マーケティングコラム

会場調査(CLT)のメリット、インタビュー調査と組み合わせた活用事例をご紹介

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どんなにデジタルが発達した現在でもオンライン調査で実現不可能なことは、「対象者に実際にテスト品を体験してもらい、その反応を生で観察する」ことです。それを定量的に実現できるのはリアルな現場に対象者を呼集する「会場調査(CLT)」しかありません。今回は「会場調査」にフォーカスして、昨今の具体的な事例をご紹介していきたいと思います。

会場調査とは

オフライン調査の主なものの1つとして「会場調査」があげられます。

「会場調査」とは、対象者を特定の会場に呼集し、テスト品に対する対象者の反応を生の現場で得ることを目的に実施します。テスト品の対象としては、パッケージデザインや容器の使用性、TVCM等動画や広告ビジュアル、試飲や試食、香りのテストなどもあります。実際に体験していただくことでしか、その反応・評価を把握できないものになります。

このようなテスト品の評価は、Web調査やホームユーステストでもできますが、「会場調査」ならではのメリットとしては以下の3つがあげられます。

 1. 調査環境をコントロールできる
 2. 生の反応を観察できる
 3. 定量調査と定性調査を組み合わせて実施できる

今回のコラムでは、上記3つのメリットを詳しく説明していきたいと思います。

1. 調査環境をコントロールできる

テスト品の品質や内容を把握しその結果を適正に分析するためには、どんな環境下でテスト品を試したかという点が重要になります。前述の、Web調査やホームユーステストでも品質チェックテストはできますが、環境は対象者自身に委ねられます。

例えば、食品や飲料の品質チェックテストでは、テスト品の温度管理や調理状況、あるいはその提供状況に評価が左右されます。ホームユーステストでも対象者にある程度の環境指示は行いますが、厳密に管理することは難しいです。

しかし会場調査では、テスト品の提供温度、指示通りの調理方法の実施、調理されてから飲食するまでのタイミング管理、飲食する皿・コップ等食器類の質感の均質化の他、複数のテスト品を比較する場合は飲食の順序コントロール、飲食ごとに水を飲むように徹底させる等の管理も行います。

このような厳密な管理コントロールができる「会場調査」では、テスト品の品質以外の不明確なバイヤスを極力取り除くことが可能なので、より精度の高い調査データを得ることができます。

2. 対象者の生の反応を観察できる

「会場調査」では、対象者を実際に指定の会場に呼集しテスト品を体験させるため、アンケートの回答だけではない、対象者の生のリアクションをうかがうことができます。

例えば、対象者がテスト品を体験する際にどのようなことに時間をかけ、どのようなことに近づいて興味を示すのかを観察することができます。またアンケートを回答する際の表情もみることができるため、単にアンケートの結果だけではない、生の姿が会場にはあります。

会場調査は定量的に多くの対象サンプルを集めますので、数日間にわたって、あるいは複数の会場で実施します。そのため、全日程・すべての会場に立ち会うことは難しいですが、実査初日に立ち合いができた際は、会場調査の運用が目的通り・指示通りにうまく運用されているかどうかを確認するだけではなく、対象者の動きをしばらく観察することが大切です。

こういった観察を少しでも行うことによって、生の対象者の反応が加わり、調査データの解釈や分析に厚みが出ます。

3. 定量調査と定性調査を組み合わせて実施できる

前述の通り、「会場調査」はテスト品の反応・評価を定量的に把握することを目的に実施するので、100サンプル、500サンプル、多い時には1,000サンプル以上実施することもあります。そうなると、「特定の反応・評価を示した方に、もっと詳しく話を聞きたい」「一部は定性的に詳しく知りたい」という要望が当然ながら出てきます。

その際は、「会場調査」と「インタビュー」を組み合わせることが可能です。弊社で取り組んだ事例の中でも特に特徴的な事例をいくつかご紹介しましょう。


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事例A:美容家電のコンセプト受容性テスト(対象者のピックアップ例)

新しい美容家電のコンセプトの受容性を把握するために、新商品案を複数呈示し、その外観・形状とその使用性を評価するために実施しました。
対象者は、テーブルに着座し、実際に新商品案を使ってアンケート用紙に回答します。対象者の様子はすべて固定カメラで録画・録音し、同時にzoomでクライアントにも配信しました。

美容家電の使い方やアンケートの回答内容をみて、さらに詳しく話を聞きたいと思った方にはその場でお声がけをして、会場調査終了後に別室でミニ・インタビューを実施しました。

このように、会場調査からその場でお声がけをして個別に詳しくインタビューするような仕掛けが可能です。定量調査データに、簡易なインタビュー調査も並行して実施することで、定量データに定性的な情報を付加することができるため、より説得力のある調査結果となります。

事例B:新機能UXテスト(定量調査の一部を定性的に補完)

自動車に搭載されている新機能に対して直感的なわかりやすさや操作性を把握するために実施した調査です。実際の自動車のドライビングシートに近い環境下を用意して、対象者に運転をしてもらいながら使いやすさに関していくつかの評価をとりました。
その際に、定量的に把握するアンケート調査だけではなく、ヒアリングする設問を数問設けることで定性的な意見もすくいあげました。

このように、会場調査では、一部分のみ定性的な情報を得たい場合に個別にヒアリングをかけることが可能です。

事例C:空調家電に対する受容性評価(調査環境としての会場例)

まだ一般市場になじみのない新しい機能を備えた空調家電に対して、その受容性を把握するために実施した調査です。「会場」そのものに工夫を行い、簡易的なホームビジットに近い状態で調査を行いました。

ターゲットとなる対象者の年収や自宅の広さを厳密に設定し、その方々の実際のお住まいに近いイメージの会場(キッチンスタジオや撮影用ハウス等)をレンタルしました。同時に、オフィス用の調査も実施。こちらも実際のオフィスや病院をイメージできる会場をレンタルし、そこに対象者を呼集してアンケートを行いました。

どちらも、レンタル会場の中でアンケートに回答していただき、その回答内容から対象者をピックアップして、さらに詳細にインタビューを行いました。自宅と仮定してその機材を動かしたり活用してみたりしてもいただきました。事例Aと同様に、カメラによって録画・録音、zoomによる配信も実施しています。

このように「会場調査」といえども「会場」は会議室に限定したものではありません。対象のテスト品や調査の目的に応じて、最適な環境を提供できるように工夫することができます。

まとめ

今回は「会場調査」の活用例をいくつか紹介させていただきました。オンライン調査が主流の現在ではありますが、やはり人間のリアルを把握するためにはリアルな調査が望ましいものです。調査の目的や意図に応じた最適な調査環境を設定し深みのある調査データを得ることができる「会場調査」を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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