マーケティングコラム
タブレットを使った会場調査(CLT)の特徴は?メリットと留意点も解説
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オンライン化の流れは従来のオフライン調査にもあります。オフライン調査の代表格である会場調査においても、タブレット端末からオンライン調査として回答が可能なデジタル化が進んでいます。今回は、タブレット端末を利用した会場調査のメリットやデメリット、実施する際の留意点を解説します。調査実施を検討している方はぜひ最後までご一読ください。
オンライン化におされるオフライン調査の現状
長く続くコロナ禍によって、否応なしに調査のやり方が進化しました。定性調査ではオンライン化が進み、今ではオンラインインタビューが通常の手法として定着していますし、定量調査でも従来のオフライン調査からオンライン調査への切り替えが進んでいます。
それでも、オンラインのWeb調査では検証することが不可能な部分はあり、どうしても会場に人を呼集して行うオフライン手法で実施しなくてはならないテーマはたくさんあります。
例えば、味の官能テスト、試飲・試食調査です。
試作品の味の評価を得るためにホームユーステストでも実施は可能ですが、適切な味覚官能評価を得るためには、温度管理などの試飲・試食環境を整えた上でデータ収集することが必須となります。それが可能になるのは、やはりリアルで実施するオフライン型の会場調査となります。
また、デザイン案に関する調査においても同様です。
デザイン案を画面上で表示してWeb調査にて評価を得ることは可能ですが、あくまで平面の画像での評価となります。しかも、オンラインでは調査環境をコントロールすることはできませんので、対象者がどんな環境で回答しているのかは不明ですし、もしかしたら周囲に比較できるパッケージデザインが多数あるところで回答しているかもしれません。リニューアルパッケージのデザイン案評価をしたいのに、手元の現行品と見比べて回答しているかもしれない、ということです。
世の中の買い物がすべて平面の画像で選択する時代となったら話は別ですが、まだまだ実店舗での購買が中心の今は、立体感や質感を含めたテストデザイン案を呈示して、評価を得る必要があるでしょう。その場合は、やはりリアルで実施するオフライン型の会場調査を選択することになります。
そんなオフライン調査の代表格である会場調査でも、オンライン化は進んでいます。
対象者は会場で呈示されたデザイン案を見たり、テスト品を試飲・試食したりしながら、その評価はタブレットやスマホ等でオンライン回答するという融合型の会場調査です。今回はそのタブレット端末を利用した会場調査についてご紹介したいと思います。
タブレットを利用した会場調査の特徴とは
従来型の会場調査は、会場に対象者を呼集し、テスト品を呈示あるいは試飲・試食しながら紙のアンケート用紙に回答してもらうという手法になります。この手法は、会場という現場で実物に近いテスト品を呈示しながらリアルに対象者から回答を得られる代わりに、いくつかのデメリットがありました。従来型で使用する紙のアンケート用紙は、回答の抜けモレや誤回答がないかどうかのチェックが適宜必要となり、そのためのチェッカー人員の確保やチェッカーのトレーニングに手間と時間がかかりました。また、実査完了後に1票ずつデータ入力し、集計設定やデータクリーニングに時間が必要となるため、集計表納品までしばらく時間を要しました。
この点は、従来まではこの手法にある特性として特に問題とはなっておりませんでしたが、一般のWeb調査が浸透するにつれて即時に集計結果を得られることが通常となったため、「会場調査は納期が遅い」という点を指摘されるようにもなってきております。
そこで近年では、実査は会場で行いつつも回答はタブレット端末を使ったオンライン調査にすることで、これらのマイナスポイントをすべて解消することができるようになったのです。
タブレットを利用した会場調査のメリット
人員と手間の削減
まずは、実査会場でアンケートチェックに関わる人員と手間を減らすことができます。もちろん、オンライン調査になったからといって現場でのアンケートチェックを行わなくなることはないのですが、紙のアンケート用紙に比べてその手間は大いに軽減できます。これは、コロナ禍のご時勢に会場内の人員コントロールできるという点でもメリットがあります。時間の短縮、効率化
また、調査内容やボリュームによっては、紙よりもオンライン調査の方がスムーズに回答でき、1人あたりの調査時間を短縮することができます。そして、オンライン回答イコールデータ入力となりますので、実査後のデータ入力・集計期間が大幅に削減され、短期間で集計結果を納品することができるようになりました。誤回答の軽減
それだけではありません。回答をオンライン化することで、アンケート回答の絞り込み設定がスムーズにでき誤回答もなくなるという利点があります。ローテーションの仕掛けにおいてもアナログな手作業ではなく、システム的に設定できるようになるため、格段に利便性が高まったといえます。事前の仕掛けによっては、実査しながらリアルタイムで途中経過を観測することも可能になっています。このように、会場調査にオンライン調査での知見を活かすことで最大限のメリットを受けることができます。
タブレットを利用した会場調査の留意点
ただし、タブレット端末で回答を行う会場調査を実施する際の留意点があります。それは、リアルとオンラインを融合させるために事前準備に若干、時間が必要ということです。会場調査の肝は「実査フロー」と「会場設営」
調査企画者は、会場調査のアンケートを作成する時に、テスト品をどのように呈示してどのような順番で質問を行うかを検討します。会場調査を実施するために、実査担当者と入念な打ち合わせを行い、ときには現場検証を行います。それを受けた実査担当者は、どのように会場設営を行い、どんなふうにコーナー作りを行い、どんなふうに対象者を動かすとアンケートの意図通りにスムーズに回答できるかを検討し、最適な会場の広さや大きさ、人員計画、物品等を提案・手配します。この実査段階での企画設計が、調査がうまくいくかどうかを決めます。
従来の紙の調査票の会場調査であっても、タブレットで回答を行う会場調査であっても、この点が重要な段階であることに違いはありません。
従来の会場調査との違いはアンケート作成時の仕掛け
アンケート用紙による従来の会場調査と、タブレットで回答を行う会場調査の違いは、アンケート作成の仕掛けにあります。オンライン回答で実施した会場調査の場合は、実査企画が整って初めて、アンケート画面の作成にとりかかれます。従来型の紙のアンケート用紙の場合は、現場でのチェッカーやアシスタントのサポートによるところが大きかった部分をオンラインのアンケート内に仕込むため、アンケート画面の作成とその確認の時間が必要となります。このように、オンライン回答での会場調査を実施する時には、事前準備に通常より少しだけ時間と手間が必要なことをご理解いただければと思います。そのほんの少しの手間で、事後の結果が精度高く短期間で入手することができるのです。
会場調査の要となるのは実査企画力
要は、紙の調査票だろうとタブレットでのオンライン調査だろうと、調査課題に応じた適切な実査企画と実査運営が重要なことに変わりはありません。例えどんなに優秀な調査票であっても、それが実査の場である会場設営と適切に連動していなければ全く意味はなしません。タブレットを使った会場調査を実施する際には、オンラインと会場設営を連動させる実査設計に特に注意が必要である、ということを念頭に置いておいてください。スムーズな実査運営のためには、マーケティング・リサーチへの理解とそれを実現するためのスキルやノウハウ、そしてファシリティが必要になります。クロス・マーケティングでは、調査設計に合わせて最適な実査設営が可能な充実した会場と設備を保有しています。「会場調査(CLT)」のサービスの詳細はこちらをご覧ください。