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ファンとのつながりを強くする、モスバーガーの戦略第2回 モスカードプログラムで特典を提供
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モスカードは2012年4月にスタートした、モスバーガーなどのお店で使えるプリペイドカードです。カード入金の際に条件を満たしていれば、金額に応じて「MOSポイント」が付与される仕組みになっています。モスカード自体は無記名で、個人情報も含まれておらず、履歴や残高がカード内に蓄積されていきます。
会員に協力農家の野菜をプレゼント
モスカードは2012年4月にスタートした、モスバーガーなどのお店で使えるプリペイドカードです。カード入金の際に条件を満たしていれば、金額に応じて「MOSポイント」が付与される仕組みになっています。モスカード自体は無記名で、個人情報も含まれておらず、履歴や残高がカード内に蓄積されていきます。その後、モスカードを公式サイトに登録していただき、「モスカード会員」になるとWeb上で残高やポイントの確認、入金などの機能を利用できます。利用者には、ニックネームと生年月日、性別、居住地の都道府県、好きなハンバーガーを登録してもらっています。また利用状況に応じてランクが上がり、ご利用できるサービスもランクアップします。これが「モスカードプログラム」です。
モスカードプログラムのランクは、1年間(毎年4月1日から翌年3月31日まで)のモスカードでの決済による来店回数と利用金額で変動します。モスカードを公式サイトに登録すると、まずブロンズランクとなり、シルバー、ゴールドとランクが上がっていきます。ランクに応じてさまざまな特典を用意しており、会員の誕生月に、その人が登録した好きなハンバーガーを、ゴールドランクから1000名、シルバー、ブロンズランクから500名の方にプレゼントしています。その他、年に4回ほどのプレゼント企画や、不定期で発行するクーポンもランクごとに異なります。
プレゼントでは、協力農家から季節に応じた野菜や果物を提供してもらうことが多いです。最初は店舗で使うトマトなどをプレゼントしていたのですが、モスバーガーのトマトは、そのまま食べるよりもハンバーガーに挟んだり、ソースをあわせたりしたときに美味しくなるよう作られているので、そのまま食べて美味しく食べられる協力農家の野菜や果物をプレゼントするようになりました。他には、当社グループの紅茶専門店「マザーリーフ」のジャムやドレッシングをプレゼントすることもあります。
来店回数・利用金額によりランクが変動する。
ポイントがつくが、期間中は1000円以上の入金で4%相当のポイントがつく。
満足度を会員にアンケートし議論
誕生月プレゼントやクーポンでは、ランクに応じたメリットを出していますが、より伝わりやすくメリットを提示していくためには、まだまだ課題があるとも感じています。ゴールドランクの会員は、約3万8千人(2017年2月末時点)おり、当社が創業45周年を迎えるにあたって、はじめてゴールドランクの方全員にモスバーガー1個分のプレゼントを行いました。少しはゴールドランクのメリットを感じてもらえたのではないかと考えています。また、より満足いただく施策を行うために会員向けに、年1回アンケート調査を実施し、プレゼントやポイント制への満足度やどんな施策がうれしかったかなどを調査しています。野菜のプレゼントなどのプレゼント系は満足度が高い一方、特典については厳しい意見もみられます。会員全員に一定のポイントをつけるのか、ランクに応じて変動するポイントにするのか、そしてそのポイントはどれくらいつけるとメリットを感じてもらえるのかなどを議論してまいりました。
モスカードは、チャージするときにポイントがつくようになっていて、毎月25日から5日間の「モスカードの日」にチャージすると通常よりも多くポイントがつくようになっています。一般的に、消費者は購入時にポイントがつくとより「お得感」を感じるようですが、この時期は通常の10倍近いチャージがあります。モスカードのポイント付与方式が消費者の方にも浸透し、メリットを感じてもらえるようになってきていると感じています。
特典としては、クーポンよりもポイントを重視しています。モスカードプログラムの目的はファン化なので、価格訴求の側面が強いクーポンよりも、目的達成に近いポイントでメリットを感じてもらえるよう試行錯誤を続けています。今回初めて実施された、ゴールドランク向けのハンバーガープレゼントのような施策と、既存のポイント付与やプレゼントなどを比較して、より理想的な会員への特典提供の方法を、これからも模索していきたいと考えています。
次回は、カード発行数を伸ばすための施策と、ネット注文など今後の利用拡大へ向けた取り組みを紹介します。
などを行うイベントを実施したこともある。