マーケティングコラム
コロナで変わるマーケティング。拡大/縮小したマーケティング戦略!
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新型コロナウイルスの感染拡大により、従来のマーケティング戦略が通用しなくなった企業は、経営計画の根本的な練り直しを迫られています。一方で、SNSを徹底的に活用するなど、インターネット時代に適合したアイデアや手法も次々に生まれ、実行に移されています。企業は現在の混乱期から脱却し、Withコロナ時代を生き抜く新戦略の構築を求められているのです。
コロナ禍によるマーケティング戦略の変容
従来のマーケティング戦略は、自社の商品やサービスをできるだけ多く購入・利用してもらうために、消費者が求めているものや全体的な消費トレンドを分析し、効果的な作戦を立てていくのが基本でした。そうした中で、これまで中核的な手法となっていたのは、イベントを開催して不特定多数の人を集め、商品・サービスの周知やブランディングを実践したり、広告を打って商品・サービスの購入を促進したりする方法です。しかし、新型コロナウイルスの世界的拡大によって、こうした従来の販売戦略や消費者との関係構築は極めて難しくなっています。人が密集するイベントの多くが、感染を拡大させる懸念から開催中止に追い込まれている状態であるからです。また、不景気の深刻化で企業は広告を打つ財政的余裕が後退し、広告の出稿量や広告効果に陰りが見えています。実際、テレビではスポンサーの減少からコマーシャルの代わりに番組宣伝が増加傾向にあります。世界規模のウイルス感染によって、企業戦略の大転換が始まっており、マーケティング戦略も大きく変容してきたのです。
縮小したマーケティング戦略
密集、密接、密着は避けるという厚生労働省が提示した新しい生活様式を厳格に守ろうとすれば、必然的にオフラインの大規模イベントは開催が難しくなります。そのため、イベント系の戦略は業種によっては壊滅的な打撃を受けている状況です。これまで企業が行ってきた自社ブランディングや商品告知のためのイベント行事、大規模な新製品発表会や博覧会的なショー、さらにはライブ公演活動やプロスポーツビジネスにも大きな影響が出ています。こうした自粛傾向を余儀なくされる状況は当分続くとみられています。業界もニューノーマル、つまり新しい形態に適合した変革は避けられません。拡大したマーケティング戦略
新型コロナウイルスが広がり始めた2020年3月に、各種調査研究を行っている保険会社のシンクタンクが実施した調査によると、外出を控えた消費者が取った行動で最も多かったのはテレビ視聴でした。そのほか上位に入っていたのは、ネットサーフィンや動画配信サービスの視聴、インターネットショッピングです。この結果から、情報収集の手段が実店舗に行ったりイベントに参加したりする接触型から、電波や通信回線を介した非接触型への傾斜が強まったことが分かります。デジタル化が進むにつれて、実店舗だけではなくスマートフォンやECサイトなど、消費者が利用するデバイスの選択肢が増えました。そこで、各デバイスにあった消費者へのアプローチが必要となってきます。SNSを活用したマーケティング戦略はその一例で、家にいながらでも情報を届けられる広告手段です。現在、従来のマーケティング戦略だけでは売上を維持するのが難しくなると予想し、多くの企業がSNSマーケティングに乗り出しています。SNS広告のフィールドは激化しつつありますが、闇雲に参入しても結果はついてきません。SNSといっても複数のツールがあるため、自社のターゲット層にあったツールを選択することが重要です。
アフターコロナではどうなる?
現在の防疫対策が効果を生み、ある程度終息の気配が見えてきても、完全終息すると断言できる状況にはありません。人々が自由に動き、密集し、密着することが困難になる社会を迎える中では、人と直接会って名刺を交換し、対面でビジネス提案や取引を行うという従来の営業やイベントが縮小していく傾向を完全に元に戻すことは難しいでしょう。このため、オンラインのメリットを最大限に生かす方向に転じることがビジネスの中核戦術になっていくという見方が広まっています。投資という観点からも、縮小していくとみられる悲観的分野と、高い効果や将来性が期待される分野を明確に分析し、可能な限り高い効果が期待できる分野への投資に傾斜配分していくための戦略をきっちり構築することが重要になってきます。今回の世界的感染拡大は、従来の経済の仕組みや、現場の伝統的なビジネス常識を劇的に変えました。ビジネスの世界に根を下ろした新しい戦略は、Withコロナ時代においてもしっかり定着し、さらなる変化や進化を遂げていくと見られます。