マーケティングコラム

オープンイノベーションとは?重要性と手法を解説

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コンテンツディレクター
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTubech運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。
オープンイノベーションとは、内部のリソースだけではなく、外部から知識やノウハウ、技術を取り入れ、効率的にイノベーションを起こす手法です。近年、大手企業とベンチャー企業の連携や政府による税制度の後押しもあり、日本でも注目されている概念です。本記事では、オープンイノベーションとはそもそも何なのか、実際に活用する際の重要性や手法について解説しています。

武田 竜輔

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションとは、2003年経済学者のヘンリー・チェスブロウが提唱した概念で、以下のように定義されています。

「組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと」

引用:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「オープンイノベーションの重要性と変遷」
https://www.nedo.go.jp/content/100879995.pdf

つまり、これまでの自社のリソースを活用するだけに限らず、外部からのアイデアやノウハウを使って市場にイノベーションを起こす手法といえます。オープンイノベーションを起こすためには、以下の2つが必要になります。

・外部の技術や文化を取り入れること
・社内の技術や文化を提供すること

具体的には、研究開発能力、技術的要素、人的資源や資金などの必要となる資源を内部・外部で組み合わせてイノベーション効率の最大化を促し、企業同士で新たに市場に価値を創造していきます。


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オープンイノベーションの重要性

昨今、オープンイノベーションの重要性が増し、日本でも大きな注目を集めています。その背景には、以下の3つの問題点や変化がかかわっています。

1. クローズドイノベーションの限界
2. 多様化するニーズへの対応
3. 生産サイクルの短縮

順番に見ていきましょう。

1. クローズドイノベーションの限界

「クローズドイノベーション」は、オープンイノベーションとは逆の概念で、外部のノウハウを活用せず、自社リソースのみで市場に機会を創出するイノベーション手法です。これまで日本では、知的財産の管理を優先し、 自社技術を保護する開発環境を内製化する方が効率的だと考えるクローズドイノベーションが主流でした。

しかし、1990年代以降、市場でのIT技術の普及・促進による、新興国企業との競争環境の激化やプロダクトライフサイクルの短期化、製品の高度化・複雑化など複数の要因が重なり、日本でのクローズドイノベーションでの成長が限界を迎えました。

グローバル競争にて優位性を保つためには、必然的に外部資源を取り入れて企業を成長させることにつながるオープンイノベーションが必要だとして、クローズドイノベーションからの移行が始まっています。

2. 多様化するニーズへの対応

現代はインターネットの普及によって、顧客がさまざまな情報をすばやく入手できるようになったことから、顧客のニーズがスピーディーかつ多様に変化するようになりました。

内部リソースに頼る従来の経営手法では、めまぐるしく変化する顧客ニーズを捉えることが難しく、キャッチアップが限界を迎えました。

そんな中、オープンイノベーションによって、外部からのさまざまなアイデアや技術を取り入れることができれば、自社だけでは作れなかった機会を創出できます。顧客の多様化したニーズに対応するために、オープンイノベーションは不可欠といえるでしょう。

3. 生産サイクルの短縮

近年ではITの普及により、プロダクトが生産されるまでのスパンが短縮化されました。先述したように、顧客のニーズの変化が早いため、企業が競争優位を取るには、開発から製品化までの工程をスピーディーに進めていかなければなりません。

しかし、クローズドイノベーションに頼って製品開発を進めると、優れた技術で高水準の製品を作るための時間的コストや費用が膨大にかかります。一方、オープンイノベーションで外部の技術を取り入れれば、短期間で高水準の製品を提供することも可能になるのです。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションは、グローバル市場の競争激化に合わせた対応策です。実際に企業が取り入れることによって、以下のような2つのメリットがあります。

・自社の技術成長
・生産コストの削減

順番に見ていきましょう。

メリット1:自社の技術成長

オープンイノベーションは、外部から新しい知識や技術を取り入れるため、自社の技術成長につながります。内部リソースだけでも技術は発展しますが、外部からの新たな刺激により、よりスピード感を持って事業の成長を促せられます。

さらに、他社のあらゆるリソースを知ることで、自社に不足していた新たな観点やノウハウを把握する機会にもなり、自社の強みを客観的に理解することができるでしょう。

メリット2:生産コストの削減

オープンイノベーションは、内製リソースのみの投資で得ていた成果を、外部からの資源として使えるので、生産コストの削減にもつながります。よって、これまでよりも短期間・低コストで開発が可能です。

内部リソースだけでは、研究開発への投資に多大なランニングコストを必要とし、人材の採用・新規の育成も合わせて実行しなければなりません。

しかし、オープンイノベーションを活用すれば、事業立ち上げ初期にかかる金銭的コストや人材面での教育コストも省けるため、全体の生産コスト削減が実現します。

オープンイノベーションを行う3つの手法

では、実際にオープンイノベーションを行う場合、どのような手法があるのでしょうか。現在、主流となっている手法としては、以下の3つが挙げられます。


オープンイノベーションの手法


順番に見ていきましょう。

インバウンド型

インバウンド型は、外部から知識を取り入れつつ、社内の技術やアイデアに活かすオープンイノベーションの手法です。自社以外のノウハウやリソースを活用できるため、効率的にイノベーションの最大化が可能となります。インバウンド型の手法には、主に以下のような事例があります。

・企業と大学の共同研究
・ライセンスイン
・コンソーシアムの参加
・ベンチャー企業の買収 など

運用の際は、どのようにして外部の技術を効率的に取り入れるのか、効果的に技術を吸収する方法をどうするのかがポイントになります。

アウトバウンド型

アウトバウンド型は、インバウンド型とは反対に、社内の技術やアイデアを外部へ提供するオープンイノベーションの手法です。具体的な事例は以下の通りです。

・技術の売却
・ライセンシング
・技術の無償公開 など

社内にある技術を外部に流すことによって、何らかの価値を得られると判断した際に用いられます。

連携型

連携型は、インバウンド型とアウトバウンド型の両方を統合したオープンイノベーションの手法です。具体的な手法は以下の通りです。

・アイデアソン・ハッカソン開催
・ジョイントベンチャー設立
・コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)
・インキュベーター

特定の分野に専門知識を持った会社が対等な関係で協業する場合に用いられる手法となっています。

オープンイノベーションの成功事例

ここからは、オープンイノベーションを実際に活用した成功事例を紹介します。オープンイノベーションを用いた国内の成功事例はさまざまですが、中でも以下の2社の事例が知られています。

・トヨタ自動車
・ソフトバンク

どちらもグローバルに進出する有名企業ですが、企業がどのように成長したのか、具体的に見ていきましょう。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は2016年12月にスタートさせたオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」にて、自前主義からの変革として、協業で知識や技術の交流を通したイノベーションを目指しています。

大手企業・ベンチャー、研究機関など500を越える幅広い業者から5社を選定した上で、アイデア・技術を共同開発で取り入れ、さらなる事業の成長を実現しました。


オープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」


また、2021年4月に新設したスタートアップ企業と協業を推進する組織「ビジネスインキュベーション室」にて、2025年度末までの5年間で、カーボンニュートラル、知能化技術、UX、循環型社会、電動化、ヘルスケア、ロボティクス、新素材の投資枠を総額50億円で設定し、外部の技術や知見を取り入れながら、新たな価値を加速させることも決定しています。

参照:トヨタ自動車株式会社「オープンイノベーションプログラム『TOYOTA NEXT』」
https://global.toyota/jp/detail/18327954

ソフトバンク

ソフトバンクでは、すでにある自社のリソースと他社のリースを掛け合わせ、共創の場をつくるパートナーシッププログラム「ONE SHIP」を通し、イノベーションを図りました。

5GのようなAIやIoTを軸にした新産業の創出を目的としており、テクノロジーに専門性のある企業とのM&Aや事業提携を行い、効率的に自社と他社のシナジー創出を行っています。1を100にすることが得意な企業が、イノベーションを効率的かつ最大化するための成功事例のひとつといえるでしょう。

参照:ソフトバンク株式会社『なぜソフトバンクは「外部パートナーとの共創」を選択したのか?』
https://www.softbank.jp/biz/blog/business/articles/202011/oneship/

オープンイノベーション促進税制とは

最後に、オープンイノベーション促進税制について解説します。オープンイノベーション促進税制とは、スタートアップ企業との協働によりオープンイノベーションの創出・促進を目的とした制度です。経済産業省によると、オープンイノベーション促進税制の概要は以下の通りです。


オープンイノベーション促進税制の概要


当初の期間は、2020年4月1日から2022年3月31日の2年間でしたが、2022年4月1日から2024年3月31日まで延長となっています。投資をする法人にとっては節税効果が期待でき、スタートアップ企業にとっては資金援助や両企業のノウハウを連携して使えるので、どちらにも利点がある制度です。

参照:経済産業省「オープンイノベーション促進税制」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/open_innovation/open_innovation_zei.html

まとめ

顧客のニーズが多様化している現代では、事業のスピード感や効率性が企業としての成功を目指す鍵となっています。そのためにオープンイノベーションを活用し、企業の市場機会を創出するには、内部と外部の連携が非常に重要です。

今後、オープンな技術革新が主流になってくる日もそう遠くはないかもしれません。クローズドな技術革新だけでは、企業の成長に限界が訪れます。積極的に社外のリソースを活用し、時代に合わせたイノベーションを起こしていきましょう。

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