マーケティングコラム
ダイレクトメールとは?メリットや送るときのポイントを解説
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アイリスプランナー代表取締役
外資系ブランドで27年のマーケティングの経験からマーケティング専門の経営コンサルタントとして、
クリニックや起業家250社以上の経営戦略・マーケティング支援・オンラインビジネス化をサポート
インターネットが普及し、ネットで商品屋サービスを購入する人が増えています。それに伴って、ネットで商品やサービスについて調べる・比較するなど、消費者の購買行動も変化していますが、マーケティング手法の定番ともいえるダイレクトメールを活用している企業はまだまだ多いといわれています。この記事では、ダイレクトメールとはどんなものなのか、メリットや送るときのポイントと併せて解説します。
奥野 美代子
ダイレクトメールとは
ダイレクトメール(DM)は、企業から直接顧客や消費者に送られる宣伝目的のご案内の総称です。企業から直接(ダイレクト)送る手紙(メール)なので、ダイレクトメール、略してDMと呼ばれています。ハガキやチラシ、封書だけでなく、電子メールやFaxもダイレクトメールに含まれます。企業が顧客に直接コミュニケーションをとって商品やサービスをおすすめするダイレクトメールは、ダイレクトマーケティングのひとつです。顧客と1対1でコミュニケーションをとり、何らかの反応をもらうことを目的に、商品やサービスに合わせたさまざまな形でアプローチします。
ダイレクトメールの種類
ダイレクトメールの代表的な種類は、以下の通りです。それぞれの特徴とともに紹介します。郵便はがき
郵便ハガキのダイレクトメールは、低コストで送ることができ、開封する手間なく直接顧客に情報を伝えることができるのが特徴です。定型ハガキ、封書サイズ、A4サイズなど形式も多様化しており、圧着ハガキなどを使えば情報の見せ方を工夫することもできます。封筒
封書を使ったダイレクトメールは、チラシとサンプル、注文用紙など複数のアイテムを一緒に送ることができ、一度に伝えられる情報量が多いのが特徴です。中身を見えやすくするため、透明な封筒がよく使われています。ただし、封筒代や中身の印刷費などに加えて郵送料がかかるので、コストが割高になります。電子メール
電子メールを使ったダイレクトメールは、郵便や印刷物よりもコストを抑えることができ、顧客に伝えたい情報を早く届けることができます。キャンペーンや新商品の詳細といったテキスト情報だけでなく、写真や動画なども一緒に送ることができるのも特徴です。FAX
FAXのダイレクトメールは、個人よりも企業や店舗宛によく使われています。郵送と比べて低コストで送ることができますが、受信時に直接内容を目にすることができる反面、モノクロでデザイン性が乏しく、内容に興味がなければすぐに捨てられてしまうこともあるのがネックです。ダイレクトメールのメリット
さまざまな使い方ができるダイレクトメールには、以下のようなメリットがあります。顧客に直接的に情報発信できる
ダイレクトメールの一番のメリットは、マスメディアで表示される広告などと違い、自社のサービスや企画に興味のある個人や企業を絞り込んで発信できることです。顧客の年代・趣味・家族構成、住んでいる地域などを自社の顧客データや外部データをもとに調べ、企画に合う顧客層を絞り込みます。その上で、ターゲットに合わせた伝わりやすい配信方法を選び、メッセージやデザインを最適化します。企業が伝えたい情報やサービスが顧客の手元に残るので、情報やサービスの認知に結び付きやすく、問い合わせや購入にもつながりやすくなります。
発信する情報を自由に選べる
ダイレクトメールのもうひとつのメリットは、アプローチしたい顧客の属性に合わせて、伝える情報を選べることです。例えば新商品のキャンペーン案内を送る場合、新規の顧客には記憶に残るようなインパクトのある情報を、既存客にはお得意様限定の特別なご提案をするほか、自社の考えや顧客への思いなど特別感のある情報も発信し、自社のファン化を目指すといった形で使い分けることができます。効果測定ができる
発信に対してどのくらい効果が出たのか、効果測定できるのもダイレクトメールのメリットです。電子メールならメールの開封率、クーポン付きの郵便DMならクーポンの利用率などをもとに、顧客の反応を測定することができます。企画に合わせて、ターゲットの属性を変えたり、発信する地域を変えたりしつつ、より効果の高いターゲットを想定しながら、費用と顧客からの反応を数値化して効果測定すると、より効果の高い方法は何なのか明確になっていきます。
ダイレクトメールのデメリット
ダイレクトメールには以下のようなデメリットもあるため、これらを踏まえた上で導入を決めることが大切です。時間と費用がかかる
ダイレクトメールの最大のデメリットは、時間と費用がかかることです。企画を準備し、企画に合わせたターゲットを選定し、送付先・配信先リストを準備しなければならないのはもちろん、企画に合わせた最適なダイレクトメール手法の選択、フォーマットのデザイン、原稿作成など、さまざまな工程が必要です。その上、制作費や送料以外の人件費がかさむこともあります。開封されない可能性がある
もうひとつのデメリットは、せっかく顧客に送っても開封されない可能性があることです。いくらお金と時間をかけて作ったダイレクトメールでも、顧客が興味を持てなければそのまま捨てられてしまう可能性があります。開封されなければ、顧客の目に触れることもないため、効果は発揮できません。ダイレクトメールで効果を高めるポイント
ダイレクトメールで効果を高めるためには、いくつかポイントがあります。これらのポイントを、ダイレクトメールを送る際の手順に沿って紹介していきましょう。1. ターゲットを設定する(Who)
ダイレクトメールを送る際に大事なのはターゲットの設定です。企画に合わせてより効果が高く見込める顧客層がどんな層なのか考えた上で、対象者を絞り込みます。その際、新規客・既存客、地域、性別、年代などの属性を分けましょう。例えば、既存客の中でも次のような分け方ができます。
・優良顧客
購入頻度・購入累計額が多く、最近も購入している
・リピート客
複数回購入しており、最近も購入している
・新規顧客
最近初めて購入した顧客
・見込み客
自社で顧客情報を持っている顧客
2. 訴求内容を明確にする(What)
次に、ダイレクトメールで何を伝えたいかを明確にします。これが伝わらないと開封しても顧客は反応してくれません。「ダイエット器具」を紹介するダイレクトメールの場合、以下のような要素をもとに、具体的な内容を決めていきます。
・何を提供してくれるのか(オファー)
1日5分の使用で、1週間で2キロ痩せることも可能
・私にとってどんなふうに役に立つのか(ベネフィット)
簡単に操作でき、ダイエットが続かないという方でも継続しやすい
・それを手に入れるためにどうすればいいか(行動喚起)
記載されているQRコードを読み取ると、DM限定のクーポンがついた商品購入ページが表示される
3. いつ届けるのか決める(When)
ダイレクトメールを顧客に届けるタイミングも重要です。旅行や季節モノの商品などは、顧客が購入を考え始めるタイミングの前に届かなければ効果が期待できません。また、イベントやキャンペーンの案内は、一般客への案内前に優良顧客に向けて限定特典を案内すると効果的です。さらに定期購入の顧客には、同時購入の特典を案内することで「ついで買い」を促すことができます。4. ターゲットに合わせて訴求ポイントや表現を工夫する(How)
ターゲットに合わせて、メッセージや訴求ポイントの表現を工夫することも忘れずに行いましょう。自分のために送ってくれたと感じてもらえる「パーソナルなメッセージ」やいつも来店してくれるお得意様に対する「感謝のメッセージ」などは必須といえます。表現に迷ったら、ダイレクトメールを送る相手である顧客を思い浮かべて、メッセージを作成してみてください。例えば、「お客様が先日お話しされていた〇〇の新シリーズが登場いたしました」「以前、お客様が購入してくださった〇〇ですが、使い心地はいかがでしょうか」など、来店時のエピソードなどに絡めた内容にすると、受け取った側が「自分のことをしっかりと認識してくれている」と感じやすくなります。