マーケティングコラム

ホームユーステストのメリット、最近の活用事例をご紹介

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テスト品をチェックする調査手法として「ホームユーステスト」があります。このコロナ禍で実施が難しくなった会場調査に変えてホームユーステストに切り替えるケースもありました。今回のコラムでは、会場調査と比較してのホームユーステストの特性やメリットを整理するとともに、動画や写真、行動記録などの客観的なデータを活用したホームユーステストの事例をいくつかご紹介したいと思います。

ホームユーステストとは

テスト品の商品力をチェックする調査手法の1つとして、「ホームユーステスト(Home-Use-Test 略称:HUT)」があります。

ホームユーステストとは、新商品や試作品のサンプルを対象者に送付し利用していただき、その感想や意見をアンケートにて収集する調査手法です。テスト品の対象としては、日用品やトイレタリー用品、化粧品の他、飲み物や食べ物、調味料等の消耗品が多いですが、家電・家具、美容・健康機材、アプリやITサービスといった商品サービスも対象とすることが可能です。その場合は、テスト期間や方法をその商品の特性やテストの目的に応じて調整します。

テスト品の試用評価を行う手法としては会場調査もあります。特に、試飲や試食テストでは環境がコントロールできる会場調査を選択されるケースが多いように思います。会場調査と比較して、ホームユーステストならではのメリットは以下の3つがあげられます。

 1. 日常の環境でテスト品を評価できる
 2. 長期間、試用した評価を把握できる
 3. 全国を対象に調査ができる

それでは、それぞれについて詳しく説明していきましょう。

1. 日常の環境でテスト品を評価できる

会場調査では厳密に調査環境を整えてテスト品の試用評価をするのに対し、ホームユーステストでは対象者自身に環境は委ねられます。しかし、日常環境でふだん通りに試用していただくことでテスト品がどのように評価されるのかという点は、生活者視点での商品開発を行うという意味でとても重要なチェックポイントとなります。そのため「ふだん通り」とはどのような状況だったのか、「ふだん通り」にテスト品を試用することで評価にどう影響するのか、テスト品の試用・飲食状況・環境も同時に把握しておく必要があります。

2. 長期間、試用した評価を把握できる

会場調査ではその場で試用・飲食した結果で評価を得るのに対し、ホームユーステストではある一定期間試用した評価を把握するという、テスト期間に違いがあります。一般的には一週間、一か月など連続した試用期間を設定しますが、それ以外にも三日置き、一週間おきなど試用するタイミングを指定するといった方法もあります。
試用期間やタイミングの設定は、それぞれのテスト品の特性を踏まえた上で「どれくらいの期間試用した評価で判断するのが最適なのか」という視点を元に決定します。

3. 全国を対象に調査ができる

会場調査では対象者に来場していただく必要があるので、調査会場の近辺の方々に対象を絞ることとなります。対してホームユーステストでは場所にこだわらず全国で調査を実施することができます。調査対象を全国に広げることで、多少難易度の高いリクルーティングでも対象者が見つかりやすくなるというメリットがあります。
その他に全国が対象とできるという点を活かした事例としては、季節商品のテストがあげられます。秋冬商品のテストを春の時期にまだ寒い地域で行ったり、春夏商品のテストを秋冬の時期に少し暖かくなっている地域で行ったりすることで、季節的な要因をある程度調整した商品評価を行うことができます。

会場調査、ホームユーステストどちらでもテスト品の試用評価は把握できますが、それぞれの手法の特性を知った上で実施することが重要となります。

最近のホームユーステスト事例のご紹介

このようにホームユーステストは、テスト品とその使用説明書を送付し、アンケートに回答していただくことが基本の流れになります。昨今はそれ以外にもより実態に近い行動状況を把握するために、映像・写真の撮影や、行動記録による客観的なデータも組み合わせて分析を行ったホームユーステストの事例がありますので、いくつかご紹介したいと思います。

事例A:嗜好品の試用シーンの撮影動画から試用時間を計測

嗜好品を試用してもらう際に試用の始まりから終わりまでを動画撮影してもらうことで、その動画から試用時間を測定し評価結果と照らし合わせて分析をしました。
これは、従来のホームユーステストでは「どれくらいの時間かかりましたか?」とアンケートを行い対象者自身の主観的な回答にとどまっていたものを、動画を用いることで客観的なデータを収集したという事例になります。

事例B:食材の保管状況の撮影と温度を記録

テスト品である食材の保管場所をアンケートによる回答だけではなく、実際に保管場所の撮影と温度測定も依頼しました。従来はアンケート回答のみにとどまっていたものをビジュアル化、そして温度管理という視点でも可視化して分析に活用できた事例となります。


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事例C:トレーニング動画の試用シーンを動画撮影し、活用状況を客観的に評価

トレーニング動画アプリを活用して運動をしている状況を動画撮影してもらい、実際にどこまで狙い通りに活用できているかを調査しました。アプリの試用評価を把握するときに、対象者本人の回答だけでなく、実際の運動の様子も動画から確認できることで、主観的な評価だけでなく、客観的にも評価を把握することができました。

事例D:センサーチップによる行動量を測定

アンケート結果だけでなく、機材を用いて測定した数値も分析に活用した事例です。
対象者に定期的に運動指導を受けていただき、その指導が実際に有効なのかどうかを検証するために調査を実施しました。対象者には毎日特殊なセンサーチップを帯同して生活をしてもらい、日々、行動量の測定をしました。そのセンサーチップはアプリに連動しているので、対象者の負担もなくアプリにデータが記録されます。
定期的な運動指導による生活行動の変化を、対象者本人の主観的な評価とともに、センサーによる数値データと取らし合わせて分析を行いました。

まとめ

このように、従来のオフライン調査手法も、新しいツールや機材を導入することで、収集できるデータの中身が進化してきています。いわゆるアンケート回答結果という主観的データと、機材・ツールによる客観的データの組み合わせによる分析も今後増えてくることでしょう。今回はホームユーステストの活用例をいくつかご紹介させていただきましたが、前例にとらわれず新しい試みを導入することが、より良い商品サービス開発に役立っていくことと思います。

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