マーケティングコラム

新規顧客獲得も可能な『ファンマーケティング』の成功のポイント4つ

Facebook X
不特定多数の消費者をターゲットにして自社の商品・サービス利用に誘導するマーケティングとは対極にある手法が、一部の熱狂的なファンに焦点を絞ったファンマーケティングです。どのような理論と発想に基づいて実践されているのかをまとめ、成功のポイントについて考察します。

新規顧客も可能なファンマーケティングとは

一部の熱狂的支持者に着目したファンマーケティングの理論的背景には、パレートの法則があります。イタリアの経済学者が発見した一種の経験則ですが、ビジネスシーンでいえば、利益の80%は全顧客の上位20%がもたらしているので、顧客全体を対象とするよりも、利益の多くをもたらす20%の顧客に的を絞ったビジネス戦略が効率的という考え方です。

余裕があるならば、貢献度に関係なく全顧客を取り込みたいところですが、全方位的なマーケティングを展開する余裕がない企業の場合はパレートの法則を戦略の根拠に置いて、20%の熱烈な支持層を徹底的に取り込む手法が有効な場合もあります。

消費者と一言で言っても、リピーターや消費額の大きな顧客など、その形態はさまざまです。しかし、ファンマーケティングで求められるのはこれらとは一線を画す、自社および自社の商品・サービスを愛してくれる熱狂的なファンなのです。そしてその熱狂的なファンの熱が冷めないように互いの距離を縮め、固い絆や信頼性を作り上げていけば、新規顧客の獲得が可能です。つまり、ファンが新たな顧客を連れてくる役割も果たしてくれるのです。

例えば、イベント開催時に誘ったファンの友人が新たな顧客になったり、ファンが発信した熱量を持ったメッセージのSNSに興味を持ったユーザーが新たな顧客になったりするといったパターンで、20%のファンは広報や営業の役割を果たしてくれるわけです。しかし、そうした流れが生まれるためには企業自身がファンの信頼や評価を高める努力を怠らず、ファンが自社商品やサービスをぜひ友人やネットユーザーにも知ってほしいというモチベーションを持つような深い信頼関係を構築、維持することが大切です。


20200821_02


ファンマーケティング成功のポイント4つ

ファンマーケティングを成功させるポイントはいくつかありますが、中でも外すことができない中核的な戦略は4つです。

複数のコンタクトポイントの提供

20%の熱狂的なファンを逃さないためには、常にファンと繋がっていることが大切であり、そのためには複数のコンタクトポイントを提供し続けることが重要です。コンタクトはネット上のバーチャルな接触と、イベントなどリアルな接触がありますが、これらをいかに有機的に連動させるかがカギになります。自社運営サイトや、メルマガなどオウンドメディアに属する情報発信グループ、新聞やテレビ、webなど掲載費を支払って認知度を上げるペイドメディア、消費者の批評や要望が爆発的に拡散していくパワーを持つSNSなどアーンドメディアの3つを連携させ、複合的な情報発信体制を構築することがポイントです。その理由は、重要な上位20%のファンはさまざまな媒体をサーフィンするように動いているからです。あるファンがSNSで知った自社商品について、webサイト上で詳細を知ろうとしたり、その商品を紹介するイベント広告をテレビで見て会場に足を運び、その様子をSNSに投稿するというように、さまざまなチャネルを行ったり来たりするので、多様なコンタクトポイントが必須となります。

それぞれのファンとの絆を強化する情報の発信

熱狂的なファンであっても、きまぐれな行動をとるのは現代の消費者のよくある行動原理です。昔と違って、選択肢がいくらでもあるからです。そんな環境で、できるだけ長くファンでいてもらうためには、エンゲージメントを維持し続けることが大事です。エンゲージメントとは、ブランドや商品について消費者が積極的に関わる仕組みを構築することで生まれる企業と消費者間の絆であり、一体感です。ファンをつかんで離さないためには、ファンとの親密度を高めるための情報提供が欠かせません。しかも、一人ひとりの興味やニーズを反映した情報を提供することが求められます。例えば、Aというブランドのワインを購入したファンに対して、そのワインを飲めるワイン祭りに招待したり、ワイン誕生にまつわるメルマガを配信したり、アンケートを送付することで、よりエンゲージメントを強化するのです。


20200821_03


ファンの心理やニーズを観察するDMP(データマネジメントプラットフォーム)の活用

きめ細かな情報提供でファンとの絆を強いものに育てていく作業は、情報量が膨大であるため人力だけではできません。一人ひとりの行動や購買データ、イベントへの参加率やアンケート回答率など、一元管理しつつ、効果的かつ迅速に情報処理ができるシステムが必要です。具体的にはインターネット上に蓄積された膨大なデータを管理するプラットフォームを用いて、自社サイトにアクセスした顧客の属性情報も含め、さまざまな管理データの分析を行い、顧客とのコミュニケーションを最適化する機能を持たせることで、ファンマーケティングに欠かせないコミュニケーション構築に繋がります。

イベントやコミュニティー運営でファンを動かす

自社のファンをしっかり囲い込むファンマーケティングで新規顧客を呼び込むためには、効果的な仕掛けが必要になります。例えば上位20%の顧客が、自ら新しい顧客候補を引っ張ってきてくれるような企画を展開するのです。自社のゲームソフトを長年支持してくれているファンを招待するゲームイベントを開いてファンとのリアルな接点を作り、同時に、会場にはファンの友人を連れてくるような形で新規顧客候補を誘引します。またファンを対象としたコミュニティーを運営することで、ファンに特別感を持たせ、より絆を深めます。こうした囲い込み作戦を濃密に繰り返すことで、ファンの知人や友人を巻き込んでもらったり、SNSなどでファンに情報を積極的に拡散してもらったりする流れが生まれ、さまざまな相乗効果や大きな熱量を生み出していけば、新規顧客の獲得につながります。つまりファンの一種の営業力によって、顧客の拡大再生産の道を開く可能性が生まれます。

まとめ

一部の熱狂的なファンを対象としたファンマーケティングは、いかに消費者と企業をより強固な絆で結ぶのかが重要視されています。そのためにはまず、ファンとのつながりを維持できるよう複数のコンタクトポイントを提供すること、エンゲージメントの強化を図ること、消費者一人ひとりの行動歴を一元化できるDMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用すること、イベントの開催などによって消費者自身が新たに新規顧客候補を誘引することなど、ファンマーケティングにおける成功ポイントを押さえておくことが重要です。

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード