マーケティングコラム

アンケートの統計・分析|成功に導くためのポイントや分析方法をご紹介!

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サービスや商品の問題点を発見し、改善や新たな施策に活かす際に役立つ「アンケート調査」。しかしアンケート調査は、統計の考え方を理解した上で実施・分析しないと、ムダになってしまう恐れがあることをご存知ですか。今回は、アンケートを実施する上で重要な「統計」をはじめ、おさえておきたいポイント、アンケートの集計や分析の方法などを解説します。

アンケート結果を分析するうえで重要な3つのポイント

アンケートは、ただ実施するだけではほとんど意味がありません。アンケートの実施によって得たデータを活かすためには、以下の3工程をしっかり行うことが重要です。

【アンケート結果を分析するうえで重要な3つのポイント】
 ・アンケート結果の統計
 ・統計結果の分析
 ・分析結果の可視化(資料化)

アンケート結果の統計

アンケートを実施したら、集計を実施しますが、それだけでは不十分です。アンケート実施直後のローデータ(手を加えていない生の回答データ)の状態は、単なるデータの羅列にすぎません。そんなアンケート結果を見やすくまとめる作業が「集計」です。そして「統計」では数字を使って、集計データの特徴・性質・傾向を把握していきます。

統計結果の分析

アンケートの統計を行ったら、統計結果から数量的な特徴・性質・傾向」の理由を探ります。具体的には、数値の比較検討や、仮説と検証を実施します。統計結果をしっかり分析することで、マーケティング施策などに活かすことが可能となるのです。アンケートの分析には様々な方法があるため、後に詳しく解説します。

分析結果の可視化(資料化)

データは集計・統計・分析の各段階で、グラフや表を使って可視化することが望ましいです。これによってデータや統計・分析結果を、分かりやすい形でチームなどに共有することが可能となります。なお、グラフには様々な種類がありますが、集計の方法や目的に応じて、情報が伝わりやすいものを選ぶことが重要です。

アンケートの成功に欠かせない6つの重要ポイント

より良いアンケートを実施し、有益なデータを多く得るためには、以下6つのポイントを踏まえておきましょう。

【アンケートの成功に欠かせない6つの重要ポイント】
 ・アンケートを実施する目的の明確化
 ・アンケート内容は回答者に寄り添って作成
 ・有効回答と無効回答の基準の明確化
 ・統計的に信頼性のあるデータなのかを検証
 ・各データの相関関係を意識
 ・目的に沿った集計・分析を実施


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アンケートを実施する目的の明確化

アンケートをより良い内容にするためには「アンケートを実施する目的」を明確にしておかなければなりません。目的が不明瞭なままアンケートを作成すると、不要な質問や選択肢を多く設定してしまい、回答者が答えにくい内容となる恐れがあります。
アンケートの目的を明確化する方法の一例としては、「PDCAサイクルの中で、どの段階のアンケート調査か」を照らし合わせる方法があります。

・Plan(計画)
計画策定における仮説の設定や課題の把握が目的のアンケート調査。家計調査、生活時間調査など。

・Do(実行)
対象者の実態の詳しい把握が目的のアンケート調査。商品やサービスの利用状況調査など。

・Check(評価)
商品サービスの評価を目的とするアンケート調査。顧客満足度調査など。

・Act(改善)
改善効果の検証や事業継続の判断を目的とするアンケート調査。商品・サービス改善後の要望調査など。

アンケート内容は回答者に寄り添って作成

アンケート内容が回答者に寄り添っていない場合、有効回答が充分に得られない可能性があります。具体的には以下のような点に注意して、回答者に寄り添ったアンケート内容を作成しましょう。

・質問数は必要最低限か
・質問が理解しやすい構成になっているか
・「答えやすい質問から答えにくい質問へ」「選択式の質問は冒頭に、記述式の質問は最後に」など、回答しやすい流れになっているか
・質問内容が難しくないか
・質問の文章は簡潔で分かりやすいか
・質問の選択肢が多すぎないか
・回答に時間がかかりすぎる設問がないか

有効回答と無効回答の基準の明確化

アンケートの回答結果は全て有効となるわけではありません。中には、無回答・記入漏れ・不適切な回答といった「無効回答」が含まれます。アンケート集計の際、有効回答と無効回答を分け、無効回答を省いておきましょう。
無効回答を省いておかないと、母数が変わってしまい、分析結果に誤りが生じる恐れがあるのです。ただし恣意的に回答を選ぶことは避けなければならないため、有効回答と無効回答の基準は、事前に明確にしておいてください。

統計的に信頼性のあるデータなのかを検証

アンケート結果の分析には、統計的に信頼性のあるデータを利用しなければなりません。統計的に信頼性のないデータで分析すると、出てくる結果も信頼性のないものとなるからです。アンケートで得られたデータが、統計的に信頼できるかを検証するためには、以下2点をチェックしましょう。

・回答数が充分か
サンプル調査(母集団からランダムに何人かを選んで実施する調査)では、サンプル数(回答者数)が多いほど、誤差が少なく信頼性の高いデータが得られます。集計の方法によっても異なりますが、例えば100万人の母集団について調査するケースで、誤差を3%以内に収めたい場合は、およそ1000人のサンプル数が必要です。

・代表性があるか
サンプル調査では、抽出した対象者の回答は「母集団の意見を反映した回答(代表性のある回答)」であることが求められます。偏りのある意見ばかりが抽出された場合は、有効なデータと認められません。

各データの相関関係を意識

統計的に信頼性のあるデータであることが検証できたら、 分析をしていきます。その際、データの相関関係を意識すると、様々な仮説を立てる上で役立つでしょう。ただし、相関関係は単に「データに関連性があること」を表すに過ぎず、原因と結果の関係である「因果関係」ではありません。相関関係と因果関係を混同して、誤ってデータを解釈しないようにご注意ください。

目的に沿った集計・分析を実施

アンケートの集計・分析には複数の方法が存在するため、目的に合わせて使い分けるようにしましょう。例えば、アンケートの集計方法は主に「全体の傾向の把握を目的とする方法」「属性ごとの詳細な傾向の把握を目的とする方法」に大別できます。
また、アンケートの分析方法には「複数のデータを要約する(理解しやすくする)ことを目的とする手法」「データ予測を目的とする分析手法」などがあります。

アンケート結果に活用される集計方法

アンケート結果に活用される集計方法には、主に以下の3つがあります。

【アンケート結果に活用される集計方法】
 ・単純集計
 ・クロス集計
 ・自由記述による集計

単純集計

アンケート結果の全体の傾向を把握するのに向いた集計方法です。例えば、アンケートで得た「Yes/No」それぞれの回答を合計し、回答数を比較します。このように、シンプルでわかりやすい点がメリットですが、あくまでアンケート結果の概要しかわからない点はデメリットです。

クロス集計

単純集計よりも詳細な「年齢・性別など属性ごとの傾向」を把握するのに向いた集計方法です。
例えばアンケートの単純集計で「新商品を使いたい(Yes)という回答が90%」という結果が出たとします。この場合、全体の傾向は「新商品を使いたい人が圧倒的に多い」ですが、クロス集計をすることで、「60代で新商品を使いたい人は10%未満」など、回答者の属性によって偏りがあるかどうかを見ることができます。
このようにクロス集計を使えば、アンケート結果から様々な課題を抽出することができ、戦略立案などに役立やすくなります。なお、アンケートの集計はクロス集計が基本とされています。

自由記述による集計

自由記述とは、選択肢を設けず回答者に自由に回答してもらう方法です。
自由に文章を記述するだけでなく「新商品の値段がいくらまでなら購入しますか」など、数値を自由に記述してもらって回答を得る場合もあります。なお、回答方法によって以下のように集計方法も変わります。

・文章で回答した自由記述の集計方法
初めに自由記述された回答の一覧表を作成。続いて類似する回答やキーワードで仕分けする「アフターコーディング」や、文章解析を行う「テキストマイニング」などで、データの分類・タグ付け・可視化などを実施します。

・数値で回答した自由記述の集計方法
平均値のみならず、回答結果の最小値と最大値、さらにデータの真ん中の数値(中央値)を求めます。回答のばらつきが大きいと、平均値は参考にならないため、中央値も確認するようにしましょう。

アンケートの集計結果を分析する方法

アンケート調査はただ行うだけでは意味がありません。集計結果を分析し、具体的な行動につながる課題を発見することが求められます。アンケートの集計結果を分析する具体的な方法には、以下のようなものがあります。

【アンケートの集計結果を分析する方法】
 ・クラスター分析
 ・主成分分析
 ・決定木分析
 ・アソシエーション分析
 ・時系列分析


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クラスター分析

クラスター分析は、データをセグメンテーションする(切り分ける)タイプの分析手法です。アンケートの回答者の属性、あるいは回答結果などを、似た要素ごとにクラスター(集合)としてグループ分けして分析します。
これにより「ターゲットや市場の明確化」「市場における自社のポジションの確認」「顧客の嗜好の把握」「おすすめ商品のレコメンド」などに役立てることが可能です。なおクラスター分析には以下のように「階層クラスター」「分析非階層クラスター分析」の2種類があります。

・階層クラスター分析
順番に似たクラスターをまとめます。樹形図を使用することで、視覚的にグルーピングの様子を理解することが可能です。

・非階層クラスター分析
クラスターの数をあらかじめ決め、グルーピングを自動で実施します。アンケートのサンプル・データが大量にあると階層構造で分類しにくいため、そのようなケースの分析に適しています。

主成分分析

主成分分析は、複数のデータを要約するタイプの分析手法です。膨大なアンケート結果(データ)を、少数の主成分(データ置き換えて新たに作られた変数)にまとめることで、データの扱いと理解が容易になります。これにより「商品評価、顧客満足度、人事評価、人材配置などの調査・分析」を、効率的に実施することができます。

決定木分析

決定木分析は、データ予測に関する分析手法です。 物事の原因となる変数(説明変数)を、樹形図(ツリー)として可視化する分析方法です。
予測を繰り返して様々な結果を導き、複数の結果からベストなものを選ぶことができます。 これにより「新商品・サービスのターゲットになる属性の把握」「顧客満足度に影響を与える要素の把握」「解約、顧客離脱につながる要素の把握」などに活用することが可能です。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は、購買パターンの把握に活用される分析手法です。データ間の関連性を発見し、客単価の向上や併売(クロスセル)などに役立てることができます。
なお、アソシエーション分析の中でも、小売業界において消費者の購買行動を分析するフレームワークは「バスケット分析」と呼ばれます。バスケット分析では、売上アップに結びつく「最適なレイアウトや商品の陳列方法」を考える際などに活用されます。

時系列分析

時系列分析は、データ予測に関する分析手法です。データの変化と時間経過の関係を読み解き、今後のデータの変化の予測に役立てます。身近な例としては「天気予報」が挙げられるでしょう。
そんな時系列分析はビジネスにおいて「時間・曜日ごとの来客数の予測」「季節ごとの売上の変化の予測」「予測に基づく発注数・スタッフ数の調整」などに活用することができます。

まとめ

アンケートは、目的を明確にした上で、回答者に寄り添う形で作成・実施しなければなりません。そして、回答(データ)から有益な情報を汲み取るためには、しっかりと集計・分析することが重要です。「自社課題の発見」「新たなアプローチ方法の開拓」「マーケティング力の向上」「より良い戦略立案」など、アンケートをビジネスでさらに活かせるように、今回ご紹介したポイントや集計・分析方法をご活用ください。

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