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ヤッホーブルーイングが挑む、若者のビール需要拡大第3回 イベント、動画でファンの輪を広げる

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株式会社ヤッホーブルーイング
よなよなエールFUN×FAN団

稲垣 聡

 「僕ビール、君ビール。」はSNSを活用したプロモーション「かえる捕獲大作戦」で販売を伸ばすことに成功しました。この製品だけではなく、ファンを中心に、クチコミで情報を拡散させることを私たちは重視しています。その理由は「クラフトビール」というカテゴリーのポジションを明確にしたいからです。

製造業ではなく、ビール製造サービス業

 「僕ビール、君ビール。」はSNSを活用したプロモーション「かえる捕獲大作戦」で販売を伸ばすことに成功しました。この製品だけではなく、ファンを中心に、クチコミで情報を拡散させることを私たちは重視しています。その理由は「クラフトビール」というカテゴリーのポジションを明確にしたいからです。

 従来のビールは、マス広告での露出があり、店頭には大量に商品が並び、飲食店で「生」と注文すると運ばれてくる、といったイメージがあると思います。私たちのビールはそこを目指すのではなく、テレビCMは放送していないけれど “知る人ぞ知る”存在で、好きな人は熱狂的に愛している、SNSではファンの存在を見かける、そういうポジションをつくりたいと考えています。

 この方法では短期間で認知度を上げることは難しいですが、お客さまとのコミュニケーションそのものを、従来のビールと差異化してブランドを成長させることを目指しています。それがヤッホーブルーイングのやり方であり、クラフトビールらしさにしたいと思っています。

 私たちは、自社の事業を単なるビール製造業ではなく「ビール製造サービス業」と定義しています。ファンやお客さまと楽しむ文化をつくることを大切にしているのです。とはいえ、製造に従事する社員がサービスを意識して日々の業務にあたることは簡単ではありません。そこで私たちは「サービス業」を体感する機会として、ファンが集まる「よなよなエールの超宴」などのイベントや、醸造所見学に、多くのスタッフも何らかの形でかかわるようにしています。

 醸造所見学には年間3000人くらいの方が訪れていますが、そのツアーガイドとして、現在140人近くいるスタッフの半数以上がかかわっています。決して強制ではなく有志で参加しています。普段は全く違う仕事をしているスタッフたちが醸造所見学にたずさわると、自ずと「サービス」を意識することになりますし、スタッフもその役割を楽しんでいます。ビールを造って売るだけではなく、ファンやお客さまを楽しませ、さらにスタッフも一緒になって楽しむところまでが仕事だと考えています。


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よなよなエールの超宴には毎年1000人ものファンが集まる。

ファン参加型の動画

 ファンと一緒に楽しむ施策のひとつが、北軽井沢で年に一度開催している「よなよなエールの超宴」です。会場は軽井沢駅から車で1時間近くかかる場所ですが、毎年1000人のファンが集まっています。そこに来場したお客さまがイベントを楽しんで、ヤッホーブルーイングのクラフトビールにまつわる良い思い出を持って帰ってもらう。そのためにも記憶に残るような、個性的なコンテンツや製品が欠かせないのです。

 2016年からは、新たに動画を活用したマーケティングにも取り組んでいます。16年によなよなエールの香りを舞妓さんに見立てて空を舞うショートムービーを制作し、SNSなどで話題になりました。17年の1月には新たな動画「ネオ三本締め」を公開しています。「ネオ三本締め」は、単に再生回数を稼ぐことを目指したものではなく、ファンの方にも撮影に参加してもらい、一緒に楽しんでもらいました。

 今後も「ネオ三本締め」のような、ファン参加型の動画マーケティングは積極的に行う予定です。ファンが参加し、ファンの輪が広がっていく様子を動画で表現できればと考えています。定期的に年間何本か制作し、動画の撮影そのものも、ひとつのイベントとして楽しめるようになればと思っています。

 目標としては、2020年にヤッホーブルーイングのファンを10万人規模にしたい。そうなると北軽井沢で1000人という規模を超えて、より大きな場所でのイベントも可能になり、「ヤッホーブルーイング(クラフトビール)のファン」が大勢いることをファン以外の人にも可視化できます。

 動画も含む様々なイベントを通じてファン同士がつながり、イベントが仲間と盛り上がる場になり、その体験がブランドに対するポジティブなイメージにもつながる。そうした流れを目指していきたいです。


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ファンも撮影に参加した動画「ネオ三本締め」。

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