マーケティングコラム
サブスク(サブスクリプション)とは?種類や意味・サービス成功の秘訣を解説
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コンテンツディレクター
WEBライティング~メディアの制作ディレクション業務・SNS運用・YouTubech運営/広告運用などで活動しているWEB系フリーランス。
SEO,YouTube,Twitter,Instagram,TikTokの集客媒体全般で集客・コンテンツ制作経験あり。読者・視聴者の潜在ニーズを拾い上げ「見たくなるコンテンツ制作」を意識しています。運営したYouTube漫画 chでは売上20倍に貢献。記事制作に携わったメディアは30サイト以上。現在は、SEOのコンテンツ制作をメインの業務としています。
武田 竜輔
サブスク(サブスクリプション)とは
サブスクは「サブスクリプション」の略で、「定期購読」や「予約購読」を意味する言葉です。一般的には、月額料金を支払ってコンテンツを楽しんだり、商品を毎月送ってもらうようなサービスを指します。サブスクサービスの例には、月額料金でたくさんの音楽・動画コンテンツを楽しめるものや、定期的に旬の食材が届くものなどがあります。サブスクと定期購入の違い
サブスクは従来の定期購入とは違ったビジネスモデルとなります。従来型の定期購入とは、ウォーターサーバーなどに代表されるような特定製品の定期的かつ継続的な販売を目的としたものです。顧客は毎月一定金額を支払うことで定期的にウォーターサーバー用のタンクを受け取ることができます。一方でサブスクの場合は、顧客に契約してもらってからが重要な局面となります。ウォーターサーバーのように特定商品の個別販売がゴールではなく、サブスクは顧客に契約してもらうことがスタート地点になります。そこから様々なサービスを利用する権利を顧客に提供し、いかに契約後の顧客体験を充実させて顧客維持率を高めていくかが鍵となるのです。
その他の類似するサービスとの違い
サブスクに類似したサービスには「リカーリング」や「リース」などがあります。「リカーリング」は、消費者に機器購入やプラットフォーム契約をしてもらい、消耗品や追加コンテンツを別途継続して購入してもらうビジネスモデルです。サービスそのものが月額制のサブスクに対して、サービスの一部を継続利用してもらい継続的な利益をもたらすのがリカーリングと言えます。
「リース」は、コピー機や車など高額な商品を、長期的な契約で利用するものです。基本的に年単位の契約である点や、途中解約ができない点が、サブスクとは異なります。
サブスクの市場規模
矢野研究所の調査によると、サブスクの市場規模は2021年度で9,615億5,000万円となっています。2021年度の市場規模は前年度から10.6%も増加しており、いかに早いペースで市場規模が大きくなっているかが分かるでしょう。また、同研究所はサブスクの市場規模予測について、2024年度には1.2兆円規模にまで大きくなると試算しています。今後数年間にわたって、サブスク市場は急速に拡大していく見通しです。参照:矢野研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)」
サブスクの代表的な種類(ジャンル)
サブスクの代表的な種類には、以下のものがあります。●音楽
●動画
●ソフト・アプリ
●電子書籍
●服飾品
●カメラ
●食品
●習い事
サブスクの種類には、ネット上で楽しめるもの(音楽、動画、電子書籍など)から、実物として届いて楽しめるもの(服飾品、カメラ、食品など)までさまざまです。また、昨今は習い事や旅行など、学習や体験を提供するサブスクサービスもあります。
サブスクリプションのビジネスモデル
サブスクのビジネスモデルは「ストック型」です。ストック型ビジネスとは、顧客に定期的な課金をしてもらうことで利益を生み出すビジネスモデルです。ストック型と異なるモデルとして「フロー型」もあります。フロー型は商品やサービスを購入してもらい利益を生み出すもので、一回きりの売り切りである点がストック型と異なります。
サブスクのようにストック型ビジネスの場合、安定した利益を出しやすいメリットがあります。一方で、最初に商品やコンテンツを用意しなくてはならないため、参入障壁はある程度高いビジネスモデルです。また、一定の売上を出すまでの期間が長期化しやすいといった特徴もあります。
サブスクサービスで伸びた企業例
【Zoom】
リモートワークの必需品といえばWeb会議システムですが、その代表的なプラットフォームと言えばZoomです。この記事をご覧の皆様も、日常的にZoom利用しているという方が多いかと思われます。Zoomを開発運営しているのはアメリカのZoom Video Communicationsという2011年創業のベンチャー企業です。あまたのWeb会議システムが存在するなかで、Zoomは独自の画像圧縮技術で低遅延の安定したサービスを実現し、今では世界中で広く利用されています。また、Web会議システムだけではなくウェビナーやオンライン講座など様々なシーンでの活用が可能となるサブスクリプションビジネスも展開しています。コロナ禍でZoomは世界中で広く活用されるようになり、2021年度の売上高は前年比45-47%増の9億500万ドルから9億1,500万ドルを見込んでいます。
【Microsoft】
Microsoftもコロナ禍が追い風となり、サブスクリプションビジネスで売上げを伸ばしています。サブスク型で提供されるIntelligent Cloud部門全体としての売上について、2020年7月-9月期は前年比20%増の129億9,000万ドルを記録し、その中でもIaaS(※)であるAzureは48%の売上げ増大を記録しました。世界中のOSの8割を占めると言われているWindows、その担い手であるMicrosoftが展開するサブスク型サービスはコロナ禍が追い風となって必然的に大きな売上げ増大を成し遂げています。
※IaaS:情報システムの稼動に必要なインフラ(機材やネットワークなど)を、インターネット上でサービスとして提供する形態のこと
【オイシックス・ラ・大地】
IT周りや外資系企業に限らず、日本の食材宅配大手のオイシックス・ラ・大地もコロナ禍の中で大きく売上げを増大させています。無添加無農薬食材を宅配で提供するオイシックス・ラ・大地は、既存のスーパーなど対面接触環境での食材調達を避ける消費者をサブスク型サービスの提供で多く獲得しました。さらに、コロナ禍による健康志向の高まりも相まって、無添加無農薬食材への需要をサブスク型サービスで喚起したことも大きな要因となっています。2020年3月期の営業利益は24億6,700万円に上り、前年同期比6.7%増を達成しました。
【Netflix】
エンターテイメント系の業種では、米動画配信サービスNetflixの伸びが目立ちます。Netflixは月額制でさまざまな動画コンテンツを楽しめるサブスクです。海外作品はもちろん、国内キャストを起用したドラマやバラエティもあり、幅広いジャンルのコンテンツから自分好みの作品を好きなだけ視聴できます。また、Netflixは顧客の視聴履歴に基づいたおすすめ機能も充実しています。その人にぴったり動画作品をレコメンドしてくれるため、気付いたら何時間もNetflixを利用していたという方も少なくありません。Netflixはコロナ禍の巣ごもり需要・おうち時間の増加によって人気を拡大し、20年通期の純利益が前年から48%増加の27億6,139万5,000ドル(約2,900億円)となりました。
【Bloomee LIFE】
Bloomee LIFEは、550円から生花のサブスクが楽しめるサービスです。プランによってお花の本数が異なり、自分のお部屋や予算に合わせたお花が定期的に届きます。コロナ禍で在宅時間が増えた方は、家をより快適にしたいと考えるようになりました。自宅時間を充実させたいといったニーズにマッチしたのが、Bloomee LIFEの生花サブスクです。「自宅にお花があるとリラックスする」「気持ちが明るくなる」と人気になり、2020年1月から8月にかけてユーザー数は3倍となりました。
サブスクサービスの立ち上げ方法
サブスクサービスを立ち上げる場合、まず提供するコンテンツや商品を用意しましょう。そして、提供頻度と販売価格、原価率、利益率を考え、プランを設定します。商品・サービスとプランが決まったら、次は販売経路の確保です。多くの場合は、サブスクが利用できるネットショップを活用するのが良いでしょう。ネットショップが作成できたら、サービス開始前からSNSで宣伝活動を行います。サービスを開始した後は、顧客の管理と分析を行って、より良いサービスが提供できるように改善を続けてください。サブスクサービスを提供するメリット
サブスクサービスを提供する場合、消費者側・企業側どちらにもさまざまなメリットがあります。特に、料金や契約率などの面でメリットが大きいのが、サブスクサービスの特徴です。以下の項目では、サブスクサービスを提供するメリットを詳しく解説します。導入のハードルを下げられる
サブスクサービスを提供するうえでの大きなメリットは、料金が安く利用者側の導入ハードルを下げられることです。買い切り型の商品やサービスは1回の支払料金が高額になりがちで、購入するまでのハードルが高い場合もあります。しかし、サブスクは1か月あたりの料金が数千円なので、導入ハードルが低く、多くの消費者が契約しやすいのです。料金が高くなければ長期契約もしやすいので、企業側・消費者側の双方にメリットがあると言えます。顧客満足度を高められる
企業側と消費者の間に信頼関係が生まれ、顧客満足度を高められるのもサブスクサービスのメリットです。サブスクは何年も契約し続けるケースも多くあります。長年にわたって良いサービスを提供し続ければ、消費者が企業への愛着や信頼を感じることもあるでしょう。顧客と企業との信頼関係を高めやすく、顧客満足度の上昇にも繋がるといった点も、サブスクサービスを提供するメリットです。お試しからの契約率を高められる
お試しプランを活用して契約率を高められるのも、サブスクサービスを提供するメリットでしょう。お試しプランを設定すれば、低価格(もしくは無料)でサービスを体験してもらえて、顧客に契約するメリットを感じてもらいやすくなります。また「わざわざ解約するほどでもないし、とりあえず何カ月か契約しておこう」と、試しに本契約してもらえる可能性も高まります。お試しプランは、企業側は契約率を高められ、消費者としても気軽に試せるといった点において、双方にメリットが大きいものです。データ分析で最適化できる
顧客の利用履歴を分析して、サービスを最適化しやすいのもサブスクサービスの特徴です。「どんな商品やコンテンツが人気か」「この商品が好きな人は、ほかにどんな商品を好む傾向があるか」といった利用履歴を分析すれば、消費者に合わせた最適なサービスを提供できます。また、新たな顧客を増やすための方法なども考えやすくなるでしょう。サービスが長期化し顧客が増えるほどたくさんのデータが集まるので、サービスを続けるメリットも大きいと言えます。サブスクサービスが持つデメリット
顧客データの活用や、契約の手軽さなどさまざまなメリットのあるサブスクサービスですが、特定の業務が増えるなどデメリットもあります。以下では、サブスクサービスを持つデメリットについて詳しく解説します。ユーザー視点での継続的な改善
サブスクサービスを提供する場合、ユーザーの視点にたった改善を継続しなくてはなりません。サブスクは人気のビジネスモデルで、競合も次々に現れます。安定した売上を出せるようになったからとサービスの改善頻度を落とすと、すぐ他社に顧客を奪われてしまうでしょう。サブスクサービスを始めた場合は、サービスが終了するまで永遠にサービスを改善し続ける必要があり、改善頻度も非常に高くなくてはなりません。しかし、サブスクでなくともサービスの改善は必須であるため、特別大きなデメリットと考えなくても良いでしょう。競合との差別化
業種によっては競合が多く、差別化が図りにくい場合があります。サービス内容で差別化が図りにくい場合は、価格競争になってしまうケースもあり、資本力が弱い場合は競争に打ち勝てないでしょう。資本力に左右されない形で市場競争力を高めるためには、いかに競合との差別化を図れるかが重要です。例えば、動画サービスのサブスクであれば、コンテンツ本数は競合に勝てなくても、特定のジャンル(アニメや海外ドラマなど)はどこにも負けない、といった差別化が図れます。このように、できる範囲で柔軟に差別化を図っていけるかが、サブスクサービスを継続する鍵です。数多くの支払い方法への対応
数多くの支払い方法を求められるのも、サブスクサービスを提供するうえでのデメリットです。クレジットはもちろん、アプリ決済や口座振替、さらに携帯キャリア支払いなどにも対応する必要があるでしょう。特に、スマホ利用が多い場合は携帯キャリア支払いやアプリ決済に対応しているかで、新規契約率が大きく変わる可能性があります。しかし、支払い方法の多様化に関しては、小売業や飲食業に比べれば深刻でなく、対応困難なほどではありません。サブスクサービスを成功させるコツ
サブスクリプション型のビジネスモデルは、これまで以上に認知度が高まっています。それでは、サブスクリプションビジネスの成功のためには何が必要なのでしょうか。わかりやすい価格設定
様々なサービスプランを提供するサブスク型サービスですが、価格設定を明確にすることが必要です。複雑な料金計算や課金条件を設定することなく、顧客にとって分かりやすい価格設定が求められます。したがって、あまりサービスのオプションを広げ過ぎずに料金体系をシンプルにすることで、顧客を混乱させないことを念頭に置く必要があります。オートメーション化(自動更新)
簡単にサブスクリプションを自動更新できるようにすることで、顧客の手を煩わせることを極力回避させることが重要です。より長く自社のサブスクリプションに滞在してもらうことためには、オートメーション化によって手続きを簡素化させることが必要です。その反面、顧客には常に継続しないという選択肢を用意しておく必要があるという点は要注意事項です。カスタマーサポート
顧客を大切にすることはあらゆるビジネスの基本であり、日々の課題です。顧客からの問い合わせには常に素早く対応することが求められます。さらに、顧客と定期的にコミュニケーションをとることでニーズに耳を傾け、サービスの改善や価格設定の再編を行い、顧客の期待に応えることが必要です。まとめ
このように、サブスクリプションビジネスの成功は決して難しいことではなく、誰の手にも届くところにあります。従来型の買い切りとは異なり、契約から始まる顧客との長い付き合いを前提とするサブスクリプションビジネスは、中長期的予測が可能な収益をもたらします。その結果、ビジネスを次のステップに進めることが容易になります。また、キャッシュフローをコントロールできるようになれば、よりスマートな意思決定ができるようになるので、この行先の不透明なコロナ禍のもとでも着実なビジネスの成長につなげることができるのです。