステリーショッパーです。この調査方法は、もともとは従業員の不正行為の抑止策として始まりましたが、現在では顧客サービス測定などマーケティングの手法として活用されています。身分を隠して調査するからこそ、ありのままの状態を客観的に評価できます。ポイントは、お客目線での評価がされるという点です。経営戦略の目線では妥当に思えた行為や対応も、お客の目線では異なる評価であることは少なくありません。このギャップを埋め、店側の経営責任者やスタッフでは気づかない点をユーザー目線で指摘されることで、隠れていた問題点が浮き彫りになります。ミステリーショッパーを行っている会社の覆面調査員は、調査対象の分野に精通しています。これら専門家による調査レポートは依頼主の専門部署で解析され、解析結果は店舗の経営改善や人事戦略などに生かすなど、さまざまな活用方法があります。また、現場の目線に立つことにより、下記のようなメリットが得られます。
・それぞれの店の問題点が具体的に分かり、現実的な改革ができる
・現場スタッフの接客技術向上の具体案を作りやすい
・お店の新規顧客開拓、常連客の維持率の確保、客単価の向上
これらのメリットは、多様な現場戦術にも生かすことが可能です。
調査方法・調査対象の範囲について
どのような方法で調査を行うのかについて、レストランにおけるミステリーショッパーを例に説明します。入店前から調査は始まり、外観、看板の視認性、店外の清潔度を採点します。入店時のスタッフの応対は重要なチェックポイントです。着席したらテーブルの清潔度などを点検します。スタッフは、よく動いているか、適切に注文を取ったか、客を不快にしない対応ができているか、といったヒューマンスキルが問われます。料理は、味だけでなく盛り付け、量、コストパフォーマンスなどが厳しく評価されます。支払いはスムーズであったか、退店時に丁寧な挨拶があったか、と最後の最後までチェックは行われます。覆面調査員が訪れる対象として思い浮かべやすいのはレストランなどの飲食店ですが、実際の対象範囲はもっと広く、スーパーやタクシー運転手、電車の駅員やバスの運転手の応対なども該当します。人だけでなく、物も調査対象です。陳列商品が埃をかぶっていないか、適正なポップを配してあるかといった商品管理も調査項目です。調査員はこれらをレポートにしてクライアントに提供します。
CS調査との違い
CSとは顧客満足度という意味の略称です。提供されたサービスや商品に対して、顧客がどの程度満足しているかという指標です。CS調査と、来店客のふりをして調査を行うミステリーショッパーには似て非なるものがあります。まず、目的が異なります。前者は顧客が満足しているか否かの判定と原因究明が目的ですが、後者はそれだけではなく、顧客と接する従業員の資質向上や業務改善につながるような調査内容になります。また前者の回答者は顧客そのものですが、後者は覆面調査員となります。回答数も前者は100人や1万人といった規模ですが、後者は1、2名が主です。何より明確に異なるのは、前者はアンケートやインタビューといったオープンな形での調査ですが、後者は隠密的調査方法です。
ミステリーショッパーの活用ポイント
ミステリーショッパーは、調査結果の活用方法を明確にして実行しなければ意味がありません。主な活用法を4点例示します。第1に、指摘を受けたマイナス評価部分は改善策を立て、プラス評価部分は他店との差別化やブランディング戦略を進めることで、店舗単位でのCS向上につなげます。
第2に、人材育成と適正配置という人事戦略への活用です。覆面調査員は従業員の個人別評価も行うことがあります。これらの人事評価データを集積し、検証することで最適の人材配置、管理職への起用など、マンパワーの有効活用が可能になります。
第3に、働きがいのある職場作りへの適用です。覆面調査員のチェック項目には店の雰囲気や従業員のモチベーション測定も含まれることがあります。店舗の人間関係を改善して風通しを良くしたい、従業員が前向きに仕事に取り組む環境整備を進めたい場合の具体的指針が立てやすくなります。
第4に、他社に覆面調査員を送り込むことでライバルの強みや自社に欠けている要素を認識するという活用方法もあります。