マーケティングコラム
スペパとは?コスパ・タイパとの違いや注目される背景・効率化のコツ
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近年、限られた空間を有効に活用する考え方をあらわす「スぺパ」という言葉が注目されてきています。スペパは必要最小限のもののみで暮らすスタイルとして評価の高まるミニマリズムに通じるほか、コスパやタイパとのつながりも見られる考えです。スペパのもたらすメリットや、スペパ志向を取り入れた生活を送るポイントなどをご紹介します。
スペパとは
スペパとは「空間対効果」と和訳されるスペースパフォーマンスという言葉の略で、スペース活用の効率の良さを示します。「コスパ(コストパフォーマンス)」から派生した概念であり、「この部屋の使い方は、スペパ最高」「このデザインだとスペパが低くなる」など空間の使い方を評価する際に使われています。コスパ・タイパとの違い
前述した通り、「スペパ」は「コスパ」から派生した言葉です。昨今はこの2つに加え、「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉もセットになってライフスタイルの中で強く意識される風潮が見られます。それぞれの言葉の意味は、以下の通りです。例えば、スペパを意識して余分な家具・家電を持たなくなると、結果的に節約につながりコスパがアップするというケースが挙げられます。またスペパ向上のために、1台で2役以上の機能を持つ家電を選んだ結果、複数の家電を使用する手間が減りタイパにつながったというケースも聞かれます。
スペパが注目される背景
コスパやタイパとともに、スペパにつながる試みや考え方は昨今、特に注目度が高まってきています。背景にはテレワークが普及されている状況や、住宅面積が狭くなっていることがあると考えられます。テレワークの普及
コロナ禍をきっかけにしたテレワークの普及は、スペパに関する意識が高まった要因に挙げられます。東京都における令和5年3月のテレワーク実施率の調査結果によると、従業員30人以上の都内企業の51.6%がテレワークを実施しています。半数以上の企業でテレワークが導入されているのです。またテレワークの実施回数は週3日以上が43.8%であり、オフィス以外のスペースで仕事をする時間が増えている実情も明らかになっています。 テレワークの普及によって在宅時間が長くなり、家の中で衣食住を含む暮らしの部分だけでなく仕事も加わるようになった結果、スペパ重視の傾向が強くなったと言えます。
住宅面積の縮小化
スペパが注目されるようになったもう一つの要因として、都市部の地価上昇や建築資材高騰の流れを受けた住宅面積の縮小化が挙げられます。住宅金融支援機構が金融機関と提携して扱う全期間固定金利型の住宅ローンである「フラット35利用者調査」の結果によると、注文住宅や中古戸建、マンションなどの平均住宅面積は縮小化の傾向にあることが窺えます。調査では建売住宅以外の種類では2021年度の住宅面積は2011年度に比べて数値が下がっています。 住宅面積の縮小化にともなって、限られたスペースの中で快適に暮らせるように、スペパを念頭に置いた家具の配置や空間デザインが重視されるようになったと言えます。
スぺパを重視する人の考え方
スペパを重視する人には共通する考え方があります。まずスペースに余白を持たせるため「極力ものを置かない、持たない」という考えを大事にする人が多いです。仮に必要な家具や家電を置く場合は、一台で多機能なスペックを備えるものを好む傾向も強いです。1つで何役もこなす物を選ぶ
スペパを重視する人は1つでさまざまな役割をこなす多機能なアイテムを選ぶ傾向があります。例えば、インテリアのような外見をした「ステルス家電」なら、1台で家具と家電両方の役割を果たします。このような多機能なアイテムは1台分のスペースで複数のアイテムの効果を得られるため、スペパ向上につながります。
本当に必要なもの以外は手放す
スペパを重視すると、そもそもスペースをとってしまう家具や家電などはあまり置かないようになり、必要なアイテム以外は手放す傾向が強くなります。例えば飾りとしての役割しか果たさないインテリアや、使用頻度の低い家電などに対しては「このまま所有するよりも、スペースに余白を持たせるために手放す方がベター」と考えるようになります。そのため、日常生活の中で重宝するアイテム以外は極力所有しなくなります。
スペパの意識を高めるメリット
スペパの意識を高めると、節約にもつながる新しい価値観で物事をとらえることができるようになります。「暮らしに本当に必要なものは何か」という点を考え直した上で無駄なものを手放したり、多機能アイテムなど生活に役立つものを探したりするうち、従来とは異なる考え方や行動パターンが身についていくのです。新しい価値観をもとにスペパの高い空間を作れば、経済的・心理的双方のメリットが得られるでしょう。
価値観の幅が広がる
スペパの意識を高めることで、ものの考え方や行動様式、行動範囲などが広がるというメリットが生まれます。例えば風呂・トイレ別の間取りに限定して物件を探していた人が、スペパを意識して自身の住まい条件を再検討した結果「毎日湯船に浸かって入浴する必要はない」と考えるようになったとします。すると風呂・トイレ別ではなく、ユニットバスの間取りも選択肢に加わります。
そして実際にユニットバスの物件に入居すると、毎日の入浴時間や水道使用量をカットできるだけでなく、「ゆっくり風呂に浸かりたい」と思う時には銭湯に通うようになったりして、行動範囲も広がるかもしれません。近所の人たちが集う銭湯通いを通して、自身の住む地域に関心を持つ、知らない人と交流する楽しさに気付くなど、新しい考え方をするようになる可能性も高くなります。
ムダな出費がなくなる
スペパの意識が高まると、多機能なアイテムを選び必要なもの以外を極力持たなくなるため、ムダな出費を抑えられます。例えば、しゃもじや計量スプーン、ヘラなど複数の機能を備える調理器具を持てば、調理のいろいろな場面に活用できます。そしていずれか1つの機能だけを持つ器具をそろえる必要がなくなり、キッチン内のスペパが高まるのはもちろん、それぞれの器具を買う手間や出費が抑えられるようになります。
スペパ志向のグッズ事例
スペパ志向の高まりに合わせ、暮らしを彩るアイテムとして高スペパのグッズが広く展開されています。ここでは、スペパ志向が取り入れられた商品をご紹介します。
【家具編】エアカウチ(コールマン)
家具は大きなスペースが必要なものが多く、部屋の中に圧迫感を与えやすいため、スペパを考慮した空間づくりを進める上でポイントとなります。コールマンの「エアカウチ」はキャンプ時などに空気を入れてセットアップして使用し、空気を抜けば折り畳んでキャリーバックに収納できるポータブルカウチ。幅104×奥行き90×高さ88センチで、住宅のリビングに置いてあるソファーと比べても違和感のないサイズと身体が沈み過ぎない適度な反発性が特徴です。落ち着いたグレージュのカラーがインテリアになじみやすく、アウトドア時以外にも使えます。
普段はソファー代わりとして使い、使用しない際にはコンパクトに収納して空間を広く保てるというスペパの高さからも、注目を集めるアイテムです。このように、スペパ志向で家具を選ぶ際には、機能性やデザイン性を備えつつ収納性に優れるアイテムを探すことがポイントとなります。
【家電編】スマートバスマット(issin株式会社)
スペパを考慮した部屋づくりには、生活を便利にする家電選びも重要なポイントとなります。ヘルスケア商品・サービスを開発・提供するissin株式会社の『スマートバスマット™』は体重やBMI計測ができるステルス家電です。外見はシンプルなソフト珪藻土マット。体重は本体に表示されるのではなくスマホアプリに自動記録され、入力などの手間なく体重の推移が把握できます。これ1つでマットと体重計の両方の役割を果たすため、スペパの観点からも人気を集めています。
スペパを重視する人にとって、ステルス家電は理想的な空間づくりを後押しするグッズです。家電としての利便性や機能性といったスペックと、空間を彩るインテリアとしての見た目のバランスを考慮して探すことが、長く愛用できるアイテムを見つけるコツと言えます。
【文具編】XSシリーズ(MIDORI)
仕事や勉強、日常的な作業の際に使われる文房具でも、スペパ志向のグッズへの注目が高まってきています。デザイン文具の総合メーカーMIDORI®の『XS(エックスエス)』シリーズは、はさみが76mm、テープカッターが56mmなど世界最小クラスのサイズが特徴で、コンパクトに収納できます。また軽量で耐衝撃度が高いため携帯しやすく、右利き・左利きいずれにも対応したユニバーサルデザインを採用しているなど、利便性の高さからも評価されています。
文具選びにスペパを重視する場合、コンパクトさが重要なポイントになります。一方で、自分の求めるレベルの使用感や機能を備えているかどうか、といった点も確認した方がよいでしょう。扱いづらい文具は、やがて使わなくなってしまうこともあるためです。
【その他】サントリー天然水2Lペットボトル
商品そのものでなく、使用後にゴミとなる容器にスペパ志向が取り入れられる事例もあります。サントリー天然水ブランドは、飲み終わった空の2Lペットボトルを6分の1のサイズになるまで畳める容器の開発を令和5年4月に発表。強度は維持したままで、つぶれやすくなるようにボトルの形状が工夫されています。また、ボトルの肩の部分にヤマ折り線を入れることで、畳んだ後の形がロック(固定)しやすくなるような仕掛けも施されています。
使用後の容器をコンパクトに畳める上、畳んだ後に形が戻りにくくなっているため、「ペットボトル回収日までの間、空の容器が家の中で大きなスペースを占めてしまう」という状態を改善することができ、スペパが向上します。
暮らしの中でスペパを高めるコツ
「スペパを高めたいけど、今の部屋がそもそも狭いので難しい」「家具や家電を減らして不便になるのは困る」という方もいるかもしれません。しかし、どのような部屋や環境であっても、工夫次第でスペパを高めることができます。むやみに家具や家電を減らすだけでは暮らしが不便になってしまうかもしれません。それよりもスペパを向上させるのに大切なのは、必要なアイテムをそろえる際に多機能で収納性の高い家具・家電を選ぶことや、スペースの使い方を工夫することです。
多機能なグッズは最大限に活用する
前述した通り、多機能の家具や家電はスペパの強い味方です。しかし一方で、「せっかく多機能グッズを持っているのに、その中のひとつの機能しか使いこなせていない」という、大変もったいないケースもありえます。多機能な家具や家電は、その機能をフルに活用することでスペパにつながるのです。ひとつの機能しか使わないという場合は、そもそも多機能グッズを選ぶ必要がなかったか、グッズの選び方を間違えていたのかもしれません。自分にとって必要な機能を備えたアイテムを選ぶようにしましょう。
コンパクトに収納できる家具家電を選ぶ
家具や家電を選ぶ際には、アイテムそのものの大きさだけでなく、収納した際のサイズにも注意が必要です。例えば、折り畳み式のテーブルやいすは、使わない時にはコンパクトに収納してスペースを広く確保することができます。特にスペースをとる種類の家具や家電は、収納することを念頭に置いて選びましょう。
パーテーションなどで間取りを自由に使う
1Rや1Kなど部屋数が限られている間取りであっても、パーテーションや家具の配置を工夫すれば、空間の使い方に幅を持たせることができます。例えば、1つの部屋の中でもパーテーションや目隠しとなる棚を間仕切りにして、趣味のグッズを置くプライベート空間、衣・食・住をはじめとした日常生活を快適に送るための空間―という風にバリエーションをつくることができます。間取りにとらわれない自由な空間の使い方を取り入れることも、スペパにつながるのです。
まとめ
スペパを意識して居住空間を整えると、衣食住だけでなく仕事に打ち込んだり趣味を楽しんだりと、活用の幅が広がります。自身の生活にとって「必要な機能・不要な機能は何か」を整理した上で、スペパに注目してお部屋の空間デザインを考え直してみてはいかがでしょうか。【参考URL】
https://www.ktv.jp/news/himitsu/230321/#:~:text=スペース・パフォーマンスの略、「,なっているのです。
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00628/00043/
https://news.yahoo.co.jp/articles/4bbb78cd4bead4f18cd288bad6acbd72f118b687
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2304/06/news045_2.html