マーケティングコラム
“気づき”マーケティング(1) 「包丁のない家庭」??
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東京辻中経営研究所
同社代表取締役マーケティングプロデューサー 株式会社ユーティル研究顧問
辻中 俊樹
ここ十数年前くらいからよく耳にする、生活者のトレンドを表現するキーワードの一つだ。このことから、ちゃんと料理をしない、できない主婦が増えている、だからほとんどを惣菜ですましている、といった生活者像が一人歩きすることになる。つい最近も食品メーカーの女性マーケターや、大手流通のトップの発言として立て続けに耳にする機会があった。ちゃんと裏付けのあるデータがあるのかといろいろ調べてみたものの、確実な調査データは見つからなかった。もしあれば是非教えてください。
「包丁のない家庭が増えた」「若い主婦は包丁を使えない。」
この“気づき”を追いつめてみるには、まず包丁売り場に行ってみることである。確かに包丁なる道具を売っている売り場はこの30数年で大幅に減った。昔、街のなかには荒物屋といった金物を売っている雑貨屋があり、普段使いができる包丁がいくらでも売っていた。スーパーやホームセンターに行ってもあんまり売っていないね。まあ先鋭的な包丁は一種の凶器だから、売る方もさけたいところ、ガラスのショーケースに入っている売り場も多く、趣味の用品のようである。
「エスノグラフィ」やってみたら!!
「まな板」の音
「できれば包丁、まな板を使わず料理をしたいか」と聞かれると、100%に近い確率でイエスと答えるだろう。何も若い主婦だけでなく、シニアの主婦でもきっとそうだろう。“もやし”料理が増えるのも当然だ。カット野菜が増えていくに違いないと考えても当然である。でも、ここでも一度立ち止まって“気づき”を持った方がいい。もやしとカット野菜は違うものである。依然として売り場を見ているとカット野菜の大半はサラダ用素材である。サラダの素材の葉っぱは、もともと包丁を使ってむいたり切ったりするものなのか。カット野菜と言わず、“ちぎり野菜”といってほしい。そもそも包丁の保有とは関係のないものである。調査というものは、何を知りたいのかというちゃんとした“気づき”からスタートしておくべきである。さて、海外のサラダ用素材のパックは何でこんなに大きいのだろうか。日本もやがてこうなるのだろうか。
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