マーケティングコラム
SDGsに貢献する「サステナブル消費」とは?促進のためのポイントもご紹介
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「サステナブル」という言葉は2015~2016年頃から日本でも耳にする機会が増えましたが、特に最近ではサステナブル消費にも注目が集まっています。消費者自身が地球環境に配慮した消費行動を行うようになる中、企業としても単なるCSRの一環としてだけではなく、マーケティングや販売戦略を踏まえた大規模な取り組みが求められているのです。そこで今回は、サステナブル消費の基本知識から促進のためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
SDGsの一環としての「サステナブル消費」
「サステナブル(Sustainable)」には、「持続可能な」という意味が含まれています。主にビジネスでは、資源の省エネ利用を促進し、地球環境を守る持続可能な取り組みという意味で使われるケースも少なくありません。サステナブルという考え方が一般的に認識されるきっかけは、2015年に国連サミットで採択されたSDGsに端を発します。SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語であり、日本では「持続可能な開発目標」として認識されています。
また、2016年には日本でも政府によって「SDGs推進本部会合」が開催されました。2015~2016年は、世界中で地球環境を保全する持続的な活動が提唱されるきっかけとなる年だったと言えるでしょう。
さて、ここまでお伝えしたサステナブルという考え方は、あくまで企業や団体による活動や計画などを表すものです。しかし最近では、消費者自身が地球環境に配慮した消費活動を志す「サステナブル消費」に注目が集まっています。
たとえば商品を購入するときに、無農薬の野菜を選択することは地球環境を守る持続的な消費行動だと言えます。また、コーヒーショップなどで紙のストローを使ったり、スーパーにマイバッグを持ち込んでレジ袋の消費を抑制するといった消費行動も、サステナブル消費の代表例です。
SDGsで定められた17の目標
2015年にて国連サミットで採択されたSDGsですが、2030年までの国際目標として「世界を変えるための17の目標」が打ち立てられました。サステナブル消費を行ううえで非常に重要な指標となり、企業にとっては新たな視点を与えてくれるきっかけにもなる指標です。1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
リサイクルからリユースへ
上記のようなサステナブル消費が注目されるなか、リサイクルからリユースに消費者行動が移行しつつあります。廃棄したものを再び有効活用しようとするリサイクルに対して、リユースとはすでに使用した製品や部品などを繰り返し利用することです。さらに最近では、リサイクルやリユースの考え方を発展させた「アップサイクル」にも注目が集まっています。
アップサイクルとは、廃棄物に新しい価値を持たせて再販売を行う取り組みです。廃棄したものを再利用する点においてはリサイクルとよく似ていますが、アップサイクルの場合は廃棄物を別の製品に作り変える点に違いがあります。
アップサイクルの取り組みを積極的に実践し、ビジネスやマーケティングにおいてサステナブル消費を提唱するのは主にアパレル業界です。国連は2019年8月、個人による気候変動の対策活動を推進する「ファッションチャレンジ」のキャンペーンを実施。衣料回収プロジェクトである「BRING」に参加するアパレル店舗にて、不要な衣料品を回収してアップサイクルを行う取り組みを始めました。
※参考:https://www.unic.or.jp/news_press/info/34224/
また、人気セレクトショップのBEAMS(ビームス)でも、デッドストック品を複数のクリエイターで新しい製品に蘇らせようとする「BEAMS COUTURE(ビームス クチュール)」を立ち上げています。
サステナブル消費促進のために
企業がユーザーのサステナブル消費を促進するためには、持続可能性を意識したマーケティングを実施する必要があります。これをサステナブル・マーケティングと呼びます。いくら地球や環境に配慮したサステナブル消費が話題にあがっているとはいえ、消費者だけですべての行動を担うことは困難です。そこで企業自身がサステナブル消費を促進させ、その考え方を広く世の中に浸透させていくことが重要だと言えます。たとえばスターバックスでは、環境への配慮からプラスチックストローを紙製品に変更する取り組みを実施しています。
従来において、こうした取り組みは社会的な貢献活動としてCSRに一括りでまとめられることが一般的でした。しかし今後は、マーケティング領域においてもサステナブル消費を意識した発信やトピックの提供が求められています。
サステナブル消費促進をマーケティング領域に応用して成功した企業に、米国のアイウェアショップ「Warby Parker」があります。
同ショップでは、メガネを購入すると別の消費者に1つのメガネを寄付できるという独自の取り組みを実施。視力矯正を必要とする人に無償でメガネを提供し、その社会貢献活動を販売戦略の一部に組み込むことで、多数のユーザーから支持を集めました。
まとめ
消費者自身が地球環境に配慮し、持続可能な消費行動を行おうとするサステナブル消費。近年の日本でもサステナブル消費を意識した消費行動が広まっているものの、こうした活動は企業と消費者が一体となって取り組むことが非常に重要だと言えます。そのため企業としては、サステナブル消費の促進を単なるCSRの一部として捉えるだけではなく、広くマーケティングや販売戦略の領域にまで拡大していくことが大切です。企業自身がサステナブル・マーケティングを意識することで、今回お伝えしたWarby Parkerのようにユーザーから共感を呼ぶきっかけになる可能性があるでしょう。
【参考URL】
https://www.tiger.jp/feature/mybottle/content33.html
https://bae.dentsutec.co.jp/articles/loop/
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6007a2c4c5b697df1a09f91d
https://www.dhbr.net/articles/-/6011
https://www.stern.nyu.edu/sites/default/files/assets/documents/NYU%20Stern%20CSB%20Sustainable%20Share%20Index%E2%84%A2%202019.pdf