マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
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若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
推し活の経済効果はどれくらい?
推し活の国内での経済規模は、どの程度になるのでしょうか。推し活全体の市場規模と規模の大きいカテゴリ、注目のカテゴリについてみていきましょう。市場全体では8000億円近くある
矢野経済研究所の『「オタク」市場に関する調査』によると、2021年には7000億円近くだったオタク市場の規模が、2022年には8000億円近くに拡大していることがわかりました。2023年には、さらに市場規模が拡大することが予想されています。さらに、2022年度はオタク市場の主要14分野のうち、10分野で成長が見られました。推し活はある程度の市場規模があるだけでなく、今後も成長が期待される分野であることがわかります。
出典:株式会社矢野経済研究所「「オタク」市場に関する調査を実施(2023年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3383
カテゴリ別ではアニメが3000億円近く占めている
推し活の主要カテゴリでもボリュームが大きいのは「アニメ」です。アニメは、3000億円ほどの経済効果があります。アニメの市場規模が大きいのは、アニメからさまざまな形態に派生しているためです。アニメから原作の漫画に興味を示す消費者もいれば、アニメの人気が高まりゲーム化されて消費者が購入に至ることもあります。アニメのモデルとなったスポットを巡る聖地巡礼は、観光業の活性化にもつながっています。
アニメの次に市場規模が大きいのは「アイドル」です。さらに、「同人誌」「プラモデル」「フィギュア」が続きます。特に同人誌はデジタル販売、プラモデルやフィギュアはコロナ禍の巣ごもり需要をきっかけに需要が拡大しています。
さらに、近年ではボーカロイドやボイスチェンジャーなどの音声合成のカテゴリも市場規模を拡大しています。
出典:株式会社矢野経済研究所「「オタク」市場に関する調査を実施(2023年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3383
【推し活】若年層を中心に増加している
消費者庁の「消費者意識基本調査」(2021年度)によると、「有名人やキャラクター等を応援する活動にお金を使う」方の割合(年齢層別)のうち「とても当てはまる」「ある程度当てはまる」と答えた方の割合は下記の通りであることがわかりました。出典:消費者庁「「令和4年版消費者白書」第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2022/white_paper_132.html
さらに、クロス・マーケティング社の調査において、余暇時間を使って推し活をしている方は2割に上ることがわかりました。このうち、20代女性は45%、30代女性と20代男性で29%です。全体の平均が20%であることから、特に若年層で推し活をしている方が多いことがわかりました。
いずれの調査によって明らかになったのは、推し活が若年層を中心に広がりを見せていることです。世相を反映するように、「推し活」は2021年の流行語にもなりました。
推し活が若年層で増加しているのは、SNSと相性が良いためです。応援するほうと応援されるほう、同じ推しを応援する仲間のつながりがSNSを介して強く意識されるようになりました。また、インターネットの普及で商品やサービスに関する情報を集めやすくなったことも理由にあげられます。
企業のマーケティングにおいても推し活は有効
推し活は企業のマーケティングにも有効です。推し活マーケティングの事例をいくつか紹介します。サンリオ
サンリオオンライン公式ショップでは、「#推しのいる生活」特集で、サンリオキャラクターがデザインされた、うちわケース、アクリルスタンド、ペンライトなどの推しグッズを販売しています。推しキャラや推し色でグッズを検索でき、サンリオキャラクターとともに推し活を楽しめる工夫がされています。参考:株式会社サンリオ「#推しのいる生活特集」
https://shop.sanrio.co.jp/special/oshilife
タワーレコード
推し活に使えるグッズを販売しているのがタワーレコードの事例です。メッセージが書かれたカンペうちわ、銀テープ収納ケース、銀テープホルダーなど、ライブで活躍する便利グッズが揃います。参考:タワーレコード株式会社「タワレコ推し色・推し活グッズ」
https://tower.jp/site/goods/recommend-goods/
関連記事:「企業が取り入れる推し活マーケティングとは?事例や成功のポイントを解説」
企業が推し活マーケティングに取り組むメリット
推し活の市場規模でも取り上げたように、推し活は一定の市場規模が見込め、さらに今後も拡大していくことが予想されます。企業が推し活マーケティングに取り組むことは、さまざまな効果を生むでしょう。推し活マーケティングによる主なメリットを4つ取り上げます。消費行動の変化に対応できる
人々の消費活動は、モノを消費する時代から、コトを消費する時代へと変化しています。つまり、モノを購入して満足する時代ではなく、体験に価値を置く時代に変化してきたということです。消費活動が変化してきた時代において、推し活マーケティングは商品やサービスを購入してもらうための有効な手法のひとつといえます。推し活は、消費を通して推しをサポートする活動であるためです。
例えば、推し活にプラスになる商品を発売するなど、推し活に注目して企業に適したマーケティングを実施することで、売上アップが期待できます。
Z世代にアプローチできる
Z世代とは、1990年代半ばから2010年代に生まれた世代のことです。Z世代に向けたマーケティングは重要度が高まっています。Z世代はデジタルネイティブで、インターネットでの情報収集やSNSでの情報交換が当たり前のようにこなす世代です。Z世代はデジタル技術の活用が当たり前であることから、従来のマーケティング手法が通用しにくい世代ともいえます。また、SNSによる発信力が高いことも特徴です。
Z世代にアプローチするために、推し活マーケティングは効果的といえます。Z世代にとって「推し」はいて当たり前で、推し活にお金を使う割合も高いためです。
推し活マーケティングに力を入れることは、Z世代とも関わりをもつことができ、企業の販売戦略の有効性を高められるメリットがあります。
コアユーザーに価値提供できる
特定のキャラや人物に関連するグッズを販売するなど、特定の層をターゲットにすると、そのほかの層を排除することになります。しかし、推し活マーケティングでは特定の層に特化した商品やサービスを提供することこそが効果的です。ターゲットを特定して販売することによって、コアユーザーにアプローチできる可能性があるためです。
国内にはさまざまな問題があります。人口減少による新顧客獲得の問題、情報社会における商品選択の問題などです。今や消費者に企業の価値を十分に届けることは難しくなっています。
推し活マーケティングでコアユーザーに価値を提供できる機会を得られることは、売上アップや新規顧客獲得のひとつの突破口になり得るでしょう。
自社商品・サービスに興味をもらいやすくなる
推し活マーケティングは、自社の商品やサービスの認知度を高めたり、信頼度を高めたりするのに有効です。推し活で人気のキャラとコラボすることによって、コラボ先の商品やサービスに興味をもってもらえる可能性があるためです。また、人気の推しを起用することで、商品やサービスに対する信頼度も向上することが期待できます。
さらに、SNSでコラボ情報が拡散されたり、対話が活発になったりすることで、結果として顧客との関係を構築できるメリットもあります。
まとめ
推し活は、Z世代などの若年層にとっては身近な存在です。推し活の市場規模は年々拡大傾向にあり、人気のキャラや人物などとコラボする企業も増えてきています。推し活マーケティングは、Z世代にアプローチするだけでなく、コアなファンを取り込むためにも有効な手段のひとつといえるでしょう。企業の売上拡大の施策のひとつとして効果的に取り入れていく価値があるのではないでしょうか。