マーケティングコラム

企業が取り入れる推し活マーケティングとは?事例や成功のポイントを解説

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コンテンツディレクター
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTubech運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。

武田 竜輔

「推し活」という言葉を聞いたことはありませんか?ファンとして好きな存在を応援する活動を指す言葉で、近年注目を集めています。この記事をご覧の方の中にも、推し活をしている方がいらっしゃるかもしれません。近年のマーケティングでも、推し活は注目されています。大企業においても事例があり、特にサービス業や小売業のマーケティング担当者なら必ず知っておきたい用語です。本記事では、推し活の意味や、マーケティングへの活用方法について解説します。

武田 竜輔

推し活とは?オタクとの違いはある?

推し活とは、大好きなアイドルやキャラクターなどを応援する活動のことです。大好きな存在を意味する「推し」や、応援を意味する「推す」などから派生した言葉となっています。

推し活の具体的な内容としては、コンサートやイベントに行く、関連商品を購入するといったものがあります。また、推しに関する内容をSNSに投稿するのも、推し活の一環です。

似たような言葉としては「オタク」があります。推し活とオタクの違いは、推し活は応援する活動を意味するのに対して、オタクは推しを応援している人そのものを指すという点にあります。行動の種類が「推し活」で、行動している人が「オタク」なのです。

推し活に深く関わりのある「アニメ」や「アイドル」の市場規模が増加傾向であることから、推し活そのものも今後さらに盛り上がりを見せると考えられます。

参照:矢野経済研究所『「オタク」市場に関する調査を実施(2022年)』
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3121

推し活が流行った背景

2021年の新語・流行語にノミネートされた「推し活」ですが、この言葉が流行った背景として、若者の消費傾向が「モノ消費(商品やサービスの所有に価値を見出す消費傾向)」から「コト消費(商品やサービスを購入して得られる体験に価値を見出す消費傾向)」に変化していることが挙げられます。

推し活は、消費を通じて推しの活動や夢をサポート・応援する楽しさが魅力です。ライブへ行く、商品を買う、SNSで拡散するといった体験から幸福感や達成感を得られるのが、コト消費を重視する若者の価値観にフィットしたと考えられます。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要も、推し活が流行った背景のひとつとされています。コロナの感染拡大に伴って、オンラインライブやイベントが増加し、今までよりも手軽に推し活ができるようになりました。今まで推し活をしてなかった人も、推し活の楽しさに目覚めるような状況ができていたのです。

若者の価値観や、社会情勢が変化したのが、推し活が流行った主な背景と考えられます。

参照:経済産業省「平成29年版消費者白書」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2017/white_paper_132.html

推し活・推し消費

推し活をするうえで、推しのために何らかの消費行動をすることを「推し消費」と呼びます。具体的には、推しの関連商品やサービスを購入することで、応援する活動です。

一般的な消費行動は、自分が「欲しい」と思ったものを購入します。しかし、推し行動の場合は「推しが関係しているものを買えば、応援になる」といった考えから、消費行動を取るのが特徴です。具体的には、推しのコラボカフェを訪れたり、ネットで関連商品を購入したりすることが挙げられます。


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企業が取り入れる推し活マーケティングとは?

昨今は「推し活マーケティング」を取り入れる企業が増えています。推し活マーケティングとは、推し消費に着目したマーケティング手法です。自社商品やサービスと「推し」のコラボを行って、販促につなげるマーケティング手法を指します。

最近では、SNS上でのキャンペーンといった形で推し活マーケティングを行う企業も多くあります。商品の購入特典としてキャラクタークリアファイルをプレゼントしたり、コラボイベントのフォトスポットを設置したりするのは、まさに推し活マーケティングの事例です。

推し活マーケティングの事例

以下の項目では、推し活マーケティングの事例を3つご紹介します。

ローソン×男性アイドル

まずご紹介するのは、コンビニチェーン・ローソンの「ウチカフェシリーズ」と、ジャニーズアイドルの「なにわ男子」によるコラボイベントです。このイベントでは、CMになにわ男子と俳優の松山ケンイチを起用して、双方のファンを呼び込む施策を行っています。

ローソン×なにわ男子イベントの特徴は、店内放送イベントを実施した点です。商品でコラボするのではなく、店舗に流す音声になにわ男子を起用して、推し活中のファンに来店してもらいやすい工夫をしています。また、メンバーごとに店内放送イベントの出演スケジュールを分刻みで公開しており、ファンの満足度が高まりやすいようにしているのもポイントです。

店内放送イベントを実施しても、いつ登場するのかわからないと、ファンは長時間コンビニに滞在しなくてはいけません。しかし、スケジュールを細かく公開することで、ファンのストレスをなくし、より快適にイベントを楽しんでもらえるようにしています。

参照:ローソン「ローソン×なにわ男子」
https://www.lawson.co.jp/lab/campaign/naniwadanshiclub/

森永製菓×スマホゲーム

続いては、森永製菓のチョコブランド「ダース」と、スマホゲームのタイアップ企画です。「あんさんぶるスターズ!」というゲームに登場するアイドルユニット・fineを、ブランドアンバサダーとして起用した、珍しいイベントとなっています。

キャンペーンではfineのリーダー天祥院英智をブランドマネージャーに任命して「DARS Perfect MILK Project」を開催し、WebCMの公開や、プレゼントキャンペーン、ゲーム内コラボなどを行ってきました。

またメンバーそれぞれがプロモーションプロジェクトを考え、実行するといったストーリー性を持たせているのも特徴的です。ゲームキャラを起用して2次元と3次元をうまくつなぎ合わせ、ファンが没入しやすいイベントになっている点は、とても参考になります。

参照:宣伝会議「企業が推しを消費してはならない 森永製菓が『fine』とのコラボに込めた思い」
https://mag.sendenkaigi.com/senden/202304/oshikatsu-marketing/025974.php

タワーレコード×推し活グッズ販売

タワーレコードでは、アイドルやアニメキャラとコラボするのではなく、推し活に役立つグッズ販売をする新しい取り組みを行っています。「指さして」「3秒見つめて」と書かれたライブ用うちわや、チェキファイル、アクリルスタンド用ケースなど、商品はさまざまです。

推し活マーケティングの観点からすると、キャラクターやアイドルとコラボしているわけではないので、訴求力が弱まる懸念もあります。しかし、推し活をしている人なら誰もが欲しくなるグッズを多く取りそろえており、ターゲット層は通常よりも幅広くなるでしょう。

また、アニメやアイドルとのコラボでは、どのような内容だとファンが喜ぶか、批判されないかを細部まで考え抜く必要があります。しかし、推し活グッズの販売であれば、推し活に役立つような実用的で機能性のある商品を作れば問題ありません。ターゲット層が幅広く、批判されるリスクが低いのが、タワーレコードの施策のメリットでしょう。

参照:タワーレコード「タワレコ推し色・推し活グッズ」
https://tower.jp/site/goods/recommend-goods/

推し活マーケティングを成功させるポイント

推し活マーケティングは、ただファンが多いブランドやキャラクターとコラボするだけでは成功しません。内容はもちろん、拡散力にも注目するのが重要なポイントです。

推し活マーケティングを成功させるポイントを4つご紹介します。

推しが主役になるようなコラボにする

推し活マーケティングをする際は、コラボの主役が推しになるよう配慮しましょう。通常のコラボであれば、自社商品やサービスが主役で問題ありません。しかし、推し活マーケティングにおいては、推し活をしているファンが対象です。商品やサービスのファンを対象としたマーケティングではないので「推し」が前面に来るような内容になるようにしてください。

商品やサービスを前面に出して、推しを脇役のようにしてしまうと、反感を買ってしまうケースもあるので注意しましょう。

SNSで拡散したくなるような仕組みを取り入れる

ファンコミュニティに対してしっかりと訴求するためには、SNSで拡散したくなるような仕組みを取り入れるのも大切です。推し活マーケティングは、どれだけ多くのファンを巻き込めるかがポイントになります。購入者が「よい商品を購入した」で満足せず、「もっと多くのファンに知って欲しい」「広めよう」となるような施策が必要なのです。

具体的には、TikTokのハッシュタグチャレンジや、Twitterのハッシュタグを用いたキャンペーンなどが効果的です。

持ち運びができたり形として残したりできる商品にする

CSNSで拡散してもらえるように、手元に形として残る商品を用意しましょう。推し活では、キャラクター商品を旅先に持っていき、記念撮影をする文化があります。形に残る商品で、かつ持ち運び可能なものだと、さまざまな場所で写真を撮って共有してくれる可能性が生まれるでしょう。

SNSにおいては、文章単体よりも写真付き投稿のほうが、拡散力が高い傾向にあります。ファンが気軽に写真を撮ってくれるように、映えやすいパッケージや、可搬性を意識するのがおすすめです。

推しと商品に関連性がある

推しと商品には、何らかの関連性が必要です。既存の商品にただキャラクターを印刷しただけのものや、名称を変更しただけのコラボ商品は、ファンからの共感を呼びづらいでしょう。ファンも、推しのキャラクターが大切に扱われていないと感じる可能性があります。

キャラクターが好きな食品とのコラボや、パッケージデザインをコラボ用に作成し直すなど、ファンが納得するような関連性が必要です。

まとめ

推し活とは、大好きなアイドルや俳優、キャラクターなどを応援する活動のことです。推しと一緒に夢を追いかけ、応援し続けるといった「体験」を重視する若者が増えたことや、新型コロナによる巣ごもり需要などから、注目され始めました。
推し活心理を活用した「推し活マーケティング」は、小売業を中心に取り入れる企業が増えている手法のひとつです。多くのファンが喜んでくれるような施策となるように、工夫してみてください。

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