マーケティングコラム

リジェネラティブ(リジェネレーション)とは?サステナブルとの違いも併せて解説

Facebook X
街中のあらゆる場所で目にする機会が増えた、「サステナブル」という言葉。日本では多くの企業・団体、あるいは自治体がこのサステナブルを意識して活動するようになりました。そのような中で最近では、サステナブルに代わって「リジェネラティブ(リジェネレーション)」という言葉が海外で注目を集めています。リジェネラティブとは、環境をより良い状態に再生しようという考え方です。すでに欧米では、リジェネラティブをビジネスとして展開する企業が増えています。リジェネラティブの意味やサステナブルとの違い、企業の事例などを参考に、ビジネスへの応用方法を考えてみましょう。

リジェネラティブ(リジェネレーション)とは?

リジェネラティブ(リジェネレーション)とは「再生」や「回生」を表し、「ある段階で当初の役割を果たしたものが、別のところで再び何らかの役に立つ」という意味を含んでいます。もともとは環境をより良い状態に再生する概念として生まれました。

サステナブル・ブランド(SB)国際会議の新しいテーマとして、「We are Regeneration」が掲げられています。現在の日本では馴染みの薄い言葉ですが、欧米では企業や市民レベルで急速に話題性が高まっています。


20220304_02

サステナブル(サステナビリティ)との違い

リジェネラティブとよく似た言葉に、サステナブル(サステナビリティ)という言葉があります。直訳すると「持続可能性」という意味で、「今日の世代のニーズを満たすために将来世代のニーズを犠牲にしない」ことを表す言葉です。

リジェネラティブと共通しているのは、どちらも地球環境をより良いものにするために生まれてきた言葉であるということです。

ただしサステナビリティの場合、「いま以上に環境を悪化させないためにはどうすればよいか」という点が考え方の根本にあるため、地球に対する環境負荷を抑えられても環境がより良く改善されるわけではありません。そこで欧米を中心に、サステナビリティの実現だけでは不十分だという意見が多くなってきました。

リジェネラティブとは単に環境負荷を抑制するだけではなく、根本的な問題を解消した上で環境を改善していこうとする取り組みです。


20220304_03

ビジネスでの活用例

では、リジェネラティブをどのようにビジネスに活用すればよいのでしょうか。ここでは、リジェネラティブを実践する複数の企業の事例を紹介します。

事例1:環境保全型農業でTシャツを製造(パタゴニア)

アウトドアウェアのブランドであるパタゴニアは、気候変動を阻止するリジェネラティブ・オーガニックに取り組む企業として有名です。不耕起栽培または省耕起栽培を採用し、植物による土壌被覆が25%以上といった条件を果たすことで、リジェネラティブ・オーガニックの認証を得られます。

具体的には、土壌を耕さない環境保全型農業によってコットンを栽培しています。土壌攪乱を防ぎ地表を有機物で覆うことで、土壌にCO2を吸収できる効果をもたらします。その後、栽培したコットンを使ってTシャツを製造・販売するという仕組みです。

事例2:過去のサステナビリティ戦略を更新(ユニリーバ)

食品や洗剤、ヘアケア製品など一般消費財を販売するユニリーバ。これまでに森林破壊や温室効果ガスを抑える目標を公表しており、世界的に「環境に配慮する企業」としてのブランドを定着させています。

ユニリーバはパタゴニアと同様、リジェネラティブ・オーガニックをいち早く導入しました。サプライチェーンにおける土壌や生態系を保全・再生させ、地域社会に好循環をもたらす新たなシステムを生み出そうとしています。

事例3:徹底した循環型ビジネスを展開(カップゼロ)

イギリスのスタートアップ企業であるカップゼロは、リユース可能なポリプロピレン製のコーヒーカップを提供しています。コーヒーカップは世界で年間160億個もの数が廃棄されているため、捨てずに再利用することで環境に大きな好影響を与えられます。

カップゼロは、世界各地に加盟店を持ちます。消費者がカップゼロのサービスに申し込むと、その加盟店ならどの店舗でもリユース用のコーヒーカップを利用できるのです。コーヒーを購入した店舗に限らず、加盟店であればどこでも使用したカップを返却できるのが特徴です。

まとめ

持続可能な地球環境を再現するのではなく、より良い環境へと再生をはかろうとするリジェネラティブ。サステナブルという言葉と同様、現在海外で主流になっているリジェネラティブの概念は、今後日本でも取り上げられる機会が増える可能性を秘めています。

すでに欧米を中心に、パタゴニアやユニリーバといった企業がリジェネラティブをビジネスに活用し始めています。消費者の環境に対する意識がますます高まる中、競合他社を差し置いていち早く導入することで優位性が強まるはずです。今のうちに将来を見据え、リジェネラティブ活用の具体策を検討してみてはいかがでしょうか。


【参考URL】
https://myethicalchoice.com/journal/sustainable/regeneration/
https://www.sustainablebrands.jp/community/column/detail/1196565_2557.html
https://cococolor-earth.com/column-yokoyama2-regeneration
https://www.sustainablebrands.jp/news/us/detail/1200098_1532.html
https://forbesjapan.com/articles/detail/45143
https://smartagri-jp.com/food/3028

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
話題のBeRealはなぜ人気があるのか?特徴や注意点、ビジネス利用も解説
「BeReal」は、通知から2分以内に投稿しないと友人の投稿を見られない、写真の編集機能がないなどの特性があり、若者の間で人気のSNSです。 今回は、BeRealがなぜ人気なのか、主な特徴と支持される理由を紹介します。ビジネス展開のメリットもあわせて解説しているので、マーケティングをお考えの方は参考にしてください。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
デジタルデトックスは効果なし?得られる効果と実践方法を解説
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやPCなどのデジタルツールから離れることで、ストレスを軽減する取り組みのことです。デジタルツールに囲まれて生活する方が多い現代社会のなかでは、ストレスや心身の疲れを緩和する効果が期待できるといわれています。 しかし、「デジタルデトックスには効果がない」といった意見も見受けられます。今回は、デジタルデトックスには効果がないといわれてしまう理由や、より効果的にデジタルツールと距離を置く方法について解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード