インサイトスコープ

ファンとのつながりを強くする、モスバーガーの戦略第1回 安全・安心・健康の取り組みで、店舗の利用機会を増やす

Facebook X
 当社は1972年からハンバーガー専門店「モスバーガー」を全国で展開し、今年で45周年を迎えます。本連載では、私たちが行っているモスカードプログラムなど、ファンを増やすための施策を中心にお話します。

野菜へのこだわり

 当社は1972年からハンバーガー専門店「モスバーガー」を全国で展開し、今年で45周年を迎えます。本連載では、私たちが行っているモスカードプログラムなど、ファンを増やすための施策を中心にお話します。

 近年ハンバーガーを扱うファストフードチェーンでは外資系の新興チェーンの日本上陸が話題になっています。ハンバーガーという食べ物自体がアメリカからやってきたものですが、そうした中で、モスバーガーは日本生まれのハンバーガーチェーンとして「和」を意識した商品開発を特徴とし、テリヤキバーガーの隠し味に味噌を使うなど、日本の食文化を生かした商品開発に日々取り組んでいます。

 美味しい商品を届けることで地域1番店になることを目指す中で、特にこだわってきたのは野菜です。美味しく安全な野菜を提供することなどを表明した、1997年の「新価値宣言」以降、「安全・安心・健康」をより一層意識し、国内の協力農家で可能な限り農薬や化学肥料に頼らない栽培方法で育てた「モスの生野菜」を全店で導入しています。創業当時は、店舗ごとに近隣の八百屋などへ野菜を買いに行っていた時期もあったのですが、野菜の品質によってハンバーガーの味も変わってしまうため、農家さんと関係をつくり、安定供給を図りました。協力農家は、2017年3月時点で約3000軒となっています。近年は地域限定で協力農家が栽培する野菜を生かした商品開発にも力を入れています。

 野菜へのこだわりの一環として、ファストフードチェーンでは少なくなっている店舗での調理も行っています。そのため、各店舗に包丁、スライサーなどの調理器具を置いています。カット野菜を各店舗に納品することも可能ですが、店舗で仕込みをした野菜の方が鮮度も高く、美味しい商品を提供できると考えています。テレビCMでも、店舗で調理していることを伝えるために野菜を切るシーンを使っています。

 20年に渡る「モスの生野菜」を中心とした「安全・安心・健康」への取り組みが評価されたのか、2015年の日経BPコンサルティング社によるインターネット調査「食の安全・安心企業ブランド調査」では15位にランキングされています。製造業で占められているトップ20社の中で唯一の外食チェーンとなったことで、私たちの取り組みが消費者の方々にも浸透してきたことを実感できました。


20170407_02


野菜へのこだわりが、安全・安心のイメージに大きく寄与。店では毎日届く主な野菜の産地を伝えている。
具材をバンズの代わりにレタスで挟んだメニューもある。

地域密着型店を全国へ

 モスバーガーの利用が多い年代層や性別などは傾向としてはありますが、その層に向けた何かを強化するよりも、老若男女全ての方に安心して来ていただけるようなブランドでありたいと考えています。例えばお子さま向けに「モスワイワイセット」を用意しています。これは安全・安心とともに、幼少期からブランドに親しんでもらうことで長期的な関係性の構築を目指す意図もあります。

 モスバーガーは47都道府県に出店した初めての外食チェーンで、2017年3月末時点で直営、フランチャイズ合わせて1362店舗あります。創業当初から地域密着のFC展開を進めており、地域に根付いたオーナーさんとネットワークを広げ、離島にいる方にもモスバーガーを楽しんでいただいています。

 ただ全都道府県に店舗を持ってはいるものの、消費者の方が求める地域全てに出店できているわけではありません。できる限り期待に沿いたいという思いはあるものの、店舗数の拡大よりも、まずは美味しい商品を届けるということを大事にするという方針を重視しています。

 そのため、既存の店舗でいかにたくさんのファンを生み出し、利用機会を増やしていくかがブランド成長の大きな課題となっています。モスカードプログラムを中心とするダイレクトマーケティングには、そのための「ファン化」と利用機会の増加、ロイヤルティ向上を目的にスタートしたものです。

 次回はモスカードの仕組みと会員プログラムについて、その効果や課題についてお話します。


20170407_03


ステークホルダーとのダイレクト・コミュニケーションの場として実施してきた
「モスバーガータウンミーティング」は、2015年に47都道府県での開催を達成。

人見 靖
株式会社モスフードサービス
ブランド戦略室 ダイレクトマーケティンググループ

樋人見 靖

須之内 由美
株式会社モスフードサービス
ブランド戦略室 ダイレクトマーケティンググループ

須之内 由美

関連コラム

マーケティングコラム
あの世代の呼び方は何?各世代へのマーケティング方法もご紹介
「団塊の世代」や「Z世代」など、生まれた世代によってさまざまな名称が付けられています。マーケティング担当者であれば、それぞれの世代の名称と特徴を把握し、世代ごとにあわせたマーケティングを実施しましょう。 本記事では、それぞれの世代の呼び方について説明し、各世代に合ったマーケティング方法を解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
独身の人が増えすぎている?未婚の割合や増加の理由を解説
結婚して家庭をもつことが当たり前だった時代からは一変し、生涯を独身で過ごす人が増えています。なぜ未婚率が高くなっているのでしょうか。今回は、未婚の割合や未婚の人が増えている理由について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
中学生のスマホ使用時間の理想はどれくらい?スマホが及ぼす影響も紹介
近年、中学生からスマホを持たせる家庭が多いなか、使用時間の長さが問題視されているケースが多く見受けられます。スマホの使用時間が長いと学力に影響するといわれることもあり、子どもを持つ親からすると、「適切な使用時間の範囲で使わせたい」と考える方もいるようです。 今回は、中学生がスマホを使う時間の理想をはじめ、使用時間が長いとどのような影響を及ぼすのかを解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
犬派か猫派か?どちらが人気?性格や相性を徹底解剖!
ペットを飼っている人や、これから飼いたいと考えている人にとって気になるのが「犬と猫はどちらが人気なのか?」という点ではないでしょうか。また、犬派と猫派それぞれの性格や相性などについて気になる人も多いかと思います。本記事では、犬派と猫派どちらが多いのか、また性格や相性はどうかを徹底解剖します。弊社で行ったアンケート結果もふまえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
α世代の次の世代とは?β世代の特徴や取り巻く環境を予測しよう
今注目されているZ世代の次がα世代と呼ばれており、さらにその次がβ世代にあたります。Z世代以降は、デジタルネイティブであることが特徴ですが、マーケティング担当者や商品の開発担当者であれば、β世代とはどのような世代なのか、今と取り巻く環境がどのように変化しているのか気になるのではないでしょうか。今回は、β世代の特徴やβ世代を取り巻く環境について解説します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
推し活の経済効果はどれくらい?市場規模と推し活マーケティングのメリットとは
若年層に適確なアプローチができないなど、従来のマーケティング手法に限界を感じてはいませんか。商品やサービスのターゲットとして、「推し活に力を入れる消費者」に絞る方法もあります。 推し活とは、推し(お気に入りのキャラやアイドルなど)を応援する活動のことです。今回は、推し活の経済効果や企業が推し活マーケティングに力を入れるメリットについて紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
マーケティングコラム
団塊の世代はいついなくなる?高齢化で生じる問題と対策を紹介
団塊の世代は、全人口に占める割合の大きさから、社会に多大なる影響を与えてきました。高齢化の話題に接して、団塊の世代の存在感に驚いた方もいるのではないでしょうか。今回は、団塊の世代の高齢化問題と企業の対策について紹介します。
# マーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
【TikTok】バズる時間帯はいつ?曜日ごとのバズりやすさとあわせて解説
TikTokは短期間で多くのユーザーにリーチできるプラットフォームです。しかし、効果的な運用には、適切な投稿時間を見極めなければなりません。社内でTikTokの運用を開始する際に、まず押さえておくべきなのが「バズりやすい時間帯と曜日」です。今回は、TikTokでバズるために最適な投稿時間や曜日について詳しく解説し、投稿時に押さえておくべきポイントについても紹介します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
デジタルマーケティングコラム
SNSのエンゲージメントとは?SNS別の確認方法や向上施策も紹介
最近では中小企業でも、流入チャネルを増やすためにSNS活用を始めるところが増えてきました。SNSの運用を成功させるためには、できるだけ多くのエンゲージメント(リアクション)を得ることが重要です。今回は、SNSにおけるエンゲージメントについて、確認方法や向上させるための施策を解説します。
# デジタルマーケティングコラム
業界/業種
支援領域
開催日:-
受付終了
ご相談・お見積もり依頼
【法人・個人様】
フリーダイヤルでのお問い合わせ
0120-198-022
※ モニター様からのお電話でのお問い合わせは受け付けておりません。
資料ダウンロード